本記事は、YouTube動画『UBSトレーディング部門、モメンタム株の歴史的な売りは終盤――AI・半導体への段階的投資を推奨』の内容を基に構成しています。
AI・半導体関連株を中心に続いてきた大規模な売りが、終盤に差しかかっている可能性があります。
スイスの大手金融グループであるUBSは、ヘッジファンドによるモメンタム株のポジション整理が歴史的な規模に達した一方、AI分野のファンダメンタルズは引き続き改善していると分析しました。そのうえで、一括投資ではなく、段階的にポジションを構築する戦略を推奨しています。
実際、ヘッジファンドは過去数カ月にわたって米国のハイテク株やAI・半導体関連株を大量に売却してきました。しかし、すでにポジションが大幅に軽くなっているのであれば、今後は悪材料に対する売り圧力が弱まり、買い戻しによって株価が大きく反発する可能性があります。
日本市場でもキオクシアホールディングスが急落後に17%以上上昇するなど、激しい値動きが見られました。銀行や保険といった金融株も高値を更新しており、今後は半導体株と金融株のどちらに資金が向かうのかが重要な焦点となります。
UBSが「モメンタム株の売りは終盤」と分析
UBSは、モメンタム株、とりわけAI・半導体セクターで発生した歴史的な売りが終盤に近づいているとの見方を示しました。
モメンタム株とは、株価の上昇傾向が強く、市場参加者から継続的に買われている銘柄を指します。投資家が「上昇している銘柄は今後も上昇しやすい」と考え、資金を集中させることで勢いがさらに強まるのが特徴です。
ただし、多くの投資家が同じ方向へポジションを傾けるため、相場の流れが変わった際には売りが売りを呼びやすくなります。利益確定やリスク回避の売却が重なると、企業業績が悪化していなくても株価が急落することがあります。
今回のAI・半導体株の調整でも、企業の成長力だけでは説明できないほど大きな売りが発生しました。その背景にあったのが、ヘッジファンドによる大規模なポジション整理です。
ヘッジファンドはAI関連のロングポジションを大幅に削減
UBSの分析によると、ヘッジファンドはAI関連株のロングポジションについて、時価総額ベースで約5%削減しました。これは過去最大級の減少幅であり、ネットポジションは4月と同程度の水準まで低下したとされています。
ロングポジションとは、株価の上昇を見込んで株式を保有することです。一方、ネットポジションは買い持ちと売り持ちを差し引いた実質的な保有状況を示します。
ネットポジションが低下したということは、ヘッジファンドがAI・半導体株に対する強気姿勢を大幅に縮小したことを意味します。
しかし、ポジション整理が進んだことは必ずしも悪材料だけではありません。すでに多くの投資家が株式を売却していれば、今後追加で売却できる株式が少なくなります。市場で「売りたい投資家」が減ることで、需給が改善する可能性があるのです。
また、相場が上昇へ転じた場合には、ポジションを減らした投資家が再び買い戻すことになります。その買い戻しが新たな上昇を生み、株価の反発を加速させる可能性があります。
AIのファンダメンタルズは依然として改善傾向
UBSのデリバティブ担当者は、AI分野のファンダメンタルズが継続的に改善していることを、押し目買いの明確なシグナルとして指摘しています。
ファンダメンタルズとは、企業の売上高、利益、成長率、財務状況、製品需要など、企業価値を支える基礎的な条件のことです。
株価は短期的には投資家の需給や心理によって大きく変動します。しかし、中長期的には企業の利益成長や市場規模の拡大が重要になります。
AI・半導体株は大きく売られましたが、AI向けデータセンターへの投資や高性能半導体に対する需要が失われたわけではありません。メモリ市場でもAIサーバー向けを中心に需要が強く、NAND型フラッシュメモリなどでは供給不足が続くとの見通しが示されています。
つまり、株価は大幅に調整している一方、事業環境は引き続き強いという状況です。この株価とファンダメンタルズの乖離が、反発余地につながる可能性があります。
UBSが一括投資ではなく段階的な買いを推奨する理由
