経済×心理学を活かした新常識!NUDGE 実践 行動経済学 完全版 

リチャード・セイラーとキャス・サンスティーンによる行動経済学の名著「ナッジ」完全版を紹介した動画です。

この本は2008年版から大幅に更新され、ほぼ新作のような内容となっています。行動経済学は今やビジネスマンや投資家にとって必須の教養となりつつあり、本書はその入門書として最適です。

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目次

行動経済学とは?

従来の経済学では、人間は常に合理的で自己利益を追求する存在とされています。しかし、実際の人間は多くの場合非合理的な行動をとります。

例えば、「痩せたい」と思いつつ夜食を食べたり、「運動しなきゃ」と思いつつ運動不足になるなど、理屈では理解していても正しい選択をしないことが多いのです。

行動経済学は、このような人間の非合理的な部分を考慮に入れて、より現実的な経済モデルを構築しようとする学問です。

キーワード紹介

選択アーキテクチャー

選択アーキテクチャーとは、人々がより良い選択をできるように環境を設計することです。例えば、食堂で健康的な食べ物を目立つ場所に配置することで、健康的な選択を促すことができます。

リバタリアン・パターナリズム

リバタリアン・パターナリズムは、一見矛盾する言葉ですが、自由を尊重しつつも、人々がより良い選択をするように介入する考え方です。

例えば、運動不足を認識している人に対して、運動を促す仕組みを設けることがこれに当たります。

ナッジ

ナッジとは、肘で軽く相手をつつくように、人々の選択をさりげなく誘導することです。例えば、象が鼻で子象を行くべき方向にツンと押すようなイメージです。

具体的な事例

イギリスのBITの実験

イギリスの行動インサイトチーム(BIT)は、税金滞納問題に対処するために行動経済学を活用しました。

滞納者に対して、「イギリスの納税者の90%が期限内に税金を納めています。まだ納税していないのは少数派です」という手紙を送ることで、納税率を大幅に改善しました。

さらに、地域の名前を示すことで、より効果を上げることができました。

ミネソタ州の実験

ミネソタ州でも同様の実験が行われました。納税を促すために、次のようなメッセージを含む手紙を送付しました:

  1. 税金が教育や防犯に使われていることを示す
  2. 税金を納めない場合の罰則を示す
  3. 申告書の書き方についての問い合わせ先を示す
  4. 「ミネソタ州民の90%以上が税金を納めています」という社会的規範を示す

この中で最も効果があったのは、「90%以上が税金を納めている」という社会的規範を示すメッセージでした。

学校給食

  • 問題: 子どもたちが健康的な食事を選ばないこと。
  • ナッジ: 学校のカフェテリアで、健康的な食品を目立つ場所に配置する。例えば、果物やサラダをレジの近くに置き、ジャンクフードを視界から遠ざける。
  • 結果: 子どもたちが自然に健康的な選択をするようになり、全体の食生活が改善される。

病院の喫煙対策

  • 問題: 病院の入り口での喫煙が多いこと。
  • ナッチの介入: 喫煙エリアを入り口から遠ざけ、入り口近くには「禁煙」のサインを設置する。
  • 結果: 喫煙者はわざわざ遠くまで行くのが面倒になるため、病院周辺での喫煙が減少する。

退職貯蓄

  • 問題: 多くの人が退職貯蓄を十分にしていないこと。
  • ナッチの介入: 自動加入制度(オートエンロールメント)を導入し、新しい社員が自動的に退職貯蓄プランに加入されるようにする。加入を拒否したい場合のみ手続きが必要になる。
  • 結果: 退職貯蓄プランに参加する人の割合が大幅に増加し、将来的な経済的安定が向上する。

クレジットカードの支払い

  • 問題: クレジットカードの最低支払い額だけを支払う人が多いこと。
  • ナッチの介入: 請求書に「最低支払い額」の他に、「この額を支払うと〇ヶ月で完済できます」といった情報を追加する。
  • 結果: ユーザーは支払い計画を理解しやすくなり、全体的な返済額が増加する。

エネルギー消費削減

  • 問題: 家庭のエネルギー消費が多いこと。
  • ナッチの介入: 各家庭に対して、近隣の平均エネルギー消費と比較した情報を提供する。「あなたの家庭は近隣よりも多くエネルギーを消費しています」といったメッセージを送る。
  • 結果: 多くの家庭がエネルギー消費を見直し、節約行動をとるようになる。

リサイクル促進

  • 問題: リサイクルの実施率が低いこと。
  • ナッチの介入: リサイクルビンを家庭のゴミ箱の近くに配置し、ゴミ箱よりも目立つデザインにする。また、リサイクル可能なゴミには色分けしたラベルを貼る。
  • 結果: リサイクル率が向上し、環境保護が進む。

選挙投票率の向上

  • 問題: 投票率が低いこと。
  • ナッチの介入: 投票所の位置を分かりやすく示す地図や案内を送付し、「多くの人が投票しています」といったメッセージを添える。
  • 結果: 投票率が向上し、民主的なプロセスが強化される。

医療のコンプライアンス

  • 問題: 患者が医師の指示通りに薬を服用しないこと。
  • ナッチの介入: 薬のパッケージに、「90%以上の患者がこの薬を正しく服用しています」といったメッセージを表示する。
  • 結果: 患者のコンプライアンスが向上し、治療効果が高まる。

投資における行動経済学の応用

ハウスマネー効果

お金を用途ごとに分けて考えることです。

例えば、ギャンブルで当てたお金や投資で儲かったお金を「余剰金」として扱い、無駄遣いしやすくなります。しかし、どんなお金も同じ価値を持つため、大事に扱うべきです。

アンカリング

過去の価格を基準にして現在の価格を評価することです。

例えば、「去年に比べて半額だから安い」という考え方は、今の価格が割安かどうかとは無関係です。過去の高値に固執することで、合理的な判断を妨げることがあります。

結論

「ナッジ」は行動経済学の基礎を学ぶための優れた入門書です。

ビジネスマンや投資家にとって、行動経済学の知識はますます重要になっています。今回紹介した具体例やキーワードを参考に、ぜひ本書を手に取ってみてください。ブログや日常生活に役立つ知識が満載です。

以上、本書の概要と行動経済学の基本的な考え方を紹介しました。ご興味を持った方は、ぜひ「ナッチ」完全版を読んでみてください。

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