※本記事は、YouTube動画「【自動車株反発はいつ?】森永康平と考える投資戦略」をもとに内容を整理・解説したものです。
目次
結論:短期のカギは“関税”、中長期では“構造改革”と“自動運転”
現在、自動車株は全体的に調整局面にありますが、その背景には米国の関税引き上げリスクが大きく影響しています。
森永氏の見立てによれば:
- 8月予定の関税交渉の行方が短期的な株価反転のカギ
- 中長期ではEV・自動運転分野への対応力、事業ポートフォリオの多様性が重要
- 自動車メーカー以外にも、車載ソフト開発などの周辺企業に注目すべき
自動車株が低迷する3つの背景要因
1. アメリカの関税引き上げ
- 2024年4月、米国が外国製自動車への関税を2.5%→10%以上に引き上げる方針を発表
- トランプ政権が目指す「アメリカ国内生産促進」の影響が色濃い
- 日本・中国のメーカーが標的になっており、輸出依存の高い日本メーカーには逆風
2. 日本経済への打撃
- 自動車業界の関連人口は約1100万人
- 関税による輸出量30%以上減で、日本のGDPが1%押し下げられる可能性も
3. EV・自動運転・AI対応の遅れ
- BYDやテスラなどのEVメーカーに比べ、日本勢は出遅れ
- 自動運転やAI連携も、米中企業に比べて技術面で課題あり
- 半導体は台湾、AIはアメリカ、レアアースは中国と依存先が偏っている
トヨタ(7203):業績は堅調、でも関税が重荷に
- 株価は4月に急落→5月に回復→再び下落
- 売上は伸びているが、営業利益・純利益は前年割れ
- 人件費増加やコスト上昇が影響
- EV販売比率は着実に増加中
- 配当は増配し株主還元には積極的
→ 関税リスクがなければ、本来は買いが入る優良株
日産(7201):業績見通し“未定”の不透明感
- 株価はトヨタと似た動き
- しかし自動車事業のフリーキャッシュフローは▲2500億円
- 関税不安から2025年度の業績見通しを提示できない
- ホンダとの提携交渉も破談
- ゴーン時代のリバイバルプランを連想させる、抜本的な改革が必要
マツダ(7261):売上は伸びたが利益は60%減
- 2025年1Qは営業利益60.3%減
- 円安・コスト上昇が影響
- 業績見通し・配当も「未定」で発表
- 日産同様、不確実性が高く、株主としては様子見
ホンダ(7267):2輪事業が支えに
- 売上は増加も、利益は減少
- ただし、二輪事業が絶好調
- 販売台数、営業利益、利益率ともに過去最高
- 自動車依存を分散できており、他メーカーと比べて株価回復が早かった
- ただし、二輪に過度依存するのはリスクでもあるため、バランス重視がカギ
注目の“関連銘柄”:システナ(2317)
- 車載ソフトウェア開発を手がけるIT企業
- 自動運転技術に強み
- ROEが高く、配当利回りも良好
- 森永氏いわく「自動車メーカーに直接投資しにくい今、周辺企業として注目」
自動車株が反発する条件は?
関税問題の解決
- 8月が交渉の山場(※9月に延期される可能性も)
- 仮に「関税見送り」になれば、一気に株価反発のトリガーとなる
自動車業界全体の再編・進化
- EV化、自動運転、AI連携の対応力が問われる
- 産業構造の変化に柔軟に対応できる企業が中長期で成長
投資戦略まとめ
メーカー | 株価傾向 | 強み | 弱み・リスク |
---|---|---|---|
トヨタ | 停滞中 | EV進展・増配 | 関税不透明 |
日産 | 低迷 | (特になし) | キャッシュフロー悪化、見通し未定 |
マツダ | 低迷 | 売上増 | 利益急減、未定続き |
ホンダ | 安定 | 2輪事業絶好調 | 利益は現役、過度な2輪依存懸念 |
システナ | 緩やか上昇 | 自動運転分野に強み | 景気後退で設備投資が鈍ると影響も |
森永氏の総括コメント
「目先は関税。中長期では再編や周辺技術に注目すべき。今は株価が抑えられているからこそ“仕込み時”として前向きに分析しておきたい」
まとめ:自動車株に投資するなら“関税交渉”と“技術対応力”を見極めろ
2024年後半〜2025年前半は、自動車株にとって試練の時期ですが、正しく分析すれば中長期での成長銘柄を拾えるチャンスにもなります。
- 8月の関税交渉が注目ポイント
- 短期では慎重に、中長期では将来性を見て選定
- 周辺企業(システナなど)への分散投資も有効
今は焦らず、「投資準備の月」として情報収集と企業分析に集中することが、次の上昇相場を掴む鍵になるでしょう。
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