今回は「なぜ日本株が上がらないのか?」について、初心者にも分かりやすく解説していきます。

▼短期的な株安の原因:自動車関税はショックだったのか?
2025年3月27日、アメリカが日本の自動車に対して関税をかけるというニュースが日本に伝わり、相場は一時的に大きく動揺しました。たとえば日経平均株価は朝方に大きく下がり、一時900円超の下落を記録。しかし、終値では200円安程度で収まりました。
この動きについて、広木さんは「すでに市場はこの関税ニュースを織り込んでいた」と指摘。
トヨタ株も朝は売られたものの、午後には値を戻し、結局その日の高値で引けています。つまり、関税の影響は一時的なもので、すでに短期的なショックは「吸収された」ということです。
▼中長期の焦点:問題はこれから
短期的には落ち着きを見せた株式市場ですが、問題は中長期的にこの関税が日本経済にどれだけのダメージを与えるかです。
関税による経済損失はなんと13兆円という試算もあります。これは日本のGDP(国内総生産)の約2%にあたり、1年分の経済成長が吹き飛ぶほどのインパクトです。
ですが、これはあくまで「理論上」の話。実際の企業業績がどうなるかを見極めるのが、今後のフェーズです。
▼アメリカも得していない:例外なしの関税
この関税政策には例外がほぼなく、アメリカ国内のGMやフォードも影響を受けるという状況です。結果として自動車のコストはアメリカ国内でも上昇し、消費者の購買力は下がります。
逆に、燃費性能が高い日本車―特にトヨタのハイブリッドカー―は相対的に選ばれる可能性もあります。つまり、「関税は悪影響しかない」と見えながらも、日本車の競争力が上がる可能性もあるのです。
▼政治の混乱が日本株の足を引っ張る
動画の中で最も強く語られていたのが、日本政治の低レベルさです。
たとえば「年収の壁」問題では、103万円、106万円、130万円、170万円…と次々に制度が変わり、国民には混乱だけが残りました。国民民主党が「手取りを増やす」と打ち出して支持を集めたものの、結局は有耶無耶に。
政治家たちが優先して議論しているのは「夫婦別姓」や「高校無償化」など、本来もっと後回しでもいいテーマ。インフラの再整備や防衛予算の拡充といった、本質的な経済対策が後手に回っているのです。
広木さんは「日本は3年ぶりに年度ベースでマイナス。ヨーロッパ株が上がっているのに、日本株だけ取り残されているのは政治のせい」と語っています。
▼海外の積極財政と比較してわかる日本の遅れ
たとえば、ドイツは財政規律が厳しい国でありながら、国防予算を増額し、財政政策を大胆に転換しています。インフラがボロボロになり、高速道路もまともに走れない状況だからこそ、大型予算を投じて国の立て直しを図っているのです。
中国も景気対策を積極的に打ち出し、株価が回復。アメリカもトランプ氏が「Make America Great Again」と叫びながら国内製造業復活を目指しています。
一方、日本は「10万円給付」くらいしかできていない。この「政策レベルの低さ」が外国人投資家に敬遠されている理由です。
▼金利の問題:なぜ金利が上がると株価は下がるのか?
現在、日本の10年国債利回りは1.58%と、16年ぶりの高水準。日銀が利上げを継続する姿勢を見せているため、株価には逆風となっています。
株価は「将来の利益を金利で割り引いたもの」とされ、金利が上がると理論上の株価は下がります。広木さんによると、現在の業績見通しと金利水準をもとにすると、日経平均のフェアバリューは「36,000円程度」。金利が2%に達した場合、さらに下がる可能性もあるといいます。
また、日銀の利上げは実質的な効果が薄いと指摘。今のインフレの主因は食料価格の高騰であり、これは天候や国際情勢によるもので、金利政策ではどうにもできません。
▼政治が変われば株価4万円も見える?
では、日本株が再び上昇するにはどうすればいいのでしょうか?
ひ樹木さんが示したシナリオは以下の通り:
- ①政治の刷新(たとえば石破政権の退陣)
- ②積極財政+金利据え置き
- ③企業業績が安定して増益
このような条件が整えば、日経平均は「4万円台」回復の可能性が出てきます。たとえば安倍政権時代のように「アベノミクス」の再来(積極財政+金融緩和)が期待できれば、外国人投資家の注目も再び集まるかもしれません。
また、国民民主党の「手取りを増やす」政策が再評価されています。
▼まとめ:日本株が上がらない3つの理由と突破口
- 関税の短期的影響は限定的
→ 市場はすでに消化済み。今後は実際の企業業績に注目。 - 金利上昇と日銀の頑固な政策
→ 金利が上がれば株価は理論的に下がる。今の政策は実効性に欠ける。 - 政治の低レベルと消極的な財政政策
→ 他国が積極財政に転じる中、日本は何もしないどころか足を引っ張っている。
しかし、政治が変わり、日銀が金利据え置きを選び、財政出動が現実になれば――日経平均4万円は「夢物語」ではありません。

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