米国の格下げは何が問題?投資家が今こそ知っておくべき「信用」と「スタグフレーション」の真実

※本記事はYouTube動画「とんでもないこと起きている 米国格下げの影響は?!」をもとに内容を構成しています。


結論:米国債は今後も買われるが、秋以降の「スタグフレーション」に要警戒

ムーディーズが米国の信用格付けを最上位のトリプルAからWA1に格下げしたことは、米国経済の根本的な問題を突きつけた出来事です。ただし、格下げそのものが即座に市場を崩壊させるわけではありません。米国債の需要は依然として強いですが、秋以降の景気後退とインフレ(スタグフレーション)リスクが本格化する恐れがあります。


目次

米国格下げの背景とその意味

格下げの経緯

  • 格下げ日:2025年5月
  • 格下げ機関:ムーディーズ(世界三大格付け会社の一つ)
  • 引き下げ内容トリプルA → WA1
  • 主な理由:財政赤字の深刻化、債務の持続可能性に懸念

ムーディーズは以前から「財政状況が改善されなければ格下げもあり得る」と警告していました。今回の判断は、政治的混迷と財政の手詰まりが続く中で避けられなかったと言えます。


米国債は売られない、その理由とは?

米国債が格下げされても**「売られすぎることはない」**とバフェット太郎氏は述べています。

なぜなら…

  1. 世界最大の市場規模
    • 米国債市場:約34兆ドル
    • ドイツ国債市場:約2兆ドル(約1/17)
  2. 圧倒的な流動性
    • 常に世界中の資金が流入
    • 大口投資家(年金、中央銀行など)は米国債を代替できない
  3. 信頼の残る安全資産
    • 他国がトリプルAでも、規模・取引量・リスク管理の観点から米国債に軍配

つまり、**「消去法的に米国債が買われ続ける」**というわけです。


景気後退とインフレのダブルパンチ「スタグフレーション」の兆候

消費者心理の急悪化

  • ミシガン大学消費者信頼感指数
    • 予想:53.1
    • 結果:50.8(過去2番目の低さ)
  • 期待指数(1〜5年先の経済予測)
    • 結果:46.5(1980年以来の低水準)

インフレ懸念の再燃

  • 1年先のインフレ期待
    • 予想:6.5%
    • 結果:7.3%(1981年以来の高水準)

これらのデータは、「景気が悪いのに物価が上がる」という最悪の状態=スタグフレーションの予兆を示しています。


実体経済でも「停滞」は始まっている

M&A(企業買収・合併)の冷え込み

  • 2025年3月:2482件(2005年5月以来の低水準)
  • 米国企業のM&A件数(3〜4月):600件以下(2009年9月以来の低水準)

これは企業が「不透明な政策環境」を懸念して、投資・拡大を見送っている証拠でもあります。


トランプ関税と貿易交渉の行方

  • 総合関税の再発動期限:2025年7月上旬
  • 各国とは交渉中だが、交渉結果は未定
  • トランプ氏は「交渉したい国とはするが、すべてとはしない」と明言

注目ポイント

  • アメリカとEUの貿易交渉が前進
  • トランプ関税に対する期待感が一部の株式市場を支えている
  • 18カ国(日本・韓国・インド・ベトナムなど)が重点交渉国

米国株の見通し:夏は上昇、秋以降は再下落?

時期見通し
夏まで株高の持続。交渉進展への期待、4月の暴落を織り込み済み
秋以降景気減速と企業業績悪化で急落の可能性

投資家は「夏の上昇に浮かれず、秋の下落に備える」姿勢が重要です。


Q&A:投資家の素朴な疑問に答える

Q1:S&P500を売ってドイツ株ETF(EWG)に乗り換えるのはアリ?

→「極端ではない」との回答。

  • これまで米国株一強の時代だったが、今後は変わる可能性あり
  • ドイツの財政出動(1兆ユーロ)はGDPの25%に相当する大型政策
  • 米国株がPRの低下(マルチプル・コントラクション)で長期停滞する可能性あり

Q2:ドイツには大型企業が少ないのに、アウトパフォームできるの?

→「企業の規模より伸び率が重要」

  • 例:Appleと比較してドイツ銀行は小さいが、株価の上昇率では勝てる可能性あり
  • 規模より成長率に注目すべき

投資家としてどう備えるか?

  1. 米国債は売られすぎを心配しなくていい
    • 流動性と市場規模が圧倒的
  2. 景気と物価の逆行に警戒(=スタグフレーション)
  3. 秋以降の米国株下落シナリオを想定
    • ポートフォリオの見直しを
  4. 他国市場への分散も検討
    • ドイツ、アジア、資源国など
  5. 不動産クラウドファンディングや暗号資産も選択肢

まとめ:格下げは「きっかけ」、本質は「経済の減速と不確実性」

  • 米国の信用格下げは投資家の信頼に一石を投じる
  • しかし、米国債は今後も安全資産として買われ続ける
  • 問題はその後のインフレと景気後退が同時に進む可能性
  • 夏までは「表面的な株高」でも、秋には厳しい現実が見えてくる

「格付けはきっかけ、本当の勝負は秋以降」――この視点を忘れずに投資判断をしていきましょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次