株はもう下がらないのか?残酷なインフレ時代を生き抜く投資戦略を新刊から読み解く 高圧経済とサナエノミクスの危うさも解説

本記事は、YouTube動画『【新刊】株はもう下がらない!残酷なインフレ時代で生き抜くための投資戦略とは/高圧経済/サナエノミクス』の内容を基に構成しています。

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2025年12月18日に発売された朝倉慶氏の新刊を取り上げ、いま世界と日本で何が起きているのか、そして個人投資家はどんな資産を持つべきかを、インフレという切り口から整理しています。

結論として強く語られるのは、本格的な株価の大暴落は起こりにくくなり、むしろ株や金、不動産などの資産を保有することが防衛になる一方、現金だけを持つ人ほど厳しくなるという見立てです。

ただし、ここで言う「株はもう下がらない」は、短期の調整が一切ないという意味ではありません。

動画でも、短期的な下落や調整は起こり得ると触れつつ、より大きな流れとして「インフレが止まりにくい社会構造」が続くなら、名目ベースで資産価格が押し上げられやすい、という方向性を説明しています。

目次

リーマンショック以降に変わった世界のルール

動画の前提として、リーマンショック以降、世界の金融システムは大きく変わったという話が出てきます。

かつてのような、景気後退や金融危機で株が長期間にわたり大崩れしていくというより、各国の政策対応が早く大きくなり、社会全体が「大きな恐慌を避ける」方向へ傾いた結果、資産価格の下支えが起きやすくなった、という見方です。

この流れの裏側で進んだのが、金融インフレです。

お金の量が増え、通貨の価値がじわじわ薄まると、現金で持っているだけでは購買力が落ち、逆にモノや資産の名目価格が上がりやすくなります。動画は、この変化を背景として捉え直すことが重要だと語ります。

インフレは誰にとって残酷なのか

動画が特に力を入れているのは、インフレが資産を持たない人を直撃する、という点です。

ここで使われる言葉が「インフレ税」です。政府が税率を上げたと発表しなくても、物価が上がることで現金の価値が下がり、生活者の実質的な負担が増える。

つまり、気づきにくい形で国民から購買力を吸い上げる仕組みに見える、という説明です。

さらに重要なのが逆進性です。

収入が低いほど、生活に必要な支出の割合が大きく、食費や光熱費、家賃、日用品などを避けられません。

だから物価が上がれば上がるほど、余裕のない層ほど痛みが重くなる。動画では、この構造が格差拡大を生むと整理されています。

一方で、資産を持つ側はインフレに耐えるどころか、恩恵を受ける側に回りやすいと語られます。

株価、不動産価格、ゴールドなどのインフレ連動的な資産が上がっていくと、生活コスト上昇の影響を相殺しやすく、さらに資産が増えていく。この差が社会構造を変え始めている、というのが動画の問題意識です。

インフレ税とは何か 物価5%上昇で何が起きるのか

動画では、インフレ税のイメージを初心者にも分かるように具体化しています。

たとえば物価が5%上がった場合、現金しか持っていない人は、何もしないのに実質的に5%分の購買力を失います。食費も光熱費も家賃も医療費も通勤費も、すべて円で支払うため、円の価値が薄まるほど生活は苦しくなります。

ここが厄介なのは、税率を上げましたというニュースが出ないことです。

見えない増税のように進むので、対策が遅れやすい。だから著者はこれを「最も残酷な税金」と表現している、という紹介がされます。

富裕層だけでなく政府も潤うという指摘

動画では、インフレ税が格差拡大を招くだけでなく、政府にも都合が良い側面があると説明します。

物価が上がり名目の売上や所得が増えれば、消費税や法人税などの税収が伸びやすくなります。

結果として、財政赤字が縮小しているように見える。借金の実質負担も軽くなるように見える。これがインフレの持つ政治的な強さであり、増税を発表せずとも税収が増えるため、選挙にも有利に働き得る、という論旨です。

動画中では、名目税収が約60兆円から約80兆円へ増えたこと、GDP比の財政赤字がマイナス6.5からマイナス4.5へ改善していることが例として語られ、こうした見かけ上の改善が、補助金や減税に踏み切る背景にもなっているのではないか、という見立ても示されます。

高圧経済とサナエノミクスとは何か

動画が次に掘り下げるのが「高圧経済」です。

金融と財政の両面から需要を強くして、経済を積極的に拡大させる考え方として説明されます。

失業率が下がる、民間投資が活発になる、生産性向上で成長する、社会保障の持続可能性が高まる。表面だけ見れば良いこと尽くしに見えます。

しかし著者は、すでにインフレに転換している局面で高圧経済を続けるのは危険だと警鐘を鳴らします。

動画ではこの表現がとても印象的に紹介されます。

火のついた油鍋に、さらに油を注ぐようなものだ、という比喩です。インフレが暴走すれば、日本が壮大なインフレ実験場になる危険性がある、という強い言い回しも出てきます。

ここで話が具体化します。

補助金、電気ガス補助、子育て支援、給食無料、ガソリン減税、年収の壁の引き上げなど、ばらまきや減税が需要を刺激する。一時的に生活の痛みは和らぎますが、その分インフレを加速させる可能性がある。

そしてインフレが進むと名目GDPが上がり税収が増える。

税収が増えると政府はさらにばらまける。すると国民側は、物価が上がって苦しいからもっと支援してほしいという政治的圧力を強める。結果として、追加の補助金や減税が出て、さらにインフレが進む。このループに入りかけている、という説明が動画の中核の1つです。