UBSはAI関連株への投資について、すべての資金を一度に投入するのではなく、段階的にポジションを構築することを推奨しています。
ファンダメンタルズが強くても、短期的な株価の底値を正確に予測することは困難です。ヘッジファンドの売りが終盤に差しかかっているとしても、売却が完全に終了したとは限りません。
また、決算発表、金利動向、地政学的リスク、半導体規制、個別企業の訴訟などによって、株価が再び大きく下落する可能性もあります。
そこで、一括購入ではなく複数回に分けて買うことで、高値づかみのリスクを抑えられます。購入後に株価が下落しても、残しておいた資金で追加購入できるため、平均取得価格を調整しやすくなります。
AI・半導体株は上昇するときも下落するときも値幅が大きくなりやすいため、段階的な投資との相性が比較的良いと考えられます。
UBSモメンタム指標が短時間で急反転
先週金曜日の取引時間中、UBSのモメンタム指標は、わずか2時間で3.5%下落した状態から2.5%上昇へ急反転しました。
短時間で約6ポイントも方向が変わったことになります。これはモメンタム株に対する投資家心理が、売り一辺倒ではなくなりつつあることを示している可能性があります。
こうしたセンチメントの急反転は、市場の流動性を大きく変化させることがあります。
特に、多くの投資家が同じ銘柄を売却してポジションを減らしている場面で株価が上昇へ転じると、買い戻しが一斉に入ることがあります。売却していた投資家が相場に乗り遅れないために買い直せば、少ない売り注文に対して多くの買い注文が集まり、株価が急騰する可能性があります。
UBSのモメンタム株にはどのような銘柄が含まれるのか
動画によると、UBSがモメンタム株として扱う構成銘柄には、サンディスク、ブロードコム、オラクル、KKR、データドッグ、マイクロソフトなどが含まれています。
これらはすべて同じ業種ではありませんが、AI、クラウド、データセンター、半導体、ソフトウェア、デジタルインフラといった成長テーマと深い関係を持っています。
ブロードコムはAI向け半導体やネットワーク関連で注目され、マイクロソフトはクラウドサービスと生成AI事業を拡大しています。オラクルもクラウドインフラを通じてAI需要の恩恵を受ける企業です。
サンディスクはデータ保存に欠かせないNAND型フラッシュメモリに関係し、データドッグはクラウドシステムの監視・分析を提供しています。
こうした銘柄の株価が再び上向けば、単なる個別株の反発ではなく、AI関連全体への資金回帰を示す可能性があります。
ソフトウェア株はすでに先行して20%以上上昇
AI・半導体関連株の全面的な反発に先立ち、ソフトウェア株はすでに強さを見せています。
動画では、ソフトウェア株が6月末から20%以上上昇していることが紹介されました。これはAI関連投資が完全に市場から敬遠されているわけではなく、資金が半導体からソフトウェアへ移動していた可能性を示しています。
AI市場には、半導体、データセンター、クラウド、ソフトウェア、アプリケーションなど、複数の階層があります。すべてが同時に上昇するとは限りません。
半導体株のポジションが過密になったと判断されれば、投資家は比較的出遅れているソフトウェア株へ資金を移します。そしてソフトウェア株が上昇した後、半導体株のポジション整理が一巡すれば、再び半導体へ資金が戻ることがあります。
このような資金移動を、株式市場では「ローテーション」と呼びます。
AI株が復活すると銀行株や工業株が調整する可能性
最近の市場では、銀行株や工業株などの景気循環株が強い動きを見せています。
AI・半導体株が売られる一方で、それまでハイテク株に集中していた資金が金融や工業へ移動したことが、景気循環株を押し上げた要因の1つと考えられます。また、これらの業種では空売りの買い戻しも株価上昇を支えた可能性があります。
しかし、資金が再びAI関連株へ向かえば、銀行株や工業株から資金が流出するかもしれません。
