本記事は、YouTube動画『株式投資で個人の9割が負ける理由は??大口介入時の戦い方はこれです。』の内容を基に構成しています。
導入:株式投資は「会社との戦い」ではない
株式投資というと、多くの人は「自分対企業」「この会社が成長するかどうか」という視点で考えがちです。しかし動画の冒頭で語られているのは、株式投資の本質はそこではない、という点です。
自分が株を買うとき、必ずその裏側では誰かが売っています。買い手と売り手がいなければ取引は成立しません。つまり株式投資とは、常に「相手のいる勝負」であり、相場は自分と見えない誰かとの戦いの連続だという考え方が出発点になります。
この視点を持てるかどうかが、個人投資家が勝てるか負けるかを分ける重要なポイントであり、特に短期売買や需給を重視するトレードでは欠かせない考え方だと動画では強調されています。
なぜ個人投資家は負けやすいのか
株を買うとき、相手は「下がる」と思っている
自分が株を買うときは、当然「これから上がる」と思って買っています。しかし、その取引が成立しているということは、相手は「今の株価より下がる」と思って売っているということになります。
つまり、取引の瞬間からすでに意見は真逆です。その後、株価は上がるか下がるか、どちらかに必ず動きます。この構造を理解せずに、会社の情報だけを見て売買をしてしまうと、相手の意図を考えないまま戦場に立つことになります。
動画では、初心者が買うタイミングは、プロが売っているタイミングであることが多いとも語られています。プロが売っているということは、短期的、あるいは中期的に下がると判断している可能性が高いということです。その裏側を想像できるかどうかが、非常に大きな差になります。
動画内容の詳細解説:個人の9割が負けると言われる理由
「9割が負ける」は本当なのか
動画内では「個人投資家の9割が負ける」という言説についても触れられています。結論から言うと、9割という数字が正確かどうかは分からない、というスタンスです。
相場が非常に良い年であれば、多くの人が勝っている可能性もありますし、相場が極端に悪い年であれば、負けている人が多くなるのは自然なことです。また、どの期間で測るのか、どこから始めてどこで終わるのかによっても結果は大きく変わります。
それでも「多くの人が負けやすい構造がある」という点については否定されていません。その原因として挙げられているのが、人間の普通の心理そのものです。
大衆心理に従うと負けやすい構造
人間が自然にやりたくなる行動を取ると、相場では負けやすいようにできている。
動画ではこの点が非常に重要なポイントとして語られています。
言い換えると、大衆心理と同じ行動を取ると負けやすいということです。みんなが「右を向け」と言われたときに、そのまま右を向いてしまうと、多数派と同じ行動になりやすくなります。相場では、多数派が負ける場面が多々あります。
勝つためには、右を向けと言われたときに左を向かなければならない場面がある。しかし、その判断ができずに大衆と同じ行動を取ってしまうことが、結果的に多くの個人投資家の負けにつながっているという考え方です。
大口投資家同士は戦っているのか
大口同士のぶつかり合いは日常的に起きている
視聴者からの質問として、「1つの銘柄に異なる思惑を持った大口投資家がぶつかり合うことはあるのか」という問いが紹介されています。これに対して、動画では「むちゃくちゃある」と即答されています。
特に流動性の高い銘柄では、大口同士の売買が日常的にぶつかり合っています。1人の大口が必ず勝つわけではなく、複数の大口が異なる戦略や時間軸で売買しているため、板は複雑な動きを見せます。
大口の苦しさが見えたときの考え方
動画では、大口投資家の心理を読む例として、非常に実践的な考え方が紹介されています。
例えば、大口が大量に買って株価を支えているものの、どう考えてもこの水準を維持できそうにない、いずれ売らざるを得ないと感じる場面があります。その大口が苦しそうに買っている様子が板から見えると、「どうせ少し上がったところで売るしかない」と判断されることがあります。
そうなると、「上がっても限界がある」「ここは売りを狙う場面だ」と考える参加者が増え、大口同士がぶつかり合う展開になります。これは手法というよりも、その場の需給と心理を読む行為に近いものだと説明されています。
