本記事は、YouTube動画『【銘柄勉強会】生成AI追い風で検索エンジン需要増加!目標時価総額500億円へ!足元の状況や今後の戦略について社長に直接聞いてみた!ZETA』の内容を基に構成しています。
生成AI時代に「検索」が再評価され、ZETAに追い風が吹いている
動画では、ZETA株式会社の山崎社長を招き、同社の事業の強み、直近の業績の振り返り、そして今後の成長戦略について掘り下げています。
結論から言えば、ZETAは生成AIの普及によって検索の重要性が再び高まる局面を追い風として捉えており、さらにリテールメディア広告やRAG需要の拡大を新たな成長ドライバーにしようとしています。
一方で、直近の決算は「好調ではなかった」と社長自身が認めており、その要因として会計処理変更や決算訂正による見栄えの悪さが株価面の重荷になっていることも語られました。
つまり、事業環境は強い追い風、ただし会計・運用面の整備が課題という構図です。
ZETAの事業領域は「集客後」を伸ばすCROで、主戦場は検索エンジン
ZETAは一言でいえば、デジタルマーケティング領域のツール企業ですが、広告で集客する側よりも、集客した後の売上最大化を担う領域に強みを持っています。
社長はこの領域をCROと説明しており、同社の主力はとにかく検索エンジンだと述べています。
特に日本のEC領域では存在感が大きく、社長によれば「ECランキングトップ100」のうち検索だけでも「28サイト」に導入されており、全製品では「40いくつ」程度に導入されていると説明されました。これを受けて社長は、トップ100の約3分の1弱に製品が入っているという見方を示し、ここが最大の強みだと語っています。
さらに印象的なのは、ハイレベルな要件のコンペでは「ZETAかGoogleか」という構図になることが多い、という趣旨の発言です。社長は表現を工夫しつつ、「Googleに匹敵するテクノロジーを持っている会社」という説明が最近の自社紹介になっているとも語りました。
ここから読み取れるのは、ZETAが単なる中小の検索ツールではなく、大手ECが求める高度な検索要求に応えられる点を最大の差別化としていることです。
直近決算は伸び悩み、課題は会計処理と運用の安定化
動画では、2025年12月期の第3クォーターまでの累計として、売上高が12億4500万円、営業利益が1億5500万円という数字が示されました。ところが社長の評価は率直で、第3四半期単体では5000万円の赤字になったと述べています。
さらに、8月末時点では期末まであと1カ月という状況でプラス5000万円程度を見込んでいたが、実際にはそこから約1億円落ちたという話が出てきます。この変動の背景として語られたのが、約1年前に会計書類の変更を監査法人から求められ、前期の1〜3月が非常にバタバタしたという点です。
加えて、ZETAは上場企業サイジニアとの合併の影響もあり、決算期のズレによって売上計上に期間差があったものが「普通の状態」に戻った結果、社内の対応が追いついていない部分があると説明されました。つまり、需要そのものが落ちたというより、売上計上や入金タイミングなど運用面が整っておらず、決算上のブレが生じているというニュアンスです。
社長は市場環境についてはかなり強調しており、衰退産業で頑張るのではなく、日本でも伸びている市場で戦っている点が重要だと語っています。市場がなければ何もできないが、ZETAがいる市場は伸びているので未来は明るい、という認識が繰り返されました。
達成余地はあるが「4Qでどれだけ取り切れるか」が焦点
投資家目線の質問として、通期業績の進捗についても議論されています。
ここは決算前のサイレント期間という前提があり、社長は慎重な言い回しに終始していますが、受注残の観点では十分達成が見える一方、2Qで崩れ、3Qで約1億円崩れた流れがあるため、4Qでどれだけ削れずに形にできるかが焦点だと語りました。
仮に今期に取り切れなくても、次の決算期に連れ込むだけで「売上がなくなるわけではない」という趣旨の説明もありました。ただし上場企業は決算で見られるので、できるだけ今期内に良い形を作りたいという本音も滲みます。
会計処理変更の影響については、2026年12月期の1発で完全に解消する見込みという外部向けの説明が示されました。つまり、影響は徐々に小さくなっているが、完全解消は今期中という見立てです。
リテールメディア広告:導入は増えたが、売上インパクトは「運用量」が増えるフェーズが鍵
動画の中盤では、社長が強気に語ってきたリテールメディア広告の進捗が確認されます。
社長の説明では、2025年夏頃から実装先が増えてきた一方で、流量が増えて数字として大きく見えてくるのはこれから、という認識です。特に2025年末から数字が「来始めた」という表現があり、収益化が立ち上がりつつある段階だと捉えられます。
