2025年2月13日、トランプ前大統領がFRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長に対し、利下げを求める発言を行いました。
この背景には、発表されたCPI(消費者物価指数)が市場予想を上回る結果となり、インフレの高止まりが明らかになったことが関係しています。本記事では、最新の経済データや市場の動き、トランプ氏の発言とそれに対するパウエル議長の対応について詳しく解説します。

CPIの最新データと市場への影響
米国の1月のCPIデータが発表され、以下のような結果となりました。
項目 | 予想値 | 実績値 |
---|---|---|
全年比 | 2.9% | 3.0% |
前月比 | 0.3% | 0.5% |
コアCPI(前年比) | 3.1% | 3.3% |
コアCPI(前月比) | 0.3% | 0.4% |
この結果は市場にとって「ネガティブサプライズ」となり、特に利下げを期待していた投資家にとっては厳しいものとなりました。CPIが予想を上回ることで、FRBが利下げに慎重になる可能性が高まったためです。
発表直後、株式市場は急落し、ダウ平均は0.5%下落、S&P500も0.27%の下落となりました。
しかし、ナスダックは徐々に回復し、最終的には0.03%のプラスで終えました。VIX(恐怖指数)も一時的に上昇しましたが、その後落ち着きました。
CPIの上昇要因
CPIの上昇にはいくつかの要因が影響しています。
- 住宅費(シェルター):前月比+0.4%(全体の50%以上を占める)
- 食品価格:卵が前年同月比+15%(鳥インフルエンザの影響で1ダース約1,000円)
- 中古車価格:前月比+0.7%(メキシコ関税の影響による新車需要の高まり)
- 医療関連費用:処方薬・自動車保険・航空運賃が上昇
特に、中古車価格の上昇は、数カ月前からのデフレ状態が反転し始めた影響もあると考えられます。
トランプ氏の利下げ要求とパウエル議長の対応
こうした経済状況の中で、トランプ前大統領は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で「金利を引き下げるべきだ」と発言しました。
トランプ氏は「関税による経済の引き締め効果があるため、それに合わせて金利も下げるべきだ」と主張しています。
一方、パウエル議長はこの発言に対してコメントを控え、「FRBの仕事はまだ終わっていない」と述べました。これは、FRBが政治的な圧力ではなく、経済指標に基づいて政策を決定するというスタンスを示すものです。
金利市場と今後の利下げ観測
市場はFRBの利下げを期待していましたが、CPIの結果を受けて、その見通しは後退しました。以下が金利市場の動きです。
- 10年国債利回り:4.627%(前日比+0.194%)
- 政策金利の市場予想:2024年10月まで利下げなしの可能性が高まる
これにより、金利上昇が株価に影響を与える可能性が指摘されています。
株式市場の動向と注目銘柄
- ナスダック:CPI発表直後は下落したが、その後プラス圏へ回復
- S&P500:一時的に下落も、最終的にはほぼ横ばい
- テスラ(+2.4%)、アップル(+1.8%):堅調に推移
- アマゾン(-1.65%)、NVIDIA(-1.25%):ハイテク株は下落基調
- 量子コンピューター関連株:Google CEOが「5-10年以内に実用化」と発言し、期待感から一時上昇
- 原油価格:一時的に急落(-2.84%)
また、トランプ氏がプーチン大統領とウクライナ停戦について電話会談を行い、地政学リスクの低下が原油価格の下落につながったと考えられます。
今後の経済イベントと市場の注目点
今後の市場の焦点は、FRBの次回会合や経済指標の動向にあります。
- 次回FOMC(米連邦公開市場委員会):FRBがどのようなスタンスを取るか注目
- 米国雇用統計(2月末発表):インフレや労働市場の状況を確認する重要指標
- 米国GDP成長率(3月発表):景気減速の兆候が見られるか
市場では「利下げは早くても2025年後半」との見方が強まっていますが、今後の経済指標次第でその予測は変わる可能性があります。
まとめ
今回のCPI発表は、予想を上回るインフレ圧力を示す結果となり、市場の利下げ期待を後退させました。トランプ前大統領は利下げを求める発言をしましたが、FRBのパウエル議長は独立性を強調し、経済指標に基づいて政策を決定する姿勢を崩していません。
今後の市場動向は、FRBの金融政策と経済指標に左右されるため、投資家は次回FOMCや米国雇用統計、GDP成長率の発表に注目する必要があります。特に、金利上昇が続けば、株式市場の下落リスクも高まるため、慎重な投資判断が求められます。

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