最低賃金8.1%上昇が示すインフレ転換の実感

動画では、最低賃金の推移が分かりやすい材料として使われます。2025年の全国平均最低賃金が前年より8.1%上昇し、1111円になったという紹介があり、22年から24年の上昇率が3%から4%程度だったことと比較し、25年は爆発的だという語り方をしています。

ここで伝えたいのは、数字の大小そのものより、物価と賃金が押し上がる局面に入っているという実感です。

賃上げは生活者にとって朗報である一方、企業のコストを押し上げ、価格転嫁を通じて物価をさらに押し上げる要因にもなり得ます。だからこそ、インフレ局面でさらに需要刺激策を続けるのは危うい、という流れに接続されます。

1990年前後との比較 引き締めるべき時に緩和しているという論点

動画では、著者が1990年前後と現在を比較している点が紹介されます。

1990年当時は株が暴落しているにもかかわらず政策金利を上げ続け、土地取引を締め付ける規制を入れ、引き締めを強めた。今振り返れば極端で、オーバーキルだったとも言われる局面です。

一方、現在は逆だというのが動画の説明です。

インフレで引き締めが必要な局面なのに、積極財政の掛け声で財政を拡張している。引き締めるべき時に緩和しているのだから、インフレは止まりにくい。

金利高も止まらない。通貨下落が止まらない。そして株価上昇が止まらない。ここが「株はもう下がらない」というタイトルに繋がる、という整理になっています。

この部分は、初心者ほど誤解しやすいところでもあります。

株が上がると言うと、企業がすごく儲かるから上がる、景気が良いから上がる、と単純に考えがちです。しかし動画の論旨は、名目の世界でお金の価値が薄まり、相対的に資産の値段が上がるという力学です。

体感としては生活が苦しいのに株価が上がる、という現象が起こり得る。そのズレこそがインフレ時代の特徴だ、という話に繋がります。

インフレで株価が上がる3つのエンジン

動画では、インフレ局面で株価が上がりやすい理由を3つのエンジンとして説明します。ここは本全体の核心に近い部分として、かなり分かりやすく整理されています。

1つ目は企業の名目売上が増えることです。値上げが進むと、同じ数量を売っても売上は名目で増えます。

生活必需品のように、値段が上がっても買わざるを得ない分野が多いほど、企業の売上は押し上げられます。売上が増え利益が増えれば、株価も上がりやすい。

これは最もシンプルで、即効性のある株高要因として語られます。

2つ目はマネー量の増加で株式需要が増えることです。

補助金や支援金、減税などで可処分所得が増えたり、世の中に回るお金が増えたりすると、価値が目減りしやすい現金を嫌い、株などの資産へ移そうとする動きが強まるという説明です。

さらにNISAの拡充や制度整備が進めば、この流れに追い風が吹くとも語られます。

3つ目は円安で輸出企業の利益が増えることです。

円安が進むほど、外貨で稼ぐ企業の円換算利益が増えやすくなります。海外投資家から見れば日本株は割安に見えやすく、日本の商品も相対的に安く見える。結果として、輸出企業の株価が上がりやすいという理屈です。

動画は、この3つが同時に働く国は世界的にもまれで、日本株が歴史的な大相場に入りつつあるという著者の見方を紹介しています。

歴史的事例 トルコ株22倍とアルゼンチン株60倍の示唆

動画では、インフレが進んだ国で株価が大きく上昇してきた歴史的事例として、トルコ株式指数とアルゼンチン株が紹介されます。

トルコは約10年で名目ベースで約22倍、アルゼンチンは5年で約60倍という数字が出てきます。

ここで大事なのは、インフレ国の通貨が暴落しても、名目ベースで株が上がることで購買力の減少を緩和できる可能性がある、という点です。

もちろん日本が同じ道をたどると断定しているわけではありませんが、構造として、現金より株式が強い局面があること、そしてインフレ局面で株が負け続けた例は少ないという主張を補強する材料として使われています。

本の章立てと内容の見取り図

動画では、本書がインフレ時代の考え方を体系立てて学び直せる構成になっていると紹介します。冒頭の序章は、インフレが資産なき人々を直撃するというテーマで、インフレ税と逆進性、格差拡大のメカニズムが強く語られます。

第1章は、恐慌を封じた代償という話で、中央銀行による流動性供給や市場支えが積み重なった結果、現在の時代に歪みが出ているという論点に繋がるとされます。

第2章は、快楽と迫りくるインフレの正体で、補助金や給付金、減税などが一時的に痛みを和らげる一方、それが麻酔のようにインフレを深刻化させるという話が扱われると紹介されます。

第3章は、高圧経済という幻想として、インフレを加速させるループの危険性が掘られる。

第4章は、加熱する金はこれからも買だというテーマで、株だけでなくゴールドにも視野を広げる重要性が示されます。

第5章は、痛みの否定と国家の終点、優しさが国を滅ぼすという刺激的な表現で、過剰な支援が招く長期的なリスクを扱うとされています。

さらに終章では、著者が注目する株式20銘柄が公開されていると紹介されます。動画では、インデックス投資の積立を否定するのではなく、より高いリターンを狙うなら個別株も選択肢になり、プロが厳選した20銘柄を参考にする価値がある、という流れで締めています。

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