この記事は、YouTube動画『日本ファーストが良いとか悪いとか言っている場合ではない!早急に具体的な動きが必要』(2025年7月21日公開)をもとに内容を整理・解説したものです。
結論:日本も早急に制度改革を進めなければ、国内産業が壊滅する
中国からの「デフレ輸出」が、世界中の小売業や製造業を脅かしています。欧米諸国が税制改革や輸入規制を始めた中で、日本だけが動きが遅れているのが現状です。問題の本質は、現行の国際制度が中国企業に圧倒的に有利な構造になっていることにあります。
問題の中心:中国からの“小口直送”というビジネスモデル
シーン(Shein)やTemuが採る“超効率モデル”
中国の新興アパレルEC企業「Shein(シーン)」や「Temu(テム)」は、以下のようなビジネスモデルを構築しています。
戦略 | 内容 |
---|---|
直送型ECモデル | 工場から消費者へ直接発送(中間業者を排除) |
ウルトラファストファッション | 流行分析と連動した超短納期の製品開発 |
損失先行型戦略 | 赤字でも広告に大量投資し、シェアを先取り |
デジタル広告戦略 | インフルエンサーやSNSを活用した低コスト広告 |
このビジネスモデルが、品質を保ちつつ超低価格での商品提供を可能にしているのです。
中国優遇を支える“国際制度”の実態
中国からの商品の価格が安いのは、ビジネスモデルの巧妙さだけではありません。国際ルールや各国の税制度が、中国に異常なほど有利に設計されているという現実があります。
1. 小口輸入の免税措置
地域 | 小口輸入の税制対応 |
---|---|
米国 | 免税制度を撤廃(トランプ政権が主導) |
EU | 小口輸入に1個あたり2ユーロ課税の準備 |
日本 | 1万円以下の商品に消費税がかからないケースが多数 |
**1億7000万件・約4258億円(2024年)**もの小口輸入が日本に流入しており、そのほとんどが中国からのものと推測されています。
2. 国際郵便の送料が格安
- 中国は“発展途上国”として国際郵便の送料が大幅に優遇されている。
- その結果、日本企業よりも遥かに安く海外発送ができるという特権を享受。
この“構造的不公平”が、世界各国で問題視され始めています。
欧米はすでに行動を開始
国・地域 | 主な対応策 |
---|---|
アメリカ | 小口輸入の免税撤廃、直送ルートへの規制強化を検討 |
EU | 2ユーロ課税の新制度準備、税制度の見直し |
日本 | ほとんど動きなし。制度の見直しが急務 |
特に米国では、中国企業がアメリカ企業を介さずに消費者へ直販できる現状を問題視。従来のサプライチェーンの利潤がすべて中国側に流れる構造になっており、アメリカ企業が置いてきぼりになるという深刻な事態が進行中です。
日本が抱える3つの重大リスク
1. 国内企業の空洞化
日本企業が中国直販に価格で太刀打ちできず撤退。結果、利益が一切日本に落ちないモデルが常態化。
2. 危険商品の流入リスク
小口での大量輸入により、安全検査が困難に。結果として、
- 添加物入りの食品
- 基準外の化粧品・雑貨
などが、無審査で市場に流入する可能性も。
3. 消費税制度の不公平
日本企業が消費税を負担して販売する一方で、中国直送の商品には消費税がかからないケースが多数存在。これは構造的な逆差別といえます。
今すぐ日本が取り組むべき対策
動画では、次のような制度改革の必要性が提言されました。
項目 | 具体的対応案 |
---|---|
消費税の見直し | 小口商品への免税対象を段階的に撤廃する |
郵便制度の再交渉 | 国際郵便料金の優遇見直し、WTO等でのルール変更交渉 |
安全基準の適用強化 | 小口輸入品への規制や品目制限の導入 |
国内業者保護策 | 国内企業への税制優遇や補助金支援策を整備する |
まとめ:今、日本は「日本ファースト」など議論している暇はない
欧米がすでに実行段階に入っている中、日本だけが“ルールの抜け穴”を放置しているのは明らかに遅れています。これは**「日本企業が自国で損をし、中国企業に利を与える」制度**にほかならず、早急に修正されるべきです。
日本の未来の産業構造を守るためにも、ビジネスモデルだけでなく税制や制度の抜本的見直しが必要不可欠なのです。
今こそ、「議論」ではなく実行のタイミングです。
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