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概要

  • カンボジアのプリンス銀行(Prince Bank)で預金引き出し希望者が殺到し、事実上の「取り付け」状態になったと報じられています。
  • 米国政府は2025年10月14日、同銀行を含むプリンス・グループ(Prince Group)および関連企業・個人を、国際的なオンライン詐欺等に関与したとして制裁対象に指定したとされます。
  • 当局発表では、総額150億ドル超(約2兆円相当)の暗号資産が押収(凍結等を含む)されたとの説明が紹介されています。

何が問題か

  1. 組織的詐欺の疑い
    • プリンス・グループが、少なくとも10拠点の詐欺拠点を運営し、監禁・暴力・拷問によって強制労働させ、世界中に向けた投資詐欺・暗号資産詐欺を実行していたとされています。
    • 数十万台の端末、数万以上の偽SNSアカウントが動員されていたとされます。
  2. 政治・権力との癒着疑惑
    • 創業者の陳志(チェン・シー)氏は、カンボジアの要職者の顧問を務め、公爵の称号まで授与されていたとされ、当局の黙認・庇護があった可能性が指摘されています。
  3. 国際的な制裁の連鎖
    • 米国に続き、英国・香港・台湾が制裁に加わり、韓国も準備と報道。英国はロンドンの高級不動産・オフィス資産等を押収したとされています。
    • 韓国では、詐欺拠点に勧誘され渡航した若年層の関与・被害(死亡事件を含む)が問題化し、最大2,000人規模が関与の可能性との見立ても紹介されています。

プリンス・グループの表と裏

  • 表向きの事業:2015年設立の比較的新しいコングロマリット。不動産(大型商業施設など)・銀行(2018年免許取得)を展開。寄付・慈善活動を通じて「善意の企業」イメージを構築していたとされます。
  • 疑われる裏側:詐欺組織の拠点運営、強制労働、暗号資産を用いた国際的マネタイズ。中国系犯罪組織との関与は現時点で断定情報はないものの、出自やネットワークの観点から報道・憶測が混在している旨が触れられています。

金融・政治への波及

  • カンボジア国内の金融安定:制裁・資産凍結・取り付け騒ぎにより、プリンス銀行の営業継続は極めて困難と見られ、国内銀行セクターに動揺が広がる可能性があります。
  • 政治リスク:政権中枢との関係が取り沙汰され、国際社会の監視強化により新たな不正が露見すれば、政権の不安定化リスクも示唆されています。
  • 国際的対策の強化:アジア各国に広がる特殊詐欺網に対し、資産凍結・入国規制・域外適用の制裁が拡大する流れが想定されます。

個人が取るべき実務的な対策

  1. 送金・投資スキームの精査:高利回り・短期確約・暗号資産前提の募集は原則立ち止まって確認します。実在性(登記・当局ライセンス・監査)と、資金流の透明性を第三者資料で検証します。
  2. KYC/AMLのある事業者を選択:銀行・取引所・カストディアンは、制裁リスト対応・資産分別管理・監査報告の開示状況を確認します。
  3. 国・地域リスク管理:制裁・政治介入・資本規制の可能性が高い国への集中は避け、通貨・法域・保管場所を分散します。
  4. SNS経由の投資勧誘は原則拒否:DM・グループ招待・恋愛型勧誘(ロマンス詐欺)・著名人のなりすましなどは即ブロック・通報します。
  5. 家族への周知:若年層・高齢者に対して、暗号資産を絡めた国際詐欺の手口(投資塾・副業・出会い系連動)を具体例で共有します。

まとめ

  • プリンス銀行・プリンス・グループは、国際詐欺関与の疑いで米英などの制裁対象となり、暗号資産の巨額押収・国内取り付け騒ぎへと発展したと伝えられています。
  • 表向きは不動産・銀行の大型企業、裏では詐欺拠点の運営と強制労働という「二重構造」が指摘され、政治との癒着疑惑も波及しています。
  • 今後は金融システムの信認・政治の安定・対外関係に与える影響が焦点であり、個人レベルでは送金・投資の入口規律と分散・検証を徹底することが重要です。
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