スキャルピングで大口に振り回されるときの考え方
急騰・急落で損切りしたあとに戻る問題
スキャルピングをしていると、大口の介入によって急騰や急落が起こり、積み上げてきた利益が一瞬で消えることがあります。想定していた価格から外れたために即損切りしたものの、10分ほどで元の価格に戻るケースも少なくありません。
この場合、どう対応すべきかという質問に対して、動画では非常に現実的な回答がされています。
結論としては、「その想定をしていないなら、損切りは正しい」というものです。戻ることまで想定していないからこそ損切りしているのであり、読みから外れたら損切りするという行動自体は正しいとされています。
経験によって狙い方が変わっていく
もし経験を積み、「1回外れても戻る可能性が高い」と判断できるようになれば、その外れたポイント自体を狙う戦略に変わっていく可能性があります。ただし、それは経験と検証を積み重ねた結果として身につくものであり、無理に我慢するべきではありません。
現時点で想定から外れたら損切りする、というルールでやっているのであれば、それを守ること自体は間違っていないという姿勢が示されています。
大口の動きにパターンはあるのか
パターンよりも「心理」を読む
大口の動きに決まったパターンがあるのか、という質問に対して、動画では「パターンというより心理」という答えが返されています。
例として挙げられているのが、10万株の買いが入ったあと、株価が少し上がるたびに5000株の売り板が出てくるケースです。5000株が食われるとすぐにまた5000株が出てくる、これが何度も繰り返されると、「この大口はこっそり5000株ずつ売っているのではないか」と考えます。
そうなると、この5000株は合計で何回出てきそうかを数え、その回数が尽きるまでは手を出さない、という判断につながります。そして、それでもなお買われ続けるのであれば、その時点で初めて参戦を考える、という思考プロセスです。
これは明確な売買ルールというよりも、相手の心理や行動の意図を推測する作業に近く、動画ではブラックジャックのカードカウンティングに似ていると表現されています。
貯金が減る不安と投資の考え方
貯金は「円で持っているだけ」
動画の後半では、オルカンやS&P500への一括投資を検討している人からの質問が取り上げられています。一括投資すると貯金がほぼなくなり、不安だという悩みです。
これに対して語られているのは、貯金は単に円で持っているだけだという考え方です。円の価値が下がる可能性もあれば、株の価値が下がる可能性もあります。どの資産も変動リスクはありますが、株はいつでも現金化できるという点では、貯金と大きな違いはありません。
円から株に変え、必要になれば株から円に戻せるのであれば、「貯金がなくなる」という感覚に過度にとらわれる必要はないという考え方が示されています。
不安なうちはインデックスで学ぶ
不安が強いうちは、オルカンやS&P500のようなインデックス投資を続けながら、相場を学んでいくのが良いとされています。知識と経験が積み上がり、不安が小さくなってから日本株や個別株に進むという流れは、自然で現実的な選択肢です。
みんながオルカンやS&P500に向かっているからといって、それが必ずしも間違いというわけではない、という点も補足されています。
まとめ:相手の存在を意識できるかが勝敗を分ける
この動画を通して一貫して語られているのは、株式投資は常に相手のいる勝負だという視点です。自分が買うとき、誰が、なぜ売っているのかを考えること。大衆心理と同じ行動を取らない場面を見極めること。大口の動きをパターンではなく心理として読むこと。
これらはすぐに身につくものではありませんが、意識し続けることで少しずつ見え方が変わっていきます。個人投資家の多くが負けやすいのは、知識が足りないからではなく、人間として自然な行動を取ってしまうからです。
だからこそ、相場では「当たり前の行動」を疑い、相手の立場を想像することが、長期的に生き残るための重要な考え方だと言えるでしょう。


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