市場全体に流入する資金が急増しない限り、ある業種への資金集中は別の業種からの資金流出を伴うことがあります。AI・半導体株と銀行株が同時に上昇し続けるのではなく、AI株が復活する局面では景気循環株が一時的な調整圧力に直面する可能性があるという見方です。
ゴールドマン・サックスも米国ハイテク株の歴史的な売却を指摘
UBSだけでなく、ゴールドマン・サックスもヘッジファンドによる米国ハイテク株の大規模な売却を指摘しています。
動画で紹介された報道によると、ヘッジファンドは過去2カ月間、米国ハイテク株の保有を過去最大のペースで減らしました。
過去8週間のうち6週間で同セクターを売り越し、市場価値ベースの保有残高は累計で約10%減少したとされています。これはゴールドマン・サックスが10年以上前に集計を開始して以降、最大の縮小幅です。
売却の明確な理由は記事で詳しく説明されていないものの、AI関連株への集中を解消し、銀行、工業、保険などの別の業種へ資金を振り向けた可能性があります。
UBSとゴールドマン・サックスの分析を合わせると、ヘッジファンドがAI・ハイテク株を歴史的な規模で売却してきた一方、そのポジション整理が終盤へ近づいているという構図が見えてきます。
ファンダメンタルズが強いまま売りが一巡すれば、次に起こり得るのは買い戻しです。
キオクシアが17.18%上昇する激しい展開
日本市場で特に目立ったのが、キオクシアホールディングスの値動きです。
キオクシア株はこの日、17.18%上昇しました。一時はストップ高へ到達するのではないかと思わせるほど買いが強まり、6万2000円に迫る場面がありました。
しかし、その直前には激しい下落が続いていました。7月16日に約15%下落し、7月17日には約16%下落してストップ安となりました。その後、休日を挟んで17%以上反発したことになります。
数営業日の間に15%を超える下落と上昇が繰り返されており、通常の大型株ではなかなか見られないほどボラティリティの高い状態です。
この急反発は、企業価値が1日で劇的に改善したというより、売りが一巡したところに買い戻しや押し目買いが集中した結果と考える方が自然です。
まさに、UBSが指摘する「ポジション整理後の反発」が日本市場でも意識される値動きとなりました。
キオクシアがストップ安となった複数の要因
キオクシアが金曜日にストップ安となった直接的な要因として、米国での特許侵害をめぐる問題が挙げられています。
動画によると、その金額は約45億円とされています。キオクシアは請求や評決を受け入れることはできないとして、評決後の申し立てや控訴を含むあらゆる法的手段を講じる方針を示しています。
法的手続きの結果が変われば、株価が再び大きく戻る可能性もあります。一方、訴訟が長期化したり、追加的な負担が発生したりすれば、不透明感が株価の重荷になるでしょう。
また、韓国におけるレバレッジETFの規制強化も、半導体株の需給を揺るがした要因の1つとして紹介されています。
レバレッジ商品は、相場上昇時には買い需要を増幅させますが、下落時にはポジション調整によって売りを拡大させる場合があります。そのため規制の変更が行われると、企業の業績とは無関係に短期的な売りが発生することがあります。
今回のキオクシア株の下落には、特許問題という個別材料に加え、韓国市場の規制変更やヘッジファンドによる半導体株の売却など、複数の需給要因が重なった可能性があります。
証券会社はキオクシアの目標株価を引き上げ
株価が急落する一方、証券会社の評価は必ずしも弱気へ転じていません。
動画では、野村證券や岩井コスモ証券などがキオクシアの目標株価を引き上げていることが紹介されています。アナリストによる目標株価の平均は約12万円とされ、足元の約6万1000円と比較すると大きな上昇余地が見込まれている計算です。
もちろん、目標株価は将来の株価を保証するものではありません。アナリストの予想は、メモリ価格、需要動向、設備投資、為替、競合企業の生産計画などによって変わります。
それでも、現在の株価とアナリスト予想に大きな差があることは、短期的な需給悪化と中長期的な業績期待が乖離していることを示しています。
NAND型フラッシュメモリの供給不足が追い風
