金が歴史的高値更新、2026年も強気が続く理由とは?中央銀行の買い・フィアット不況・適正比率まで初心者向けに解説

本記事は、YouTube動画「【金銀銅プラチナ全て歴史的上昇】2026年もゴールドが強気な理由と適切な組み入れ比率」の内容を基に構成しています。

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金が最高値更新、2026年も上昇は続くのか

年末のタイミングで金価格が再び最高値を更新し、投資家の注目が一段と集まっています。動画では、ニューヨーク金先物が撮影時点で1トロイオンスあたり約4,400ドル、国内の金小売価格も史上初めて2万4,000円台に乗ったと説明されていました。

さらに驚くべきはパフォーマンスです。2025年の1年間で金はプラス63%と、主要株価指数を大きく上回る上昇になりました。2024年もプラス28.55%だったため、2年間合計では90%超の上昇という計算になります。国内価格は円安要因も乗るため、過去2年間で2倍以上になっている、という整理でした。

ここまで上がると多くの人がこう感じます。上がりすぎではないか、いまから買うのは怖いのではないか。しかし動画の結論は明確で、2026年もゴールドには強気の見通しを持てる、というものです。では、その根拠はどこにあるのでしょうか。

なぜ今、金だけが強いのか

動画では、2025年の金上昇を時系列で振り返っています。年初から5月ごろまで上昇し、その後は5月から8月半ばまで一時停滞、そして9月から10月に再び急伸し、2か月でプラス30%程度の上昇になったという流れでした。

この9月から10月の上昇を説明するキーワードとして挙げられたのが、利下げ期待と、上がるから買う、買うからさらに上がるという群集心理です。

いわゆるFOMOが世界的に起きたという見立てでした。実際、田中貴金属の本店前に中高年の行列ができたこと、金現物が足りず20g、10g、5gといった小型バーが販売停止になったことも紹介され、熱狂の広がりが具体例として語られていました。

一方で、上昇の熱が冷めた局面もありました。

最高値から1割ほど下落する調整が入ったものの、足元では再び最高値更新に戻ってきた、という説明です。このあたりは、金が一方向にだけ上がったのではなく、買いが集中しやすい局面と、利食いが出る局面を繰り返しながら上昇していることを示しています。

2026年も金が強気とされる理由

理由1:全員参加型の相場になりつつある

動画では、金がもはや一部の投資家だけのものではなくなっていると強調されます。中央銀行、機関投資家、個人投資家、そして実需も含めて、みんなが金を欲しがっている状態だという整理でした。

ここで重要なのは、需要が1つの層に偏っていない点です。誰かが買うのをやめれば終わる相場ではなく、複数の主体が同時に参加しているため、調整があっても買いが入りやすい構造になりやすい、という示唆になります。

また、視聴者が抱きがちな心理として、2割から3割の調整が来たら買いたい、という待ちの姿勢にも触れられていました。ところが経験則として、みんながその水準を待っているときは、むしろ大きな調整が来にくいことがある、という話も出てきます。

もちろん必ず当たる法則ではありませんが、待ちの買いが多いほど下がりにくい、という需給の考え方は初心者でも理解しやすいポイントです。

理由2:中央銀行がドルより金を重視し始めた

今回の動画で、最も根本的で重要な変化として語られたのが、各国中央銀行の外貨準備の内訳です。

これまで外貨準備といえば米ドル、つまり米国債を積み上げるのが定番でした。

しかし2025年は、30年ぶりに金の保有量が上回ったという説明がありました。1980年ごろから、世界の中央銀行は金比率を下げて米国債を買い進めてきた歴史があり、アメリカが金融市場の王者として君臨してきた期間は50年以上に及びます。

それが今年になって、金と米国債の立ち位置が入れ替わった、というのが動画の問題提起です。

ここで誤解しやすい点も補足されていました。

法定通貨としての米ドルの存在感が消えたわけではありません。世界の通貨準備に占める米ドル比率は2024年末で57.8%とされ、30年前と大きく変わっていないとも語られています。

つまり、フィアット通貨の世界の中では依然として米ドルが中心である一方、米ドルと金を比べたとき、中央銀行が金の方をより信用できる資産として重視し始めた、という整理になります。

さらに興味深いのは、買い手が中国だけではない点です。中国が米国債を減らし金を増やしているのは事実として触れられつつ、2025年の主役は米国でも中国でもなく、いわゆるグローバルサウスの中立的な国々だという説明でした。

具体例として、ブラジルが9月に4年ぶりに金購入を再開したこと、ブラジル中銀の総裁が安値で買って利益を得るのが目的ではなく将来の有事に備えるためだと発言したこと、そしてポーランドが外貨準備に占める金比率を30%に高める方針を示したことが挙げられます。

