金が急落したのはチャンスか脅威か:1日で5.7%下落の背景と、これからの戦い方

目次

結論

2025年10月22日に金先物が1日で5.7%下落しましたが、動画の主張は明確です。

短期の過熱が一気に冷やされただけで、長期トレンド(通貨価値の希薄化、各国中銀の買い増し、地政学リスク、米国の利下げ・減税によるインフレ圧力)は不変。長期投資家にとっては押し目の仕込み好機になり得ます。


1 金価格はなぜ「過去最大級」の急落になったのか

ポイントは二つの同時発生です。

1 短期の行き過ぎ
直近1年で金価格は2倍超。9月以降は特に急ピッチで上昇し、金利低下観測や債券魅力度の低下、金融不安、米中関税懸念で投機的な買いが積み上がっていました。軽い下げをきっかけに利確とロスカットが連鎖。

2 米中関税リスクの緩和観測
一時は関税100%も口にしていた米側のトーンが軟化。安全資産から株式へ資金が戻る思惑が短期的に金売りを強めました。

比喩すると、マラソンで序盤から全力ダッシュしていた集団が一斉に息切れした状態。長距離のペースには戻るべきで、長期視点では過度に悲観する局面ではない、という整理です。


2 「安全資産」の正しい意味

安全資産とは、価格が上下しない資産ではありません。価値がゼロになりにくい資産のことです。


企業は倒産すれば株が無価値になり、国が破綻すれば通貨も紙切れになりますが、金は古来から世界共通で価値が認められ、流通も厚い。だから安全資産と呼ばれます。

また株式暴落時に金がクッションになる傾向は、リーマンショックやコロナショックでも確認されました。


3 長期トレンドが崩れていない4つの理由

1 通貨価値の希薄化(マネーサプライの構造増)
米国のマネーサプライは過去50年で約35倍、金価格は10倍超。結果、ドルの金に対する購買力は長期的に低下。中央銀行は理論上いくらでも通貨を発行できますが、地中から掘り出せる金の量には限界があります。

2 世界の中央銀行が継続買い
2010年ごろから純買いが続き、2022年以降は年1000トン超の買い越しが常態化。準備資産の多様化としてドル一辺倒から金比率を高める動きが加速。

3 地政学リスクによる脱ドル需要
ロシアの凍結事例以降、非西側諸国を中心に「ドル建て準備の政治リスク」を意識。金は特定の国に依存せず、換金性が高い安全弁として再評価。

4 米国の利下げ・関税・減税の組み合わせ
利下げ要請や理事解任などFRB独立性への干渉、関税の引き上げ、2025年7月の大型減税恒久化などは、ドル安・インフレ再燃への懸念を高め、相対的に金の魅力を押し上げる材料。


4 日本固有の追い風シナリオ

高市政権は積極財政寄り、利上げに慎重とされます。円安圧力と財政拡張は国内インフレを押し上げやすく、日本円ベースの金価格には上向きの力が働きやすい構図。


実需面でも、田中貴金属店頭の行列や、5g・10g・20gなど小口インゴットの一部販売停止が示す通り、現物需要はかなり強い局面です(動画内言及)。


5 新NISAで買えるゴールド系投信の比較(動画ベース)

主要4本(新NISA対応)

  • SBI ICR ゴールドファンド
  • 三菱UFJ純金ファンド
  • ゴールドファンド(旧日興→動画では「アモーブアセットマネージメント」に名称変更と説明)
  • スマートアイ ゴールドファンド

直近資金流入の勢い(例)

  • SBI ICR:純資産約1771億円(年初来で10倍超)
  • 三菱UFJ純金:約7282億円(最大規模)
  • アモーブ系:約1608億円
  • スマートアイ:約219億円

信託報酬(目安)

  • SBI ICR:0.27%
  • 三菱UFJ純金:0.96%
  • アモーブ系:0.44%
  • スマートアイ:0.57%

パフォーマンス指標(動画でのシャープレシオ例)

  • 直近1年:スマートアイが最良(2.37)
  • 直近3年:アモーブ系 1.88、スマート 1.87、三菱UFJ 1.73
  • 直近5年:アモーブ系 1.29、三菱UFJ 1.19

注意
上記は動画内の数値整理。実際の購入前には各社の最新目論見書・月報で必ず確認を。


6 参考:米国株×金のレバレッジ複合も人気(新NISA対象外)

  • S&P500 ゴールドプラス:信託報酬0.198%、純資産約851億円
  • NASDAQ100 ゴールドプラス:信託報酬0.2189%、純資産約1045億円(直近1か月で約500億円増加の勢い)

ファンドの主張では、直近1年リターンがファングプラスを上回るケースも提示。レバレッジ商品である点、NISA対象外である点、ボラティリティが高い点に留意。


7 どう仕込むか:実践ステップ

1 買い方の基本設計

  • 時間分散の積立(毎週・毎月・押し目時の追加を機械化)
  • 比率管理(例:株60〜70、金10〜20、債券または現金10〜20、暗号資産0〜10など自分の許容度で)

2 現物か投信かETFか

  • 現物:非常時の携行や分散保管を重視する人向け。小口バーやコインは流動性○だがプレミアムや保管コストに注意。
  • 投信・ETF:手数料と追随度、為替ヘッジの有無を確認。課税・NISA枠の使い方も最適化。

3 相場変動への備え

  • さらに下がった場合:あらかじめ買い増しトリガーを価格か%で決めておく。
  • 早期に切り返した場合:過度な追い買いは避け、元の配分レンジに収斂させるリバランスで冷静に。

4 円建て視点を忘れない

  • 円安が続けば、ドル建て横ばいでも円建て金価格は上がりやすい。為替も合わせて設計。

5 ありがちなNG

  • ニュース1本で全力ドテン
  • 生活防衛資金の取り崩し
  • 値動き耐性を超える比率で一括

8 よくある質問

Q 安全資産なのに5〜10%も下がることがあるの?
A あります。安全=ゼロになりにくいという意味。値動きは当然あります。

Q いま買ってもまた下がりませんか?
A あり得ます。そのため時間分散と比率管理を徹底。トリガーを決めた機械的な買い増しが有効です。

Q 現物と投信はどちらがよい?
A 目的次第。非常時の携行・分散保管重視なら現物、運用効率・手間の少なさなら投信やETF。


9 まとめ

  • 1日で5.7%の急落は、過熱のはけ口として説明可能。長期を支えるファンダ要因はむしろ強固。
  • 中銀の純買い、通貨価値の希薄化、地政学、米国政策ミックスは、金の構造的な需要を下支え。
  • 日本では財政・金利・為替の組み合わせにより、円建て金価格の押し上げ圧力が働きやすい。
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