キオクシアに対する強気見通しの背景には、NAND型フラッシュメモリの需給改善があります。
NAND型フラッシュメモリは、スマートフォン、パソコン、データセンター、SSDなどでデータを保存するために使われる半導体です。
メモリ半導体は市況変動が激しく、供給過剰になると価格が下がり、メーカーの利益も急速に悪化します。反対に、供給が不足すれば販売価格が上昇し、利益率が大幅に改善することがあります。
動画では、NAND型フラッシュメモリの供給不足が年末まで続く見通しが示されています。AIデータセンターの拡大により、演算用半導体だけでなく、大量のデータを保存するストレージ需要も増加しているためです。
株価は訴訟や需給によって大きく売られたものの、メモリ事業のファンダメンタルズそのものは強いというのが、強気派の基本的な見方です。
メモリ大手各社の売上高が急増
動画では、2026年第1四半期におけるNAND関連企業の売上高も紹介されています。
前年同期比では、サムスン電子が約104%増、SKハイニックスが44.6%増、キオクシアが80%増、マイクロン・テクノロジーが96.7%増、サンディスクが96.7%増と、非常に高い伸びを記録したとされています。
各社の売上高がそろって増加していることから、特定企業だけの一時的な回復ではなく、メモリ市場全体の環境が改善している可能性がうかがえます。
半導体株は企業業績だけでなく、将来の市況を先取りして動く傾向があります。現在の業績が良くても、将来の供給過剰が予想されれば株価は下落します。逆に、足元の利益が低迷していても、市況回復が見込まれれば株価は先に上昇します。
そのため、今回の好調な売上高だけでなく、今後の供給計画やメモリ価格、AIデータセンター投資の持続性を確認する必要があります。
東証プライム市場ではキオクシアに売買が集中
この日の東証プライム市場では、キオクシアが引き続き売買代金の首位となりました。前営業日の急落と、この日の急反発を受け、短期投資家を含む多くの市場参加者が取引したと考えられます。
売買代金の上位には、アドバンテスト、ソフトバンクグループ、太陽誘電、村田製作所、東京エレクトロンなども入りました。
半導体製造装置、電子部品、AI投資と関係の深い企業が並んでおり、この日の市場では半導体関連株への関心が再び高まったことが分かります。
一方、市場全体の売買代金は約9兆9600億円でした。直近には12兆円規模の売買が行われた日もありましたが、最近は10兆円を下回る日が続いていると動画では指摘されています。
夏休みシーズンに入り、市場参加者が減少する「夏枯れ相場」の兆候が出ている可能性があります。
取引量が少ない市場では、わずかな注文でも株価が大きく動きやすくなります。キオクシアの激しい値動きにも、市場全体の流動性低下が影響した可能性があります。
半導体株が上がる一方で任天堂は4%下落
半導体関連株が全面的に上昇するなか、任天堂は約4%下落し、7000円を割り込んで取引を終えました。
動画では、メモリ株が上昇する場面で任天堂が下落するという逆方向の値動きが目立つと指摘されています。
任天堂はゲーム機やソフトウェアの販売が業績を左右する企業ですが、ゲーム機にはメモリや各種電子部品が使われます。半導体やメモリ価格の上昇は、部品メーカーにとって追い風となる一方、製品メーカーにとっては製造コストの増加要因になり得ます。
ただし、1日の値動きだけで両者の因果関係を断定することはできません。任天堂固有の期待や利益確定売り、市場内の資金移動など、複数の要因が関係している可能性があります。
安川電機は5000円付近で方向感を模索
産業用ロボット大手の安川電機は、0.06%上昇で取引を終えました。
決算発表後にストップ安となって以降、売りが続いており、株価は取引時間中に何度か5000円を割り込んでいます。この日も5000円を下回る場面がありましたが、その後買い戻され、最終的には5000円を上回って着地しました。
5000円付近が一定の支持線として意識されている一方、決算への警戒から上値も重いという微妙な位置にあります。