ここで重要なのは、検索やレコメンド、口コミなどは導入時点で売上が確定するストック型の性格が強いのに対し、広告は導入後に実際に配信された広告の手数料を受け取るモデルだという点です。
つまり、導入先が増えても「広告が打たれる量」が増えないと売上が跳ねにくい構造であり、直近はまさにその運用量が増え始めた局面だという説明でした。
社長は、ROASが高い成功事例が増えると、雪だるま式に増えていくのではないかという見立ても示しています。広告費全体は簡単には減らない中で、効果の高い媒体にシフトする動きがあるという見方です。
サードパーティークッキー規制と流入減が、リテールメディア広告を押し上げる
リテールメディア広告が伸びる背景として、社長はサードパーティークッキー規制や、Google環境変化によりWeb流入が減っていく可能性などを挙げています。
こうした環境では、従来型の広告モデルが辛くなる一方で、購買データや検索データを持つリテール領域が広告の受け皿になりやすいという考え方です。
ただし日本市場では、ブランド企業がリテール企業に広告を出すことを、リベートや販促費に近いものとして捉える古い慣習が根強いという指摘もありました。
社長は、若い世代が予算を握る企業ほどリテールメディア広告を正しい広告として理解しており、世代交代によって市場が本格的に動くという見方を示しています。
ネスレやサントリーといった企業が情報発信に熱心だという話も出ており、業界内で啓蒙が進んでいけば加速する可能性がある、という流れでした。
検索に「3回目の追い風」が来ているという社長の見立て
動画の後半で最も熱量が高いのが生成AIとRAGの話題です。
社長は、前回の中計ではAIに触れなかった理由として、ブームに乗っているように見えるのを避けたかったと述べつつ、2025年7月頃からアメリカで空気が変わり、EC領域で生成AI活用が急に進んだため、2025年9月頃に方針転換して踏み込んだと語っています。
その結果、ZETAの中ではリテールメディア広告よりも、RAG関連の立ち上がりが早く、現在はこっちの取り組みを急遽強化しているという説明がありました。
社長の言葉で整理すると、生成AIが当たり前になったことで、実は検索が重要になってきている、という話です。
なぜなら、生成AIはもっともらしい嘘を言うリスクがあり、正確な情報を返すためには外部の正しいデータを取りに行く仕組みが必要で、それがRAGだからです。
RAGとは何か:正確性を担保するために「検索で取りに行く」仕組みが必須になる
社長はRAGを、リトリーバル・オーグメンテッドの概念として説明し、生成AIの不確実性を補うために必要だと語っています。
要点は、生成AI単体では正しいことを常に言えるわけではないため、正確性が必要な場面では外部データを検索して裏取りし、その情報を使って回答する仕組みが必要になるということです。
ここで興味深いのは、RAGという概念が提唱されてから「5年ほど経って」ようやく急速に広がり始めている、という時間軸の説明です。
デジタルマーケティング界隈ではRAGが最もホットで「RAGを取った人が勝つ」と言われている一方、投資マーケットではまだ十分知られていないと社長は述べています。
つまり、社長の認識としては、業界では常識になりつつあるが投資家の認知が追いついていないため、これから評価が変わる余地があるということになります。
RAGで求められるのは「検索の性能」:単に繋げば良い時代ではない
社長は、当初は「検索に繋げば正しい情報が取れる」という見通しが甘かったが、実際にやってみるとRAGで繋ぐ検索は性能が圧倒的に必要だと気づかれ始めた、と語っています。つまり、RAGの成否はLLMだけでは決まらず、裏側の検索エンジンが高精度で高速に回答を返せるかが鍵になるという視点です。
また、MCP、UCP、A2A、ACPといったプロトコルが乱立している状況にも触れ、社長は「どのプロトコルで実装するかは本質ではない」と述べています。重要なのは、繋いだ先の検索エンジンが満足できる回答を速く返せるかどうかだ、という整理です。
この話の流れから、ZETAの強みである高性能検索が、生成AI時代に新たな用途で求められる可能性が高まっていることが示唆されます。
受注と価格戦略:RAGが定着すれば「RAG対応検索」は値上げも検討
受注については、3Q時点で受注高が歴代2位で、その前が1位だったという話が出ています。ただし社長は、RAGで増え始めたのは2025年9月以降に舵を切ったため、4Q以降の話になると説明しています。
さらに、RAGの実績が増えて「RAGならZETAに頼む」という認識が定着した場合、RAG対応の検索エンジンは少し価格を上げる可能性があるとも語られました。インタビューでは「一番いいアップセル」という表現もあり、既存の検索基盤にRAG対応という付加価値を乗せ、単価改善につなげる狙いが示されています。
