株式市場や先物市場で、株価が急に暴落した時に取引が一時的に止まる仕組みをご存知ですか?
それが今回紹介する「サーキットブレーカー制度」です。
この制度はパニック的な売買を防ぐためのもので、特に大暴落時に発動されることで市場の安定を保つ役割を果たしています。
今回は、「そもそもサーキットブレーカーとは?」「どんなときに発動されるの?」「投資家への影響は?」といった疑問に答えながら、制度の内容をわかりやすく解説します。
結論:サーキットブレーカーは“暴落の連鎖”を防ぐためのブレーキ機能
- サーキットブレーカーとは、市場の急激な価格変動時に一時的に取引を停止する制度。
- 先物・オプション市場で導入されており、個別株には類似の「特別気配」「連続約定気配」がある。
- 冷静な投資判断のための時間を確保するのが目的。
- 米国では3段階の発動条件があり、最大で終日取引停止もあり得る。
サーキットブレーカーって何?
サーキットブレーカーとは、主に先物市場やオプション市場で導入されている制度で、以下のような場合に強制的に取引を一時停止させる仕組みです。
- 急激な値下がり
- 市場の混乱
- 投資家のパニック売り
「株式市場のブレーカー(遮断器)」という名前の通り、価格の暴走を止める“安全装置”としての役割を果たします。
株式市場ではどうなってるの?
実は、日本の個別株取引にはサーキットブレーカーは導入されていません。
代わりに次のような制度があります:
- 特別気配制度
急激な値動きの際に、株価の形成を一時停止して冷静な取引環境を整える仕組み。 - 連続約定気配制度
成立した取引が続いた際に、自動的に板寄せを行い、価格の連続的な暴騰や暴落を防ぐ制度。
サーキットブレーカーの歴史
- 1987年 米国「ブラックマンデー」:
一日にしてダウ平均が22.6%も暴落。この経験を教訓に、ニューヨーク証券取引所で初導入。 - 1994年 日本導入:
東京証券取引所で導入され、主に先物市場で適用されるように。
どんなときに発動されるの?
発動条件は市場や取引所ごとに異なりますが、主に以下のような条件で発動されます:
日本(日経先物など)
- 通常時の制限値幅は±8%
例えば基準価格が3万円の場合:
→ 上限:32,400円/下限:27,600円 - この上下限で約定すると、取引が10分間停止
- その後、段階的に制限値幅が拡大される
- 第1次拡大:±12%
- 第2次拡大:±16%
アメリカ(S&P500を基準)
レベル | 下落幅(前日比) | 取引停止時間 | 発動条件 |
---|---|---|---|
レベル1 | −7% | 15分停止 | 通常時間帯 |
レベル2 | −13% | 15分停止 | 通常時間帯 |
レベル3 | −20% | 終日取引停止 | いつでも |
※ 取引時間によっても扱いが異なり、例えば米国では午後3:25以降の発動は、レベル3以外では適用されません。
サーキットブレーカーのメリットとデメリット
■ メリット
- 市場の混乱を抑える
- パニック的な連鎖売りを回避
- 投資家に冷静な判断時間を与える
暴落時は投資家が冷静さを欠いてしまいがちですが、一定時間の「クールダウン」が設けられることで、二次被害を防ぐ効果があります。
■ デメリット
- 保有ポジションの損切り・利確ができない
- 機会損失のリスク
- 短期トレーダーにとっては不利
特にポジションを持っている投資家にとって、急落しても決済ができない状態はリスクになります。
サーキットブレーカーは頻繁に発動するの?
通常はめったに発動しません。
直近で話題になったのは2020年のコロナショック時。
米国では3月9日・12日・16日など、短期間で複数回発動しました。
まとめ:いざというときの「命綱」それがサーキットブレーカー
サーキットブレーカーは、株価の急激な動きに対して市場を守る「命綱」のような存在です。
大暴落が起こった際に、混乱を抑えて投資家に冷静な判断時間を与える制度であり、リスク管理の一環としても非常に重要です。
投資を始めたばかりの方も、急に取引が止まって驚かないように、この制度の存在は知っておくと安心ですね。
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