1ドル163円で生活はどうなる?円安・原油高・AIメモリー不足から資産を守る方法

本記事は、YouTube動画『ドル円が39年半ぶりの163円台へ!1ドル190円時代に備える資産防衛術』の内容を基に構成しています。

2026年7月22日、ドル円相場は一時1ドル=163円台まで円安が進み、約39年半ぶりの水準に達しました。

さらに、中東情勢の緊迫化を背景に、国際的な原油価格の指標であるWTI原油先物も1バレル=85ドル台まで上昇しています。日本は原油の大部分を海外から輸入しているため、円安と原油高が同時に進むと、ガソリンや電気料金だけでなく、食品や日用品など幅広い商品の値上がりにつながります。

加えて、生成AIの急速な普及によって世界的なメモリー不足も発生しています。パソコンやスマートフォン、SSDなどの価格はすでに上昇しており、今後は家電や自動車にも値上げの波が広がる可能性があります。

円の価値が下がり、生活費が上昇するなか、日本で暮らす人はどのように生活と資産を守ればよいのでしょうか。

この記事では、動画の内容をもとに、円安が進んでいる背景、生活への影響、資産防衛の考え方、そして「1ドル=190円」というシナリオについて詳しく解説します。

目次

ドル円が39年半ぶりの163円台に突入

2026年7月22日、ドル円相場は一時1ドル=163円台まで円安が進みました。

今回の円安を加速させた材料の1つが、中東情勢の再緊迫化です。動画によると、7月20日、イエメンを拠点とする新たな武装組織が、サウジアラビアに関係する船舶を対象に海上封鎖を行うと宣言しました。

対象とされたのは、紅海の南側に位置するバブ・エル・マンデブ海峡です。

バブ・エル・マンデブ海峡とは

バブ・エル・マンデブ海峡は、紅海とアデン湾をつなぐ重要な海上交通路です。ホルムズ海峡と並び、世界のエネルギー輸送を支える要衝として知られています。

動画では、この海峡を1日当たり約250万バレルの石油が通過していると説明されています。

武装組織による攻撃や封鎖の危険が高まると、海運会社は船員や船舶、積み荷を守るために危険な航路を避けようとします。紅海を通過できなければ、アフリカ南端の喜望峰を回る長い航路を選ばなければならない場合もあります。

輸送距離が長くなれば、燃料費や保険料、人件費などが増加します。また、原油供給が滞るとの懸念が強まれば、実際に供給量が大きく減っていなくても原油価格は上昇しやすくなります。

こうした中東情勢への不安から、WTI原油先物は1バレル=85ドル台まで上昇しました。

なぜ原油高になると円安が進みやすいのか

日本は原油のほとんどを海外から輸入しています。そして、国際的な原油取引の多くは米ドルで決済されます。

原油価格が上昇すると、日本の企業は同じ量の原油を輸入するために、これまで以上に多くの米ドルを用意しなければなりません。その結果、外国為替市場では円を売ってドルを買う需要が増え、円安圧力が強まりやすくなります。

原油価格の上昇は、日本から海外へ流出するお金を増やす要因です。中東情勢の緊迫化は原油高を招くだけでなく、日本の貿易収支を悪化させるとの見方を通じて円売りにつながる可能性があります。

かつては世界で紛争や金融不安が発生すると、安全資産とみなされた円が買われる場面が多くありました。しかし、現在は必ずしも「有事の円買い」が起きるとは限りません。

特に中東で緊張が高まる場合、エネルギーを輸入に頼る日本の負担が増加します。そのため、有事であるにもかかわらず、円が売られる展開も起こり得るのです。

今回の円安は中東情勢だけが原因ではない

動画では、1ドル=163円という水準は、1つのニュースだけで突然生まれたものではないと指摘しています。

中東情勢と原油高は、あくまで最後の引き金にすぎません。その前から日本には複数の構造的な円安要因が積み重なっていました。

主な要因として挙げられているのは、次のようなものです。

  • 日米の金利差
  • 日本政府の積極財政に対する懸念
  • 原油や天然ガスなどの輸入コスト増加
  • 海外のクラウドサービスなどによるデジタル赤字
  • NISAなどを通じた海外株式への資金流出

