日本の長期金利が急上昇し、「日本国債ショック」とも言える状況が発生しています。
一見すると日本のニュースに思えますが、実はこの金利上昇が米国の長期金利を押し上げ、米国株にとって強い逆風となる可能性が高まっているのです。
さらにビットコイン急落、マイクロストラテジーのリスク、利下げと景気後退の関係など、リスクが複合的に広がっています。
この記事では、動画内容を初心者にも分かりやすく整理しつつ、投資判断に役立つように詳細まで解説します。
結論:日本の金利上昇 → 米国金利上昇 → 米国株に逆風
まず結論から整理します。
- 日本の長期金利が1.88%まで急上昇(2008年以来の高さ)
- 日本は米国債を1.2兆ドル(約190兆円)保有する最大級の投資国
- 日本の金利が高くなると、「わざわざ米国債を買う理由が減る」
- 結果として 米国債が売られ → 米国長期金利も上昇
- 米国金利上昇は PR(株の割高度)を下げ、株価の逆風に
つまり、日本国内の金利上昇が、巡り巡って米国株の重荷になるという構造です。
この「金利連動」は意外と知られていないので、まずはここを押さえておく必要があります。
日本の長期金利が急上昇した理由
12月1日、日銀・上田総裁が「今月中にも利上げの可能性」と示唆したことで、日本の10年国債利回りは 1.88% に上昇しました。
- 終値ベースでは2008年6月以来の水準
- 金融市場にとっては非常に大きなニュース
この上昇がそのまま米国に波及していきます。
なぜ日本の金利が上がると米国の金利も上がるのか
ポイントはこれです。
日本は米国債を世界最大の規模で保有している(1.2兆ドル)
日本の金利が低かった間、日本の機関投資家(年金、保険会社など)は利回りが高い米国債へ一斉に資金を向けていました。
しかし、日本金利 ≒ 2%近くとなってくると「リスクを取ってまで米国債を買う必要ある?」という判断が生まれます。
その結果起こることは次の通り。
- 米国債が売られる
- 米国の10年債利回りが上昇する
- 金利上昇 → 株式の割高感が高まり、PRが下がる(=株価が落ちやすい)
米10年債利回りは1日で 7bp(0.07%)上昇。これは半年ぶりの大きな動きです。
金利上昇で株価が下がる理由:PR(マルチプル)が縮む
金利が上がると、株式市場では PRの低下(マルチプルコントラクション) が起こります。
- 割引率が上昇し、株価の理論価値が下がる
- 企業の資金調達コストも増える
- 消費や投資も鈍化し、業績にも悪影響
つまり、金利上昇は株式投資にとって最も強い逆風となります。
ビットコイン急落:冬の時代入りの可能性
12月1日、ビットコインは1日で−6%急落。
3月以来9カ月ぶりの大きな下げです。
チャート分析のポイント:
- 最高値:12万6000ドル
- 現在:8万3000ドル付近
- 下落幅:30%以上
- 直近では下ヒゲ陰線 → 短期的反発の可能性は残る
しかし、週足を見ると状況は厳しいです。
- 2023年以降のサポートだった50週移動平均線を大きく割り込んでいる
- 半減期翌年は歴史的に暴落(2018年−84%、2022年−78%)
結論としては以下。
・短期的反発はあるが、長期では最大80%の下落リスクがある
反発しても10万ドル付近(50週線)で再び売られやすい構造です。
最も危険なのはマイクロストラテジー(MSTR)
今回の動画で特に強調されていたのはここです。
マイクロストラテジー(MSTR)は世界最大級のビットコイン保有企業。
- 保有BTC:65万BTC
- 1BTC=8万6000ドル換算 → 評価額560億ドル(約8.7兆円)
これは企業の時価総額(490億ドル)より大きいという異常な状態です。
さらに、
- 12年分の配当を確保するため14.4億ドルの株式売却を発表
- ビットコインも必要なら売却する可能性を示唆(セーラー会長)
ここが問題。
MSTR がビットコインを売却 → 価格下落 → さらにMSTR株も売られる → 悪循環
この連鎖が起こり得るため、暗号資産市場は非常にリスクが高まっています。
暗号資産関連株も要注意
動画の指摘では以下の銘柄が下落する可能性が高いとされています。
- コインベース(COIN)
- マラソン・デジタル(MARA)
- マイクロストラテジー(MSTR)
- ビットマイン
- ソラナ保有企業
また、ミーム株やハイテク株まで波及する可能性があると説明されていました。
理由は簡単で、
ハイリスク資産への投資家は銘柄を跨って同じ人物
→ どこかで損失が出ると、別銘柄も売って補填する
という連鎖が起こりやすいからです。
FRBの利下げ=株高ではなく景気後退のサイン
「利下げ=株高」と思われがちですが、実際は違います。
歴史的にみると、
- 利下げ開始直後に景気後退入りするケースが多い
- 理由は、利下げのタイミングがいつも「もう景気が弱っている時期」だから
失業率を見ると以下の事実があります。
・1948年:失業率3.8% → 景気後退
・1953年:2.6% → 景気後退
・2001年:4.3% → 景気後退
重要なのは 水準ではなくトレンド。
2023年以降の失業率は「上昇トレンド」にあります。
→ 景気後退は避けられないという分析です。
金ETFは値上がりしない?という疑問の回答
動画内の質疑応答から、重要な部分を整理します。
結論:
金ETF(GLDなど)の需要が減っても価格は金相場に連動し続けるため問題ない
理由:
- GLDは実際にロンドンで金を保管している
- あなたが100万円買えば、保管金の一部があなたのものになるイメージ
- 2022年はETF需要が減ったのに金価格は上昇したという実績あり
つまり、「金ETF需要が減る=価格下落」という単純な話ではありません。
欧州株・新興国株・コモディティが次の主役?
バフェット太郎氏の見解として、
- 次の景気拡大局面
- 年平均リターンが低くなる可能性があるのはS&P500
- 逆にリターンが期待できるのは
- 欧州株
- 新興国株
- コモディティ
- 暗号資産
米国一強の時代が終わる可能性に言及しています。
今後の見通し(バフェット太郎氏の最終予測)
- 米国株の天井は年内に来る可能性が高い
- 景気後退を伴う下落は長く続く
- 平均して天井から15ヶ月後に底打ち
- 底打ちは 2027年3月頃 が有力
- S&P500の最大下落率
- 米ドル建て:−50%
- 円建て:−60%(円高になるため)
- 2026〜2040年のS&P500平均リターンは
年1桁台前半に低迷する可能性 - 次の主役は国際分散投資になる
まとめ:金利と暗号資産のダブルショックに注意
今回の動画で最も重要なポイントをまとめます。
- 日本の金利上昇 → 米国債売り → 米国金利上昇 → 米国株に逆風
- ビットコインは短期反発あっても、長期では最大80%下落リスク
- マイクロストラテジーの売却示唆は市場の強い警戒要因
- 暗号資産関連株〜ハイテク株まで連鎖下落の可能性
- 利下げ開始は景気後退のサインになりやすい
- 米国株中心から、欧州・新興国・コモディティの時代へ?
金利と資金フローの変化は、株式市場において最も影響力が大きい要素です。
特に今は「日本国債ショック → 米国株ショック」というルートが現実味を帯びており、慎重な姿勢が求められます。


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