本記事は、YouTube動画『過去最大の資金流入で金が上がった理由!直近の値動きと今後の注意点をデータで徹底解説』の内容を基に構成しています。
金が止まらない背景にある「資金の質」の変化
金価格が過去最高値を更新し続け、「高いから買えない」と感じて見送っていた人ほど、気づけばさらに上の水準を眺めてしまう。
そんな展開が続いています。動画では、この上昇が単なる雰囲気ではなく、数字で確認できるレベルの「歴史的な資金流入」と「市場構造の変化」によって起きている点が強調されていました。
特にポイントは、これまで金上昇の主役として語られがちだった中央銀行や新興国の買いだけではなく、2025年に入ってから金ETFを中心に、北米の資金が一気に動き、値動きを押し上げたという点です。
つまり「誰が買っているのか」「どこで取引が増えているのか」を押さえないと、金の上昇局面の本質を見誤るという流れになっています。
金価格はどこで決まるのか、なぜ取引量が重要なのか
金の価格形成というと、多くの人は先物市場や、個人が買っているETFの動きだけを想像しがちです。しかし動画では、実際の金取引の中心は、必ずしも私たちの目に見える市場だけではないと説明されていました。
見えやすいのは、先物市場やETFの売買です。
一方で、実態として巨大なのはOTC取引、つまり相対取引です。海外の参加者同士が「今日売る」「今日買う」と相対でやる取引は、可視化されにくいのに規模が大きく、価格に強い影響を与えるとされています。
ここで重要になるのが流動性です。流動性が増えるということは、参加者が増え、売買の回数が増え、資金が回転し、値動きが大きくなりやすい土台ができるということです。
価格は需給だけでなく、どれだけ資金が集まり、どれだけ取引が成立しやすいかでも動きます。動画が繰り返し強調していた「取引量の急増」は、まさにその土台が一段上に移ったことを示しています。
2025年の金上昇を作ったデータの核心
2025年は金ETFへの資金流入が桁違いに増えた
動画の中心テーマは、2025年の金ETFへの資金流入が「過去最大」だった点です。具体的には、2024年の資金流入が約40億ドルだったのに対し、2025年は約890億ドルと説明されています。単純比較で20倍以上という表現が出ており、これは市場のムードというより、資金の移動が別次元だったことを示しています。
さらに、金ETFの総運用資産(AUM)が2025年に2倍以上に膨らんだとされ、買いが続いた結果として、保有量も積み上がったという流れです。動画内では、2024年末の保有量が3224トン、2025年は4000トン台に達したという数字が示され、投資家が「金を持つ量」を実際に増やした事実が強調されていました。
金価格が上がる局面では、「先に買っていた人が得をする」だけでなく、「上がっているから買う」というモメンタムの資金がさらに流入しやすくなります。
動画では、2025年はまさにその循環が強く働き、投機資金も含めて価格を押し上げたという見立てでした。
地域別の買い:主役は北米、ただしアジアも増えている
2025年にどこが買ったのか、という点も具体的でした。数量ベースでは、北米が445トン、欧州が131トン、アジアが215トンという説明があり、北米が最大の牽引役だったことがはっきりします。
国別の話では、アメリカが438トン、中国が133トンという数字が示され、資金力と投資需要の大きさが目立ちます。さらに日本も26トンという言及があり、「日本の投資家も金を買い始めた」というニュアンスで語られていました。
ここで意味が大きいのは、これまで金の話題が「中央銀行が買っている」「インドや中国が買っている」といった文脈に偏りがちだったのに対し、2025年はETFに資金が戻り、投資家・ファンドの資金が本格的に乗ってきた点です。
これは、金が一部の長期保有者だけでなく、より広い投資行動の対象になったことを示します。
取引量の急増:市場流動性が前年比56%増というインパクト
動画では、金市場の流動性が1日平均3610億ドルで、前年から56%増えたという説明がありました。
さらにOTC取引が41%増えたという話も出てきます。可視化されにくい相対取引の増加が大きいというのは、価格が動く「見えないエンジン」が強くなったことを意味します。
一方で取引所の内訳も語られており、ニューヨークのCOMEXが57%増、上海の先物市場が116%増という数字が示されました。市場ごとに温度差はあるものの、世界全体で「金を売買する行為」そのものが拡大しているという結論につながります。
12月に関しても、1日の平均取引高が3610億ドル、別の箇所では4100億ドルという非常に大きな数字が出てきました。細かな数値の揺れはあっても、重要なのは「日々の取引規模がとんでもなく大きい水準に達している」という点です。
先物ポジション:投機筋は買い増し、しかし全員が同じ動きではない
金が上がると「みんな買っているなら、誰が売っているのか」という疑問が出ます。
動画ではこの点も整理されており、先物市場は買い手と売り手が揃わないと成立しないため、投機筋が買う局面では、生産者や現物保有者が価格変動リスクを避けるために売りヘッジを出し、それを投機筋が買う構造があると説明されていました。
また、投機筋の買い持ちが15%増で683トン、マネーマネージャーのネットロングが18%増、投資家ポジションが11%増といった数字が提示され、短期資金が強く入っていたことが示されています。
一方で、いわゆる機関投資家の買い残高は減っているという指摘もあり、参加者の中でも「買っている主体の性格が違う」点が注意として残ります。
金だけでなく銀・プラチナも急騰し、相場全体が過熱した
2025年は金だけの年ではなく、貴金属全体が急騰したという話も重要です。動画では、2025年のリターンとして、金が67%上昇、銀が162%上昇、プラチナやパラジウムも高い上昇率だったという説明がありました。
金が67%上がる時点で異例なのに、銀がその2倍以上というのは、値動きが投資・投機資金主導で強烈になっていたことを示します。さらに「1979年の第2次オイルショック以来の上昇率」という歴史比較が出てきており、ショック相場級の上昇が、はっきりしたオイルショックのような分かりやすい出来事なしに起きていることが異常さとして語られていました。