今後、5000円付近で買いが継続するのか、それとも支持線を明確に割り込むのかが、チャート上の焦点となりそうです。
サムスン電子がロボット部門を新設
安川電機にとって新たな競争要因となる可能性があるのが、サムスン電子のロボット事業強化です。
韓国のサムスン電子は21日、CEO直属のロボット部門を新設すると発表しました。ロボット分野の開発と商用化を加速させ、新たな成長エンジンに育てる狙いです。
また、ロボット技術の開発が進む米国、中国、日本に研究拠点を設け、現地の企業や研究機関、人材などのエコシステムを活用して競争力を強化する計画も明らかにしました。
ロボット市場全体が拡大すれば、安川電機にも需要増加という恩恵があります。しかし、サムスン電子のような巨大企業が本格参入すれば、技術、人材、価格、販売網をめぐる競争が激しくなる可能性もあります。
安川電機にとっては、市場拡大という追い風と競争激化という向かい風が同時に生じる材料だと考えられます。
半導体決算シーズンが本格化
今後の日本株市場では、半導体関連企業の決算発表が重要になります。
まず、7月23日にはディスコの決算発表が予定されています。半導体製造工程で使用される切断・研削装置を手がけるディスコは、AI・半導体投資の先行きを確認するうえで注目度の高い企業です。
すでに業績の上振れ観測が報じられているものの、株価は報道に対して大きく反応していないと動画では説明されています。この日の株価は3.18%上昇しましたが、市場予想と比べて極端に大きなサプライズではないと受け止められている可能性があります。
良い決算が発表されるかどうかだけでなく、その好業績が現在の株価にどの程度織り込まれているかが重要です。
好決算でも市場予想を下回れば売られることがあります。反対に、決算の数値が多少弱くても、将来見通しが市場の想定を上回れば株価が上昇する場合があります。
その後はアドバンテストなどの決算も控えており、AI半導体需要の強さが改めて確認されるかが焦点となります。
7月31日はキオクシア決算と日銀会合に注目
7月31日には、キオクシアの決算発表が予定されています。
株価が短期間に急落と急反発を繰り返しているため、決算内容だけでなく、NAND型フラッシュメモリの価格見通し、供給不足の継続期間、設備投資計画、訴訟問題への説明などが注目されます。
同じ時期には日本銀行の金融政策決定会合も控えています。
日銀の政策は、銀行株や保険株に大きな影響を与えます。金利が上昇すれば、銀行は貸出金利と預金金利の差から利益を得やすくなるとの期待が高まります。保険会社も保有資産の運用利回りが改善する可能性があります。
一方、金利上昇は株式市場全体の割高感につながる場合があります。特に将来の高い成長を株価に織り込んでいるハイテク株は、金利上昇に弱い傾向があります。
そのため、7月末はキオクシアの個別決算と日銀の金融政策が重なる、重要な局面になると考えられます。
銀行株と保険株が相次いで高値を更新
この日は、時価総額1000億円以上の企業のうち、38銘柄が新高値を記録しました。なかでも目立ったのが銀行株です。
富山第一銀行、あいちフィナンシャルグループ、あおぞら銀行、東邦銀行、百十四銀行、宮崎銀行など、複数の地方銀行や銀行関連銘柄が高値を更新しました。
保険株も非常に強く、SOMPOホールディングスは新高値を記録し、4.77%上昇しました。月足チャートでも、下落した場面では買いが入り、長期的な上昇基調が維持されていると紹介されています。
東京海上ホールディングスも4.62%上昇し、MS&ADインシュアランスグループホールディングスは5.7%上昇しました。MS&ADは新高値にわずかに届かなかったものの、ほぼ高値圏にあります。
月末の日銀会合を控え、金利上昇による収益改善を期待した資金が銀行・保険株へ向かっている可能性があります。
半導体株と金融株が相場の2大テーマに
現在の日本株市場では、半導体株のリバウンドと金融株の上昇が2大テーマになっています。
半導体株には、AI需要、メモリ市況の回復、ヘッジファンドの売り一巡といった追い風があります。一方、金融株には、日銀の金融政策正常化や金利上昇への期待があります。
