本記事は、YouTube動画『米欧対立激化で急落 AIから地政学リスクへ “金・防・油”』の内容を基に構成しています。
米国経済の先行き不透明感やインフレ懸念が続く中、株式市場ではこれまで相場を牽引してきたAI関連株に陰りが見え始めています。
一方で、地政学リスクの高まりを背景に、金や防衛、エネルギーといった「古くて地味」とも言われがちなセクターに資金が流入する動きが鮮明になっています。本記事では、動画の内容を基に、現在の市場環境と今後の投資の考え方について初心者にも分かりやすく整理していきます。
米欧対立が引き起こした株式市場の動揺
動画ではまず、トランプ大統領の発言をきっかけとした米欧関係の緊張が、金融市場に与えた影響が解説されています。
トランプ大統領は、グリーンランド取得を巡る問題を背景に、欧州8カ国からの輸入品に対して10%の追加関税を課すと表明しました。
これにより、欧州の代表的株価指数であるユーロストックス50は1.8%下落し、米国株式市場でもS&P500先物が0.9%下落するなど、株式市場は即座に反応しました。
一見すると突飛にも思えるグリーンランド取得構想ですが、その背景にはロシアへの対抗を目的とした防衛構想や、レアアース資源の確保といった現実的な狙いがあるとされています。
米国はレアアースの約80%を輸入に頼っており、そのうち約70%を中国に依存している状況です。この中国依存を減らすことは、米国の安全保障と経済戦略の両面で重要な課題となっています。
EUが強く反発できない現実的な理由
EU側も対抗措置として約930億ユーロ、金額にして約17兆円規模の報復関税案や、米国企業の欧州市場へのアクセス制限を検討しています。しかし、現実にはEUは米国に対して強硬な姿勢を取りにくい立場にあります。
その理由の1つがウクライナ戦争です。
欧州の防衛体制は米軍に大きく依存しており、仮にトランプ大統領がウクライナ支援から撤退するだけでなく、NATOからの離脱を示唆するような事態になれば、欧州の安全保障は大きな打撃を受けます。
そのため、欧州は政治的なパフォーマンスとしてトランプ大統領を批判することはあっても、最終的には米国の要求を一定程度受け入れざるを得ないと考えられています。
結果として、米欧対立は一時的な緊張を生むものの、長期化する可能性は低く、裏では防衛費増額やレアアースの共同開発といった形で米国側の利益が確保されるシナリオが想定されています。
AIブームに陰り マグニフィセント7の変調
市場全体を見ると、ウォール街ではAIブームに対する見方が徐々に変化しています。かつて市場を牽引してきたマグニフィセント7と呼ばれる大型ハイテク株は、足元で以前ほどの勢いを失っています。
昨年の相場を振り返ると、S&P500をアウトパフォームしたのはアルファベットとNVIDIAの2銘柄のみで、残りの5銘柄は指数を下回るパフォーマンスでした。
今年に入ってからも、S&P500を上回っているのはアルファベットとアマゾンの2銘柄にとどまっています。この状況から、投資家の間では「マグニフィセント7の時代は終わった」と考える人が増えつつあります。
ただし、これは投資家が一斉に弱気に転じたという意味ではありません。資金はAI関連の中でも、より次の段階とされる半導体製造装置株や、AIの波及効果が期待される分野へとシフトしています。
テーマはAIから地政学リスクへ
動画で特に強調されているのが、今年の相場テーマがAIバブルから地政学リスクへと移行している点です。実際にパフォーマンスを見ても、その傾向は数字に表れています。
均等株ETFのGDXは年初来で13.4%上昇し、米国航空宇宙・防衛ETFのITAは13.6%高、石油サービスETFのOIHは14.7%高と、S&P500の1.4%上昇を大きく上回っています。
これらのセクターが買われている背景には、安全資産としての金需要の高まり、各国政府による防衛費増額への期待、そして資源開発を巡る地政学的緊張があります。
投資家は宇宙ロケットや量子コンピューターといった次世代ハイテクにも注目していますが、実際に資金が集まっているのは、金、石油、防衛といった従来型のセクターである点は見逃せません。
米国株一強時代の終焉と国際分散投資
さらに動画では、米国株の比率についての考え方も示されています。
向こう5年から10年を見据えた場合、米国株の比率は0%でも問題はありませんが、市場全体の動きについていきたいのであれば20%から40%程度が1つの目安になるとされています。
米国株と米国を除く世界株式の相対指数を見ると、2011年から2024年末までは米国株が世界をアウトパフォームしてきましたが、2025年からは下落に転じ、50ヶ月移動平均線を試す展開になっています。
仮にこの水準を明確に割り込めば、今後数年間は米国株が世界に劣後する可能性が高まります。
この場合、欧州株、新興国株、コモディティといった資産を組み合わせた国際分散投資が重要になると考えられます。
2026年以降の相場見通し
最後に、動画では中長期的な相場観が示されています。2026年の米国経済は労働市場の悪化を背景に景気後退に入り、FRBは6回から8回の追加利下げに踏み切ると予想されています。
その結果、米国株は弱気相場に入り、底打ちは2027年3月から10月頃になる可能性があるとされています。
S&P500の最大下落率は50%から60%程度が想定され、個人投資家は現金比率を高めて備える必要があるとしています。
一方で、欧州株や新興国株、金などは比較的早い段階で底打ちし、次の経済拡大局面では国際分散投資が主流になるとの見方が示されています。
まとめ
今回の動画では、米欧対立という地政学的要因を起点に、株式市場のテーマがAIブームから金・防衛・石油といったリアルアセット中心へ移行しつつある現状が詳しく解説されていました。マグニフィセント7に代表される米国大型株の時代が一服する中で、投資家には資産や収入の分散、そして冷静なリスク管理がこれまで以上に求められています。
短期的な流行に振り回されるのではなく、地政学リスクや長期的な経済構造の変化を踏まえたポートフォリオ構築が、これからの投資環境では重要な鍵となりそうです。


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