これらの要因が同時に存在することで、日本円は継続的に売られやすい状態になっています。

日米金利差による円売り

動画では、米国の金利が約3.5%、日本が約1%であり、両国には約2.5%の金利差があると説明されています。

一般的に、投資家は金利の低い通貨よりも、金利の高い通貨を持とうとします。日本円を保有するより、米ドル建ての債券や預金などに資金を移した方が高い利回りを得やすいためです。

その結果、円を売ってドルを買う動きが生まれます。日米の金利差が大きい状態が続けば、それだけ円安圧力も残りやすくなります。

積極財政に対する市場の警戒

動画では、政府が公表した「骨太の方針」から、これまで記載されていた財政健全化に関する表現が後退したことも、円安要因の1つとして挙げています。

海外投資家から見れば、積極財政は景気を下支えする政策である一方、政府の支出や国債発行が拡大する可能性を意味します。

日本の財政に対する不安が強まれば、日本国債が売られて長期金利が上昇する可能性があります。さらに、日本円そのものへの信頼が低下すれば、国債と円が同時に売られる展開も考えられます。

長期金利が上昇すると、住宅ローン金利の上昇や債券価格の下落を通じて、家計や金融市場にも影響が及びます。

約7兆円規模のデジタル赤字

日本では、海外企業が提供するクラウドサービス、インターネット広告、動画配信、ソフトウェアなどへの支払いが増えています。

動画では、こうした海外デジタルサービスへの支払いによる「デジタル赤字」が約7兆円規模に達していると説明されています。

日本企業や個人が海外サービスを利用する際には、最終的に円を外貨へ交換する必要があります。デジタルサービスへの支払いが継続的に増えれば、それだけ日本から海外へ資金が流出し、円売りの要因になります。

デジタル赤字は原油輸入とは異なり、目に見えにくい支出です。しかし、クラウドや広告、動画配信サービスが社会に定着した現在では、構造的な円安要因として無視できなくなっています。

NISAを通じた海外投資の拡大

新NISAの普及により、S&P500や全世界株式など、海外資産へ投資する人が増えています。

動画では、こうした海外株や海外投資信託への資金移動が年間約10兆円規模に達しているとしています。

日本の個人投資家が海外株式型の投資信託を購入すると、運用会社はその資金で海外の株式を買います。この過程で円が売られ、外貨が買われるため、海外投資の拡大は円安要因の1つになり得ます。

もちろん、個人が資産を守るために国際分散投資を行うこと自体は合理的です。しかし、日本全体で見れば、海外投資の拡大が継続的な資金流出を生んでいるという側面があります。

過去最大規模の為替介入でも円安を止められなかった

急速な円安に対し、政府・日銀が行う対策の1つが為替介入です。

動画によると、4月28日以降に過去最大規模となる11.7兆円の円買い介入が行われ、ドル円は一時1ドル=155円程度まで、約5円の円高に振れました。

しかし、その効果は1カ月も続かなかったといいます。7月22日には再び1ドル=163円台に達し、介入後の水準から約8円も円安が進んだ計算になります。

為替介入では、政府が保有するドルを売り、円を買います。大量の円買いが入るため、短期的には円高方向へ相場を動かせます。

ただし、介入によって日米の金利差や原油の輸入負担、海外への資金流出まで解消できるわけではありません。

円安を生み出している根本的な資金の流れが変わらなければ、介入で一時的に円高になっても、時間の経過とともに再び円安へ戻る可能性があります。

今回の1ドル=163円は、中東情勢だけで生まれたものではありません。以前から積み上がっていた円安要因に、原油高という新たな材料が加わり、一気に表面化したものだと動画では説明しています。