現時点では半導体株と金融株の両方が上昇していますが、この状態が長期間続くとは限りません。AI株への資金回帰が本格化すれば、金融株で利益確定売りが出る可能性があります。
反対に、日銀が市場予想以上に金融引き締めへ前向きな姿勢を示せば、金融株がさらに買われる一方、高い成長期待を織り込む半導体株には逆風となることも考えられます。
投資家にとっては、単純に「どちらが上がるか」を予想するだけでなく、資金がどの業種からどの業種へ移動しているかを観察することが重要です。
株価急落と企業価値の悪化は必ずしも同じではない
今回のキオクシアの値動きから分かるのは、短期的な株価と企業のファンダメンタルズが必ずしも一致しないということです。
株価は、企業業績だけでなく、ヘッジファンドのポジション調整、レバレッジ商品の規制、訴訟、信用取引、空売りの買い戻し、市場全体の流動性などによって動きます。
キオクシアが2営業日連続で15%以上下落した後、17%以上上昇したからといって、企業価値が数日間で同じ割合だけ増減したわけではありません。
短期的には需給が株価を支配し、中長期的にはファンダメンタルズが株価の方向を決めるという視点が必要です。
ただし、ファンダメンタルズが強いからといって、すぐに株価が反発するとは限りません。需給の悪化が長引けば、割安な状態が続くこともあります。この点でも、一度に全資金を投入せず、段階的に買うというUBSの考え方には合理性があります。
AI・半導体株への投資で確認したいポイント
AI・半導体株の歴史的な売りが終盤に近づいているとしても、今後の上昇が保証されたわけではありません。
まず確認したいのは、ヘッジファンドによる売却が本当に一巡したかどうかです。ポジションが軽くなった後も、業績見通しの悪化や市場全体の急落が起きれば、追加の売りが出る可能性があります。
次に、AI投資が実際の売上高と利益に結び付いているかを確認する必要があります。AIへの期待だけで株価が上昇する段階から、企業が投資額に見合う収益を上げられるかを問われる段階へ移りつつあります。
半導体企業については、在庫、販売価格、設備投資、供給能力が重要です。需要が強くても、各社が一斉に増産すれば、将来的に供給過剰となる可能性があります。
さらに、日銀や米連邦準備制度理事会の金融政策、長期金利、為替相場も無視できません。AI・半導体株は世界中の投資家によって取引されているため、企業固有の材料だけでなく、世界的な資金の流れに左右されます。
まとめ
UBSは、モメンタム株、とりわけAI・半導体セクターで続いてきた歴史的な売りが終盤に差しかかっているとの見方を示しました。
ヘッジファンドはAI関連株のロングポジションを時価総額ベースで約5%削減し、ネットポジションは4月の水準まで低下しています。ゴールドマン・サックスの分析でも、米国ハイテク株の保有残高は約10%減少し、集計開始以来最大の縮小となりました。
すでに大規模な売却が進んだことで、今後は追加の売り圧力が弱まり、買い戻しによる反発が起きる可能性があります。AIやメモリ市場のファンダメンタルズが強さを保っていることも、押し目買いを検討する根拠となっています。
日本市場では、キオクシアがストップ安後に17.18%上昇するなど、売り一巡後の急反発を思わせる値動きが見られました。NAND関連各社の売上高は大幅に伸び、証券会社もキオクシアの目標株価を引き上げています。
一方、銀行・保険株も日銀の金融政策正常化への期待から高値を更新しています。今後はAI・半導体株への資金回帰が進むのか、それとも金融株の上昇が続くのかが大きな焦点です。
半導体関連企業の決算発表や7月末の日銀会合を控え、相場の変動は引き続き大きくなる可能性があります。ファンダメンタルズが強くても、短期的な底値を正確に予測することは困難です。
そのため、AI・半導体株の反発を期待する場合でも、一括で買うのではなく、値動きを確認しながら段階的にポジションを構築する姿勢が重要になるでしょう。


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