この文脈で、今後に対する示唆として「これほど上がるなら、これから何かショックが起きるのではないか」という見方も提示されます。もちろん断定はできませんが、少なくとも市場が「不安」や「リスク」を価格に織り込みに行っている可能性がある、というのが動画のトーンでした。
追加解説:2026年に見るべき材料と、金の上昇が止まる条件
金が上がる理由は実需ではなく、マクロと不安のヘッジが中心
動画では「物理的な需給が理由ではない」と明確に線を引いていました。金価格を押し上げているのは、中央銀行の買い、政策の不透明感、地政学リスク、政治不安、外交不安、そして資産分散需要です。
ここで初心者が混乱しやすいのは、「金は実需があるから上がる」という理解です。金にも宝飾や工業用途はありますが、今回のような大きな上昇は、実需の増減よりも、金融資産としての需要が圧倒的に強く効いているという整理になります。動画でも、貴金属の上昇は「投資家・投機家がお金を稼ぐために買っている部分が大きい」という表現で語られていました。
地政学リスク指数と金:100ポイント上昇で2.5%押し上げという感度
金が「安全資産」と言われる理由を、データ面から補強する話も出てきました。地政学リスク指数が100ポイント上昇するごとに、金価格が2.5%押し上げられるという計算がある、という紹介です。
さらに2022年以降、金は地政学リスクに対する感度が高まっているという説明があり、「何かが起きたときに買われやすい資産」が、米国債やスイスフランより金になっているというニュアンスが語られていました。これにより、インフレや金利やドルといった要因だけで金を見ていると、説明できない動きが増える可能性がある、という注意点につながります。
政策リスクが消えたとき、金は一度売られる可能性がある
金は不安のヘッジで買われる一方、その不安が薄れた局面では売られやすいという側面があります。動画でも、政策不安が一時的に解消した場合、金がいったん売られる可能性を考えておくべき、という話がありました。
具体例として、アメリカの関税政策をめぐる法的争いが取り上げられています。国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく関税の正当性が争点になり、企業が訴えている、最高裁が審理しており判決が近い、といった不確実性が政策リスクとして金を支えているという説明でした。
もし判決で不透明感が増えるならリスク要因が残り、逆に整理されれば安心感が出て金の短期的な重しになる可能性もある、という整理になります。
ここは初心者にとって大事で、金はずっと上がり続ける前提で見てしまうと、短期の逆回転に耐えづらくなります。上昇の理由が「不安」である以上、不安が薄れる局面の反応も常にセットで考える必要があります。
銀・プラチナとの関係:出遅れが先に崩れたとき金はどう動くか
2025年後半は、銀やプラチナが出遅れとして強く買われ、上昇率が金を上回りました。
動画では、銀は太陽光パネルなどの用途もあり、価格が元々安かったこともあって投機資金が入りやすかったという説明がありました。プラチナは実需があるため、高くなりすぎると需要が落ちるという弱点がある、とも指摘されています。
この構造を踏まえると、2026年の注意点は「他の貴金属が崩れたとき、金は単独で上がれるのか」という視点になります。もし金が再びリーダーとして単独で資金を集めるなら強い展開になり得る一方、金が他の貴金属に引っ張られていた部分が大きい場合、全体の熱が冷める局面では金も調整を挟む可能性があります。
株と金の相対:S&P500÷金の比率が示す長期的な含意
動画後半では、株と金の相対価値を測る見方として、S&P500を金価格で割った比率が紹介されていました。1970年以降の平均が1.63倍で、現在は1.52倍まで低下しているという説明があり、これは相対的に金が強く、株が弱い局面に近づいているという解釈になります。
過去にはリーマンショック後に0.5付近まで下がった時期がある、という例も挙げられていました。数字は仮定の話として、S&P500が7000ポイントで金が1万ドルを超える、といった極端なシナリオも示され、「当時のような強烈なインフレや世界の緊張が高まると、金は想像を超える値段になり得る」という警戒感につながっています。
これは怖がらせる話というより、資産の価値が変動する時代に「現金だけで安心する」こと自体がリスクになり得る、というメッセージとして語られていました。金が上がるという現象は、裏側で通貨の購買力や世界の不確実性が意識されている可能性がある、という視点です。
まとめ:金上昇の正体は「記録的資金流入」と「不安の価格化」、2026年は変化点に注意
今回の動画内容を整理すると、金が上がった最大の理由は、実需ではなく資金の流れ、とりわけ2025年の金ETFへの過去最大級の資金流入にあります。
2024年の約40億ドルに対し、2025年は約890億ドルと20倍以上に膨らみ、AUMは2倍以上、保有量も4000トン台へと積み上がりました。北米資金が主役でありながら、アジアや日本でも買いが増え、さらに市場の流動性は1日平均3610億ドルで前年比56%増という規模に達しています。
一方で、この上昇は投機資金の回転も強く、地政学リスクや政策不透明感への反応が高まっている点が特徴です。地政学リスク指数が上がると金が押し上げられるという感度の話もあり、金は金利やドルだけでは説明しきれない局面が増えています。
2026年に向けては、政策リスクの解消で一度売られる可能性、銀やプラチナなど他の貴金属の調整が金にどう波及するか、そして金が再び相場の主役として単独で資金を集めるのかを見ていく必要があります。
タイミングだけを気にして見送ると、同じ後悔を繰り返しやすい一方、上昇の理由が「不安」である以上、不安が薄れる局面の下落も想定したうえで、どう金を資産の中で使うかを考えることが重要になります。


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