現状が20%台前半で、そこから30%まで引き上げるという話であれば、単純に考えて今後も買いが継続する余地がある、という読みになります。

加えて、9月から10月の高値更新局面でも中央銀行の買いが衰えず、むしろ買い増ししているのは異例だとも語られていました。

通常、中央銀行は超長期の時間軸で動くため高値掴みを避ける傾向が強いのに、最高値更新中でも買い上がっている。ここは、金の需要が短期の投機熱だけでは説明できないことを示す材料として扱われています。

理由3:フィアット不況というメガトレンドが逆回転しにくい

動画の中核となるもう1つのテーマが、フィアット不況です。

フィアットとは裏付け資産がなく、信用によって成り立つ紙幣のことです。紙が価値を持つのは、人々がそれを価値あるものだと信じているからで、極端に言えば石ころや貝殻でも信じられれば通貨になり得る、という説明がありました。

そして現実には、世界中でフィアット通貨が増刷され、米ドルだけでなく多くの通貨の購買力が低下しやすい環境が続いている。だからこそインフレ耐性のある資産、つまり実物資産が上がりやすい。金はその代表格であり、フィアットが増えるほど相対的に価値が上がりやすい、というロジックです。

この流れを歴史で補強する話として、1971年8月15日のニクソンショックも出てきます。

金とドルの交換停止が宣言され、ブレトンウッズ体制が終わったことで、アメリカは事実上、必要に応じてドル供給を増やせるようになりました。

1970年代以降のマネーストックの増加が加速し、通貨供給と株価上昇が相関しやすいことにも触れられていました。名目GDPや金価格も同様の動きをしやすい、という補足もあり、インフレ環境の継続がリスク資産全体の追い風になり得るという見立てにつながっています。

ここからの結論は、かなりシンプルです。

米国財政の悪化が今後さらに進み得る以上、フィアット不況が止まって逆回転する可能性は低い。

利下げが進めば金には追い風になりやすいし、仮にインフレが根強く利下げできなくても、インフレそのものが金の追い風になりやすい。景気後退と物価上昇が同時に起こるスタグフレーションでも、安全資産として金が買われやすい。どのシナリオでも期待できる、ずるい投資先だと表現されていました。

理由4:金融緩和の広がりとFRBへの信認低下

短期材料としては、FRBの利下げや、FRBの独立性や信認の問題も挙げられていました。

具体的には、ゴールドマン・サックスの見解として、FRBの独立性が損なわれ、民間が保有する米国債のわずか1%でもゴールドに流入したら金価格は5,000ドルになる可能性がある、という話が紹介されています。

9月4日時点の金価格が約3,700ドルで、足元が4,400ドル近辺であることから、5,000ドルは来年にも届くかもしれない、という推測が語られていました。

また、アメリカだけでなく世界に目を向けると、先進国も新興国も政策金利が低下しやすい流れがあり、地球規模で金融緩和が行われている状態だといえ、それも金の上昇要因になり得る、という整理でした。

それでもリスクはある、BISが警戒するバブル論

強気材料が多い一方で、動画はリスクもきちんと挙げています。最も分かりやすいのは、上昇が行きすぎではないかという点です。

国際決済銀行BISは、金が伝統的な安全資産から投機的資産に変わってしまった可能性を指摘し、直近の値動きは少なくとも過去50年で金と株式が同時に爆発的な領域に入った唯一の時期だと警告している、という紹介がありました。

そして、バブルは通常、急激かつ迅速な調整によって崩壊するとしています。

ここで引き合いに出されたのが1970年代の金バブルです。1979年1月のイラン革命で中東情勢が緊迫化し、金価格が1年足らずで4倍以上になった。その後数年で3分の1近くまで下落し、さらに20年にわたる長期低迷に入ったという歴史が語られました。

この話が示すのは、金が絶対に下がらない資産ではないという当たり前の確認です。

今すぐ半分や3分の1になるとは考えにくいという前置きはありつつも、脱ドル化の動きがある程度進み切った後は、金が長期低迷に入る可能性もゼロではない、という注意点として提示されています。

フォートノックス疑惑と、現物かETFか問題

動画後半では、フォートノックス疑惑にも触れられています。フォートノックスは米国最大級の金保管施設として知られ、米国政府は8,134トンを保有する世界最大の金保有国だとされます。そのうち56%がフォートノックスにあるという説明でした。