また従来は、検索エンジン導入の判断が「CROとして費用対効果が合うか」が中心だったが、今後は生成AI経由の流入が増え、Web流入が減る可能性がある中で、元が取れるか以上に「やっておかないとダメ」という基盤技術としての位置づけが強まる、という見方も語られました。
B2B市場:B2B ECはB2Cの10倍規模という見立てと、需要の立ち上がり
直近の開示として、B2B企業にも検索エンジンを導入した事例が取り上げられます。社長は、B2B ECの市場規模はB2Cの10倍と言われている一方で、これまでB2Bはマーケティングを頑張らなくても良い雰囲気があったと説明します。
しかし最近はスイッチが容易に起こるようになり、B2B企業もオンラインでの導線を整備しないといけない、という波が業界全体に来ているという認識でした。これはZETAだけの話ではなく、業界全体でB2B比率が上がり始めているだろう、という見立てです。
この文脈では、ZETAのCRO領域がB2CだけでなくB2Bへ広がる可能性があり、同社の対象市場が拡大しているという社長の主張につながります。
中期経営計画と見通し:市場は広がり、材料は増えているが、数字への落とし込みはこれから
中計の進捗に関しては、期が始まったばかりで評価はこれからという慎重な回答でした。ただし定性的には良い流れで、利益20億円といった目標も引き続き目指すという姿勢が示されています。
社長は繰り返し、市場の大きさこそが重要だと語り、リテールメディア広告は1兆円超とも言われ、生成AIとECの結びつきも疑いがない、そこにRAGの重要性が浸透していく流れは楽しみにしてほしいというニュアンスでした。
課題:決算訂正と信頼回復、投資家から見た「見栄え」を改善する必要がある
一方で厳しいところとしては、会計処理変更だけでなく決算訂正があった点が大きいと社長は述べています。投資家の多くがその事実を初めて知り、訂正後の決算資料しか目に入らないため、会社が悪く見えるという課題感が語られました。
実際、2024年12月期は訂正によって営業赤字になったという説明もあり、この見栄えを早くアップデートし、信頼を回復しながら新しい投資家にも良い会社だと思ってもらえる決算を積み重ねる必要がある、という話につながります。
株価と株主還元:自社株買いと優待拡充は「決意表明」であり、株価への不満の表れ
株価について社長は、投資家に申し訳ないという気持ちを述べつつ、市場が悪いわけではないので、決算に反映させていくことが最優先だと語りました。
営業リソースの不足については、急激に増やせないビジネスであるため、優秀な営業を着実に採用し育成している段階だと説明しています。以前は立ち上がりに2年程度かかっていたが、最近は半年未満で成果を出す人も出てきたという話もあり、改善は進んでいるものの、他社より育成期間が長いのは事実という整理でした。
株主優待の拡充については、社長は「決意表明」と表現し、株価に満足していないこと、投資家と向き合う姿勢を失わないことを示す意図があると述べています。
自社株買いについては、20万株・6000万円の枠がある中で、300円程度かそれ以下で買った方が株数を多く確保できるため、タイミングを見計らっていたという説明がありました。結果的に20万株で約5900万円台と、ほぼ想定通りで終えたという話でした。
目標時価総額500億円:2000円・500億は「前より材料が増えた」との強いメッセージ
最後に、社長は中計で掲げている株価2000円、時価総額500億円という目標について、決算訂正などで見栄えが悪くなっているのは事実だが、目標自体は全然見えている、むしろ前より材料は増えていると語りました。
背景としては、対象市場が確実に広がっていること、生成AIとRAGによって検索の重要性が再度高まっていること、リテールメディア広告市場も拡大が見込まれることなどがあり、成長シナリオの要素は増えているという見立てです。
まとめ:ZETAは「検索の強さ」を武器に、生成AIとRAG時代のインフラを狙う一方、決算の安定化が最大課題
動画全体を通して見えるのは、ZETAの強みが日本の大手ECで実績を持つ高性能検索であり、それを起点に複数の収益機会を重ねていく戦略だということです。リテールメディア広告は導入拡大から運用量増加へ移りつつあり、生成AIとRAGは検索に新たな需要を生み、社長の言う「3回目の追い風」になり得るという見立てが語られました。さらにB2B ECという巨大市場への波もあり、対象市場の拡大という点では確かに材料が増えています。
一方で、会計処理変更や決算訂正によって数字の見栄えが悪く見えてしまう状況が株価の重荷になっており、社長も信頼回復と決算の安定化を急ぐ必要があると明確に述べています。事業環境の追い風を決算にきちんと反映できる体制を整えられるかが、時価総額500億円という目標に向けた最重要ポイントになりそうです。


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