金価格はなぜ上がり続けるのか?中央銀行の買いと利下げ観測を核に総整理

この記事は、元動画「金価格が上がり続ける本当の理由」を基に作成しています。内容をできるだけ削らずに、初心者にも分かるよう時系列とデータで整理しました。

目次

結論から

  1. 最大のドライバーは中央銀行の継続買い。特に中国を中心とした水面下での買い増しが価格の下値を強固にしている。
  2. 利下げ観測で実質金利が低下し、利息を生まない金の相対的な魅力が上昇。
  3. 米財政赤字と債務拡大への不信、地政学リスクの長期化が安全資産としての需要を押し上げている。
  4. 短期イベントとしての米政府閉鎖懸念もドル信認を揺さぶり、金への資金シフトを後押しする。
  5. 上昇相場ではレバレッジ型商品が複利効果で想定以上に伸びやすい一方、往復相場では劣化しやすいという商品特性に注意。

金価格上昇のコア要因

中央銀行の買い越し(表と裏)

  • 公表ベースの買いだけでなく、水面下の買い(未公表分)が急増。
  • 転機は2022年のロシア・ウクライナ紛争以降。
  • 買い手として取り沙汰されるのは中国、ロシア、産油国(サウジなど)。

背景の考え方

  • 準備資産のドル一極依存を減らす脱ドル分散。
  • 制裁リスクや決済インフラ依存の回避。
  • 外貨準備のボラティリティ緩和。

ヒストリカル補足
金は通貨・信用リスクのヘッジとして中央銀行バランスシートに古くから組み込まれてきた。1971年の金本位制終焉後も、危機のたびに準備資産としての役割が見直される。

利下げ観測と金の相対価値

  • 金はキャッシュフローを生まないため、競合は利回りのある債券。
  • 名目金利や実質金利が下がると、債券の優位性が低下し、金の機会費用が縮小。
  • 動画では、短期国債利回りが低下する局面ほど金の選好が強まりやすいと説明。

米財政・ドル信認・地政学リスク

  • 米政府の財政赤字と債務拡大は、長期的なドルの希薄化懸念を呼びやすい。
  • 紛争・輸出規制・制裁などの地政学的ショックは、決済インフラと準備通貨の集中リスクを意識させ、分散受け皿としての金需要を押し上げる。

米政府閉鎖という短期材料

  • 閉鎖それ自体は繰り返しの政治イベントだが、統計の遅延や政府機能の停止不安は、短期的なドル安・金高の口実になりやすい。
  • 構造要因が強い現在は、イベントがなくとも買いが継続している点が前回局面との大きな違い。

価格と予想のギャップ

動画内の紹介

  • 海外系金融機関の金価格予想として、2025年末にかけての水準を挙げる一方、すでに現行価格が一部予想レンジを上回っているという指摘。
  • 長期チャートでは右肩上がりのトレンドが確認できる、というのが動画の見立て。

ポイント
・コンセンサス予想は後追いで上方修正されがち。需給の硬さとイベントが重なると、予想レンジを先行的に突破しやすい。


投資手段の比較と成績例(動画ベース)

区分概要動画で触れた上昇率の例
金連動ETF(例:GLD系、日本の金ETFなど)現物に近い値動き。保管不要で流動性が高い年初来約38%上昇の例
レバレッジ金ETN/ETF(2倍など)日々の値動きに対し倍率で連動。複利効果やボラで想定超の変動も同期間で約95%上昇の例
現物(地金・コイン・積立)対カウンターパーティリスクが低い。保管・スプレッドコストあり上昇率は金現物と同等相当

補足
・動画では、2024年の年間上昇率が金約40%、レバレッジ約91%という例も提示。
・上昇相場ではレバレッジの複利が効き、単純な2倍を超えることがある一方、往復相場では逆に目減りしやすい点が最大の注意点。


レバレッジ商品の基礎知識(直感的な理解)

  • 日々の騰落率に倍率をかけて連動するため、上昇が連続すると複利効果で伸びが加速。
  • しかし、上げ下げを繰り返すボックスでは、価格が元の水準に戻ってもレバレッジ商品の基準価額は戻りにくい。
  • 長期保有の適否はトレンドの質とボラティリティに依存する。

どう使い分けるか(初心者向けの実務ポイント)

  1. 土台は現物系または連動ETFでコアを作る。
  2. はっきりした上昇トレンドが出ている期間だけ、サテライトでレバレッジを薄く乗せる。
  3. 分散の観点で、株や国債と合わせて保有比率をルール化する。
  4. 指値の段階分割や積立で価格変動リスクをならす。
  5. レバレッジは損切りルールと保有期間の上限を決める。

よくある疑問

金は配当がないのに、なぜ人気なのか
・通貨や国債の信用リスクから独立しており、危機やインフレ、制裁・決済停止などの極端事象に対する長期ヘッジとして機能するため。

中央銀行が買いを止めたら下がるのか
・短期ショックはあり得るが、地政学や決済分断の構造要因が続く限り、需要は簡単には消えにくい。テールリスクが残る間は、ポートフォリオの一部としての役割が継続しやすい。

日本円建てとドル建て、どちらで見るべきか
・為替の影響が大きい。円安時は円建て金価格が割高に見えやすい。ドル建ての基調と円相場の二軸で判断するのが実務的。


まとめ

  • 中銀の買い越し、利下げ観測、ドル信認の揺らぎ、地政学リスクという複数の構造要因が重なり、金は単発イベント頼みではない強い需給地合いにある。
  • 短期イベントはあくまで触媒。ベースは中央銀行の継続買いと実質金利の低下だという視点が重要。
  • 投資手段は現物系を土台にしつつ、明確な上昇トレンド局面だけレバレッジを薄く活用するのが初心者にとって現実的。
  • 価格の上下に一喜一憂するより、分散とルール化で淡々と積み上げる。これが金投資を長く付き合うための基本戦略になる。
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