米国不動産を使う法人の減税方法!

この記事は、元動画のタイトル「【知らない人多すぎ、、】●●不動産を使った最強の法人税対策について税理士が解説します」を基に執筆しています。

目次

結論

法人が米国の中古木造住宅に投資すると、建物割合の高さと日本の減価償却ルールを活用できるため、年間の減価償却費を大きく計上して課税所得を圧縮しやすい。

個人は2021年改正で制限が強まった一方、法人は対象外のため、有力なキャッシュ防衛手段として再注目されている。

ただし、あくまで課税の繰延であり、出口設計や為替・税務・管理のリスクを織り込んだ運用設計が不可欠である。

なぜ海外、とくに米国不動産なのか

動画のポイントは三つに整理できる。

第一に、米国は土地が相対的に安く建物の価値が高く評価されやすいので、土地建物比率が建物優位になりやすい。

第二に、日本の税法上、築22年以上の木造は4年で減価償却でき、短期間に大きな経費を計上できる。

第三に、メンテナンス文化と人口流入のある地域では資産価値が落ちにくく、売却益も狙える可能性がある。

日本では土地が高く建物割合が低くなりがちで、同じ取得額でも償却原資が小さくなる。したがって、同額投資でも法人にとっての損金化スピードが米国物件の方が速い、という前提だ。

建物割合の違いがもたらすインパクト

動画では、日本と米国の土地建物比率をイメージしやすい対比で説明している。

日本は土地:建物がおおむね8:2、米国は2:8になりやすいとされる。減価償却は建物部分にしか適用できないため、この差がそのまま「損金化できる金額の差」になる。

例として、総額1億円の物件を取得した場合、日本で建物2割なら償却対象は2,000万円にとどまる。一方、米国で建物8割なら8,000万円が償却対象となる。同じ1億円でも、損金化できる母数が4倍違う計算だ。

「築22年以上の木造=4年償却」という強力なレバー

日本の税法では木造の法定耐用年数は22年。

これを超える中古木造を取得した場合、法人は4年で定額償却できる。つまり、建物割合が大きい物件を選び、築年数要件を満たせば、短期でまとまった償却を計上できる。

この「短期×大口償却」が、利益が急伸する局面の法人にとって課税所得の平準化に機能する。

動画内では、東南アジアなどのRC造コンドミニアム(耐用年数が長い)と対比し、木造の米国中古市場の使い勝手の良さを強調している。

具体例で見るキャッシュインパクト(テキサス州のケース)

動画の試算は次の通りである。

前提数値
為替1ドル=140円(固定)
物件価格37万ドル
築年数23年(木造、4年償却の対象)
建物割合約86%
償却対象額37万×0.86=約32万ドル
年間償却費32万÷4年=8万ドル
円換算の年間償却費約1,120万円
想定実質利回り2〜3%

この設定では、4年間にわたり毎年約1,120万円の減価償却費を損金算入できる。

利益が膨らむ時期にこの規模の償却を当て込めば、法人税のキャッシュアウトを大きく抑えられる可能性がある。加えて、同物件はインカムも2〜3%を見込む前提で、保有中のキャッシュフローも完全な持ち出しにはなりにくい構図だ。

課税の繰延であることと「出口設計」の重要性

減価償却は永久免税ではなく、基本的には課税のタイミング調整にすぎない。

帳簿価額は償却で下がるため、売却時には譲渡益が出やすい。したがって、いつ、どの費用・損金と相殺するかが設計の肝になる。

動画で触れられた代表的な設計は、退職金の支給や大規模投資など損金が多額に発生する年度に売却を寄せ、譲渡益とぶつける手法だ。

あるいは、米国不動産の買い替えでさらに繰り延べを図るアプローチも紹介されている。いずれも「納税回避」ではなく「納税時期の最適化」である点を踏まえ、数年先を見据えた資本政策カレンダーに落とす必要がある。

テキサスが注目される背景

動画では、法人税や個人所得税の州税がかからない点、トヨタなどの本社移転で人口・経済の伸びが期待できる点が挙げられている。

人口流入が続くエリアは空室リスクや賃料下押し圧力が相対的に小さく、キャピタルゲインも見込みやすい。加えて、流動性が高い市場であることは「売りたいときに売りやすい」出口の柔軟性にも直結する。

個人が使いにくくなり、法人が注目される理由

2021年の税制改正で、個人による海外不動産を使った大口償却の活用は制限が強化された。

一方、法人はこの制限の対象外であるため、高収益期における課税繰延の道具として脚光を浴びている。動画のメッセージは「個人では難しくなったが、法人ではルールの範囲で今も使える」に尽きる。

リスクと実務上のポイント

  • 為替リスク
    売却時に円高だと円換算の手取りが目減りする。逆に外貨建て資産の分散効果や円安ヘッジとしては機能する。
  • 二国間の税務と申告体制
    日本と米国での申告が必要になり、条約適用や外国税額控除の扱いなど専門性が求められる。社内と顧問側の役割分担を事前に明確化しておく。
  • 物件管理リスク
    距離・言語・商習慣の壁から、修繕連絡の遅延や稼働報告の不備が起きやすい。現地PMの選定は日本語対応や現地拠点の有無、営業時間を含めて複数社比較すべき。
  • 出口の相殺設計
    売却益と退職金・大型投資などの損金を重ねる年次設計が必要。繰延の延長だけでなく、最終的な着地点を決めておく。

まとめ

米国の中古木造住宅は、建物割合の高さと日本の減価償却ルールの相性が良く、法人の利益平準化に実務効果が大きい。

動画の試算でも、37万ドル・築23年・建物割合86%という条件で、4年間にわたり毎年約1,120万円の償却を計上できるインパクトが示された。

とはいえ、これは課税の繰延であり、出口の年次設計、為替・税務・管理の三つの壁を超える体制が前提だ。

利益が「爆発的に伸びる」年ほど、資本政策、退職金や投資計画との同期、申告体制の強化をセットで進めることが、最強の法人税対策を「持続可能な戦略」に変える鍵になる。

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