ただし、その金塊が本当に存在するのかという疑惑があり、最後に公開されたのは1974年で50年以上前だという話が出てきます。

財務省は毎年保有額を発表しているものの、画像や映像での証拠が十分ではないという論点です。

トランプ氏やイーロン・マスク氏が過去に言及していたが最近は言及がない、という話もあり、ここからは妄想だと断りつつ、もし現地で何かを見てしまったなら触れにくくなる可能性もあるのでは、という推測が語られていました。

この流れの中で紹介されたのが、著名投資家ジェフリー・ガンドラック氏のペーパーゴールドはやめてリアルゴールドを持て、という趣旨の発言です。

金価格に連動するETFやインデックスではなく現物インゴットを持つべきだ、という主張になります。加えて、金比率は25%が望ましいという見解も紹介されました。

一方で、レイ・ダリオ氏はドルより金の方が安全で、ポートフォリオ比率は15%が望ましいと述べたとされます。動画の語り手自身も、株式60%、債券20%、オルタナティブ20%という配分を1つの目安にしており、オルタナティブ20%の内訳を金15%とビットコイン5%にしていると説明していました。

ここは初心者にとって、金の比率を考えるときの具体的な叩き台になりやすい部分です。

そして現物かETFかについては、語り手は効率性を重視してETFを使う一方、現物には現物の良さがあるので納得感で選べばよい、と整理しています。多くの顧客にはペーパーゴールドで十分ではないかとアドバイスしている、という現実的なスタンスも示されていました。

結局、金は何%入れるのが適切か

ここは視聴者が最も知りたい部分です。動画ではバックデータに過ぎないと断った上で、S&P500と金の分散投資の検証結果が紹介されます。

結論として示されたのが、株70%、金30%のいわゆる70:30が最も成績が良かった、という結果です。S&P500に100%投資した場合のリターンが年7.97%に対し、70:30は年8.93%と、約1%リターンが上がっているとされます。さらにリスクは低下しており、リターンをリスクで割る指標も改善、最大下落率もマイルドになったという説明でした。

ここで初心者が押さえるべきポイントは、金は単体で儲けるためというより、ポートフォリオ全体の揺れを抑えながら、結果的に成績を底上げする可能性がある資産として語られている点です。

株が伸びる局面で金が足を引っ張ることはありますが、逆にショック局面では金が守ってくれることがある。動画でも、ショック後3か月のパフォーマンス比較で、株に対して金が安定感を見せる図が紹介され、2007年の世界金融危機では株がマイナス10%に対し金がプラス19%だった、という具体例が挙げられていました。

こうした局面があるからこそ、金は守りの神になり得るという立て付けです。

追加解説:銀・銅・プラチナも上昇、ただし主役は金

動画の締めに向けて、同じコモディティである銀や銅の値動きも比較されています。2025年の成績として、金がプラス63.22%、銀がプラス127.18%、銅がプラス35.92%という数字が示され、銀は1年で2倍以上、45年ぶりの高値更新になったと語られました。

語り手は5月に銀が熱いという動画を出していたとも述べており、結果的に銀が金を上回ったという形です。ただし注意点もはっきりしています。

銀は金以上にボラティリティが大きく、過去100年で3回バブルが発生している。1980年前後には、ハント兄弟が銀を買い占めて一時的に巨万の富を得たものの、その後の暴落で破産に追い込まれたという有名な例も紹介されました。

ここから導かれるメッセージは、コモディティ投資の王様は金であり、相当な自信がない限り銀に大きく張るのは避けた方がよい、ということです。一方で一部組み入れは選択肢になります。例えば月10万円の積立のうち、8万円を金、2万円を銀にする、といった現実的な案が提示されていました。

2026年の金は強気材料が多い、比率は目的に合わせて決める

動画の主張をまとめると、2026年も金が強いと考える理由は複数あります。

全員参加型の需要構造、中央銀行の外貨準備の変化、フィアット不況というメガトレンド、世界的な金融緩和と信認の揺らぎなど、短期と長期の両面から追い風が語られていました。特に中央銀行が高値でも買い上がっているという点は、投機熱だけでは説明しにくい強さの根拠として印象的です。

一方で、BISがバブルを警戒しているように、急上昇の後に急調整が起こり得るのも事実です。

1970年代の金バブルのように、上がり続ける局面の後に長い低迷が来た歴史もあります。金は万能ではありませんが、ショック局面での耐性や、株と組み合わせたときの分散効果は期待しやすい、というのが動画全体のトーンでした。

組み入れ比率については、バックデータ上は株70%、金30%が良好という結果が紹介され、別の目安としては金15%前後を含むバランス型の考え方も示されました。結局のところ、何%が正解というより、守りを重視するのか、成長を優先するのか、現物の安心を取りたいのか、ETFの効率を取りたいのか、目的に合わせて決めることが重要です。

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