本記事は、YouTube動画『2026: The “FINAL PHASE” of Bull Run starts NOW… | Use 10 simple strategies to grow your Portfolio』の内容を基に構成しています。
導入
動画の話者は、2025年に自身のポートフォリオが年率換算で45%超の成長をしたと述べつつ、その成績が今後も同じように続くとは考えていない、と最初に釘を刺します。
重要なのは「当たり年の再現」ではなく、良い年に身につけたマクロの考え方や投資のフレームワークを、2026年以降も使える形で自分の中に残すことだ、という立場です。
そのうえで、2026年の相場環境を「強気相場の最終局面に入り得る年」と位置づけ、初心者でも実行しやすい形に落とし込んだ「10個のシンプルな戦略」を提示しています。
インド株(Nifty50)と米国株(Google、Meta、Netflixなど)を行き来しながら、具体例で理解させる構成になっています。
背景説明
2026年のキーワードは「バリュエーション」「流動性」「リスク管理」
動画全体を貫くテーマは、次の3つに集約できます。
1つ目は、投資の入り口で最もミスが出やすいバリュエーションです。
話者は、インド市場のNifty50を例に、過去10年・15年・20年の平均PERが概ね20〜22付近で推移してきた点を示し、2026年の意思決定も「今のPERがその平均から見て高いのか、普通なのか、安いのか」を起点に組み立てるべきだと話します。
2つ目は、リスクオン/リスクオフの局面判断です。金利、インフレ、政府の景気刺激、資金の流れといったマクロ要因が「市場にお金が回りやすい年かどうか」を決め、結果として株式の追い風・逆風を作るという考え方です。
3つ目は、利益を増やす話と同じくらい、守りの設計が重要だという点です。特にポートフォリオが大きくなるほど、暴落時のダメージが大きくなります。そこでヘッジや現金比率など、損失の上限を意識した戦略を強調します。
2025年の反省点としての「熱狂追い」
話者は、投資家が景気の良い話題や短期の上昇に引っ張られて、金・銀・コモディティのような「今ホットなもの」を追いかけがちだと指摘します。
しかし、短期の人気に飛びつくことは、再現性のある投資システムになりにくい。だからこそ、2026年は「制度としての投資手順」を持とう、というのが動画の導入の問題提起です。
戦略1 市場全体のPERを見て、積立と一括の判断を分ける
話者が最初に強く推すのが「市場に入るタイミングをPERで測る」という発想です。
Nifty50を例に、2021年にはPERが40前後まで上がる局面があり、その後は調整して横ばいになった、と説明します。そして2023年半ばから2025年末にかけては、投資家が大きなリターンを得にくい期間だったとも述べます。
2026年時点のPERが23前後であるなら、極端に割安でも割高でもない「フェア」な状態だ、という評価です。
ここで重要なのは、フェアな市場は積立(SIP)に向いているが、一括買いの市場ではない、という切り分けです。
初心者に向けては、フェアな環境では積立を止めないこと、もしPERが20を下回るような局面が来たら、そのときに一括買いを検討する、という順序を勧めています。
GDP成長率が高くても株が上がるとは限らない
次に話者は、初心者がやりがちな誤解として「GDPが8%を超えるなら株も必ず上がるはず」という直感を取り上げます。結論としては、GDPの数字が良くても、それが株価リターンに直結するとは限らない、と断言します。
ここでのメッセージは、マクロ指標は重要だが、単一の指標で投資判断を単純化すると外れる、ということです。
成長は健全なサインではあるものの、株式市場の期待やバリュエーション、資金の流れと噛み合わなければ、株価の上昇が伴わない局面は普通に起きる、という説明です。
リスクオン/リスクオフを金利とインフレで判断する
話者はここで、リスクオン/リスクオフを初心者向けに言い換えます。
リスクオンとは、流動性が増える局面、つまり「お金が回りやすい」「借りやすい」局面であり、それは金利が低い、または低下して新しいベースを形成する時に起きやすいといいます。
2008年や2020年に利下げで金利がゼロ近辺まで下がった局面を例に挙げ、これが流動性が増えた時期だと説明します。
さらに、インフレが安定して低いことが重なると、政府が景気を押し上げる施策を取りやすくなり、企業や個人が借り入れを増やし、支出が増え、期待成長率が上がり、それが株価の追い風になる、という連鎖を描きます。
一方のリスクオフは、インフレが上がって金利が上昇し、流動性が絞られる局面です。
2020〜2022年のインフレ加速と株価下落の例を挙げ、Metaが一時80%近く下げた局面をケーススタディとして示します。話者の2026年の判断は「リスクオン寄り」で、相場に追い風が残るという見立てです。
2026年は年15〜19%程度のリターンを想定し、値動きの波でアルファを狙う
