2025年8月時点でのドル円相場は、FOMC・日銀会合・米雇用統計・トランプ関税発言など複数要因が交錯し、方向感を欠いた状態が続いています。
9月の雇用統計と関税政策次第では、140円割れの円高ショック再来もあり得ます。
目次
1. 現状:150円台は重く、方向感なし
- 日銀は予想以上の鳩派姿勢を維持し、年内利上げ観測は後退。
- FOMCはタカ派寄りの印象だったが、7月の米雇用統計ショックで円高方向に反応。
- ドル指数(DXY)は100を回復できず、ドル高トレンドにブレーキ。
2. 雇用統計ショックのインパクト
- 7月非農業部門雇用者数:予想10.4万人に対し7.3万人。
- 5・6月分は合計約26万人の下方修正。
- トランプ大統領は数字の弱さを理由に担当者を解任し、同時にパウエル議長へ利下げ圧力。
- 失業率は4.2%に留まり、平均時給は3.8%→3.9%へ上昇。インフレ圧力が根強く、FRBは慎重姿勢の可能性大。
3. 利下げ観測と金利差の構造
- 市場は年内3回の利下げを織り込み、9月開始の可能性を視野に。
- 実質金利差は米国:約+2%、日本:約-3%で5%近い開き。このため円の上値は限定的。
- 円高に振れるには「雇用統計がさらに悪化」か「株式市場の急落」が条件。
4. トランプ関税リスク
- 4月の「トランプショック」では150円→一時140円割れまで円高。
- その後株式市場は高値更新し、関税影響をほぼ無視。
- 8〜9月に関税が正式発動すれば、再び市場がリスクを意識し円高圧力となる可能性。
- 関税発表は延期を繰り返しており、医薬品に最大250%関税案など不透明感は増大。
5. 想定シナリオ
シナリオ | 条件 | ドル円見通し |
---|---|---|
円高ショック | 9月雇用統計が大幅悪化、または株急落 | 140円割れ |
レンジ継続 | 雇用統計が現状維持、株安なし | 145〜150円 |
円安再開 | 雇用・インフレ強含み、関税先送り | 150円台試す |
6. 夏相場の特徴と注意点
- 夏場は参加者が減少し、一方向に動くと止まりにくい。
- キャリートレードの巻き戻しが起きると、短期間で大きな円高になるリスク。
- 9月の米雇用統計(9/5発表予定)が最大の注目イベント。
まとめ
- 現状はドル円の方向感が乏しく、上値は150円前後で抑制。
- 実質金利差が円高抑制要因だが、関税発動や雇用統計急悪化で急落リスクあり。
- 夏〜秋にかけては**「140円割れもあり得る」**シナリオを想定し、ポジション管理が重要。
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