話者は、トレンドラインの延長から「2026年末までに19%程度の上昇余地」という見立てを示し、米国市場(NASDAQ)もインド市場(Nifty50)も、年15〜16%程度の「平均的に良い年」を想定していると述べます。
ここで強調されるのは、相場は一直線に上がらないという現実です。
上がっては下がり、下がっては上がる。その波の中でサポートとレジスタンスが形成されるため、ボラティリティを利用できる投資家は、単に保有するだけよりも上乗せの成果を狙える、という考え方です。
話者はオプションや支持線・抵抗線での戦略にも触れていますが、少なくとも「2026年は値動きがある前提で準備する」ことがポイントになります。
企業の売上成長だけで買わない 利益率と顧客の価格感度を見る
ここから個別株の話に移ります。
話者は「見かけの勢い」と「儲かる構造」は違う、という観点を強く押し出します。例としてZomato(株式上ではEternal)を取り上げ、売上が2024年の12,000クロールから2025年の20,000クロールへと急成長している点を示します。
しかし、営業利益率は2024年にほぼ0%、2025年でも数%程度にとどまる、という説明です。
さらに「テイクレート」という概念を持ち出します。
100の売上を立てても、企業として取り分が1%程度しか残らないような構造だと、規模が大きくなっても利益が積み上がりにくい。
顧客が価格に敏感なB2C領域(フードデリバリー、クイックコマースなど)では価格競争に巻き込まれやすく、利益率を伸ばしにくいという見立てです。
対比として、NvidiaやVisaのように、強い価格決定力や圧倒的なネットワーク効果を持つ企業は、利益率が極めて高いという話をします。
Visaの利益率を66%前後とし、「仕組みを売っている」「グローバルで既にスケールしている」ことが強みだと語ります。この対比で言いたいのは、成長率の高さよりも、利益率を生み出す堀の深さを見よ、ということです。
良い企業の大きな下落は買う ドローダウン買いを徹底する
次に話者は、優良企業が市場心理で売られる場面を「買い場」と捉える戦略を示します。
Googleを例に、年初に35%程度の下落があった局面は絶好の買い場であり、そこから100%近い上昇につながった、という経験談を述べます。
ここでの論理は明快です。ファンダメンタルズに問題がない、キャッシュ創出力が高い、長期で成長できる企業は、下落が起きたときに「安く買える」だけで終わらず、その後の回復で大きな成果につながりやすい、という考え方です。
Metaについても同様に、AI投資として今後3〜4年で6000億ドル規模の投資をするという発表で株が下がった局面を取り上げ、その下落は「市場の誤解が作る割引」だと見ます。
広告という高収益ビジネス、ユーザー生成コンテンツを土台にした強い収益モデルを根拠に、こうした優良企業の下落を拾うべきだ、という主張です。
壊れた価格は買うが、壊れたビジネスは買わない
戦略6と似ていますが、ここで話者は重要な区別を置きます。
GoogleやMetaは「価格が壊れた」だけで「ビジネスが壊れていない」。だから買う。対して、ビジネスそのものが構造的に苦しい企業は、安く見えても避けるべきだ、という考え方です。
例としてTata Motorsを挙げ、EV産業を「壊れた産業」と表現します。
理由は、EVが普及しても車の需要総量が急増するわけではなく、従来車からEVへのシェア移動が起きるだけで、開発費や競争で利益が圧迫されやすい点にあります。
さらに長期ではAV(自動運転)へ移行する可能性があり、ソフトウェアの競争力が重要になる。そのとき既存の自動車メーカーが優位とは限らない、という不確実性も挙げます。
Tata Motorsのデータとして、売上成長がピークアウトしていること、営業利益率が高くないこと、2019年の販売台数約110万台から5年で倍増していないことなどを示し、「伸びが鈍いのに利益率も劇的に上がらない」構造を問題視します。
結論として、現時点では投資対象として魅力が薄く、むしろ高収益で確度の高い企業に資金を振り向けるべきだと語ります。
ポートフォリオはバランスで強くなる 成長と価値、投機と複利を混ぜる
話者は、自身のポートフォリオがAI中心の成長型であることを開示しつつ、2026年はヘッジとしてバリュー株比率を増やす考え方を示します。
具体的には、成長株80、価値株20のような配分の発想です。価値株の例としてヘルスケアを挙げ、今後3〜4年の長期テーマとして既に投資しているとも述べます。
また、投機的な銘柄と、安定的に複利で増える銘柄をセットで持つことも提案します。
インドの例として、データセンター関連のAnant Rajを投機枠として捉え、確度が高い複利銘柄としてHDFC Bankのような企業を組み合わせる、という発想です。ここでの狙いは、夢のあるテーマに参加しながらも、ポートフォリオ全体がギャンブル化しないようにすることです。
リスク管理を先に設計する ヘッジ手段を持つ
話者は、ポートフォリオが約132.4万ドル規模であると述べ、もし市場が30%下落すれば自分の利益の大部分が消える可能性がある、と率直に語ります。
そこで行ったのがプットオプションによるヘッジです。NASDAQ連動のQQQを例に、権利行使価格585付近のプットを複数ロット買い、585を下回る下落に対して損失を一定程度で抑える仕組みを説明します。
ただし初心者に対しては、オプションが難しければ別のやり方でも良い、と現実的な提案をします。
例えば現金比率を高める、利益確定をしてキャッシュを確保する、相場が高値圏なら20〜30%程度を現金で待機させ、下落時に再投入する、といった方法です。
ここでの言葉は厳しめで、守りの計画なしに買い続けるのは投資ではなく投機に近い、という問題意識が示されています。
保守と攻めを両立する 極端を避けて数学で考える
最後に話者は「投資は数学だ」という言い方で、極端な姿勢を戒めます。
極端な保守は、FD(定期預金)だけで運用するような状態で、インドでは税引き後利回りが4.9%程度になり、長期ではインフレに負ける可能性が高いという主張です。
反対の極端は、ビットコインだけに全振りするような姿勢で、それも危ういと述べます。
望ましいのは中間であり、攻めの資産と守りの資産を混ぜることです。
話者は、2026年に小型のAI関連株が「最後のラリー」を起こす可能性に言及し、攻めの枠として小型AI株や、ピークから35〜40%下落した水準のビットコインのような資産を挙げます。
ただし、攻めは何でも良いわけではなく、パートナーシップや収益構造など根拠のある攻めに限定すべきだ、とニュアンスをつけます。
守りの枠としては、Visa、Google、Appleのような高品質企業を挙げ、ポートフォリオの50〜60%は堅実な複利銘柄で固める、という方向性を示します。結局のところ、2026年の「最終局面」という言葉に踊らされず、守りと攻めを同時に成立させる設計こそが重要だ、という結論に落ち着きます。
追加解説
なぜPERと流動性が「個人投資家の武器」になるのか
動画の核は、難解な理論よりも、個人投資家が毎年繰り返し使えるチェックリストを持つことにあります。その中でもPERと流動性は、データとして追いやすく、判断の軸にしやすい武器です。
PERは、企業の利益に対して市場がどれくらい高い値段を付けているかを一瞬で示します。
もちろん業種や金利環境で適正値は変わりますが、「自分が買っているのは割安なのか、普通なのか、割高なのか」を定量化できるだけでも、熱狂買いを減らす効果があります。
話者が言う「フェアな市場は積立向き、割安は一括向き」という整理は、初心者が意思決定を止めないための実務的なルールになり得ます。
流動性は、上げ相場を説明するうえで外せない変数です。
金利が下がり、インフレが落ち着き、政策的に景気刺激が打てる局面は、企業・家計・投資家にとって資金調達が楽になり、リスク資産に資金が向かいやすくなります。
逆にインフレが上がり、金利が上がり、流動性が絞られると、将来の利益の現在価値が下がり、株のバリュエーションが縮みやすい。ここを理解すると、ニュースで金利やCPIが出たときに、単なる話題ではなく「相場の地図」として扱えるようになります。
「ドローダウン買い」が機能する条件と注意点
GoogleやMetaの例のように、優良企業の下落を拾う戦略は強力ですが、条件を外すと危険です。ポイントは、下落が「価格の誤解」なのか、「事業構造の悪化」なのかの切り分けです。
話者がZomatoとGoogleを対比した理由もここにあります。
売上成長が派手でも利益率が上がらず、顧客が価格に敏感で、価格競争に陥りやすい場合、下落は単なる誤解ではなく構造問題の反映である可能性があります。
その場合、安くなったから買う、を繰り返すと資金が塩漬けになりやすい。一方で、強いキャッシュ創出力と堀を持つ企業が、短期の市場心理で売られているなら、ドローダウン買いは期待値が高くなります。
守りの設計があると、攻めの精度が上がる
プットオプションの話は上級者向けに見えますが、初心者でもエッセンスは使えます。
それは「下落時にどうするかを、上昇局面で決めておく」ということです。現金比率を決める、利益確定のルールを決める、積立を止めない条件を決める。
こうした守りの仕組みがあると、下落局面でパニック売りをしにくくなり、むしろ買い増しの判断を機械的に実行しやすくなります。
まとめ
動画が伝えているのは、2026年が強気相場の最終局面に入り得るという見立てそのものよりも、どんな相場でも崩れにくい投資の手順を持つことの重要性です。
市場全体のPERで積立と一括を切り分け、GDPなど単一指標に飛びつかず、金利とインフレからリスクオン/リスクオフを判断する。
個別株では、売上成長だけでなく利益率と堀を見て、良い企業の大きな下落を拾う一方で、ビジネスが壊れている企業は避ける。
そして、成長と価値、投機と複利を混ぜてバランスを取り、ヘッジや現金比率などのリスク管理で損失の上限を意識する。最後に、保守と攻めの極端を避け、数学として整合的なポートフォリオを組む。
2026年に何が起きるかを完璧に当てることよりも、起きたことに対応できる仕組みを先に用意しておく。動画の10戦略は、そのための実務的なチェックリストとして整理できる内容でした。


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