円安と原油高でインフレが加速する可能性

円安の大きな問題は、日本円で買えるモノやサービスの量が減っていくことです。

銀行口座に100万円を預けていれば、1年後も通帳に表示される数字は基本的に100万円のままです。しかし、食品や電気料金、ガソリン、スマートフォンなどの価格が上がれば、その100万円で購入できる量は減少します。

これがインフレによる現金の実質的な目減りです。

動画で紹介された2026年5月の全国消費者物価指数は、前年同月比で1.7%上昇しました。今後、円安と原油高が同時に続けば、物価上昇がさらに幅広い分野へ波及する可能性があります。

ガソリンや電気料金への影響

原油価格が上昇すると、最初に影響を受けやすいのがガソリンや灯油などの燃料です。

また、日本は液化天然ガスや石炭など、発電に必要な燃料も海外から多く輸入しています。円安によって輸入価格が上昇すれば、電力会社の調達コストが増え、電気料金の上昇につながる可能性があります。

エネルギー価格の上昇は、家庭が直接支払う光熱費だけの問題ではありません。トラックや船舶を動かす物流費、工場を稼働させる生産費、農業用機械や漁船の燃料費などにも影響します。

企業が増加したコストを吸収しきれなくなれば、最終的には食品や日用品の販売価格へ転嫁されます。

そのため、原油高は時間をかけて経済全体の物価を押し上げる可能性があります。

AIの普及でメモリーやSSDが急騰

今回の動画で特に強調されているのが、メモリーやSSDの価格上昇です。

動画の出演者が家電量販店で外付けSSDを確認したところ、2TBの商品が約20万円、4TBの商品が40万円弱で販売されていたといいます。また、価格比較サイトでも、サンディスク製の4TB外付けSSDが20万円を超え、8TBでは42万円を超えていたと紹介しています。

これまでの相場を知っている人にとっては、驚くような価格水準です。

動画では、DRAM価格が直近の四半期で90~95%上昇し、NAND型フラッシュメモリーも50~60%上昇したと説明しています。

AIデータセンターがメモリーを大量に消費

メモリー価格が上昇している大きな背景が、生成AI向けデータセンターの急拡大です。

生成AIを動かすサーバーには、膨大なデータを高速処理するため、高性能な半導体や大容量メモリーが必要です。世界各地でAIデータセンターの建設が進み、AIサーバー向けメモリーの需要が急増しています。

メモリーメーカーにとっては、一般的なパソコンやスマートフォン向けの製品よりも、AIサーバー向けの高性能メモリーの方が高い利益を得られる場合があります。

そのため、メーカーがAI向け製品の生産を優先すれば、一般消費者向けのDRAMやNAND型フラッシュメモリーの供給が減少します。

動画では、この状況を「同じ畑で利益の高い作物を優先して作れば、それ以外の作物が不足するのと同じ」と説明しています。

AI向けの需要増加によってメモリーそのものが不足し、さらに円安によって日本での輸入価格が上がるという、2重の値上げ要因が発生しているのです。

iPhoneやMacだけでなく家電や自動車も値上げへ

メモリーや半導体の価格上昇は、SSD単体の問題ではありません。

動画では、Appleが6月にMacやiPadを値上げし、7月には日本におけるiPhoneの価格を最大約11%引き上げたと説明しています。

パソコンやスマートフォンは、現在では単なる娯楽品やぜいたく品ではありません。仕事や勉強、情報収集、家族との連絡などに欠かせない生活道具です。

これらの価格が上昇すれば、家計への影響は小さくありません。

さらに、メモリーや半導体はエアコン、テレビ、冷蔵庫などの家電にも使用されています。製品の高機能化が進むほど、搭載される電子部品も増えていきます。

自動車も例外ではありません。現在の自動車には、エンジン制御、安全装備、運転支援、カーナビ、通信機能などに多数の半導体が使用されています。電気自動車やハイブリッド車では、さらに多くの電子部品が必要です。

動画では、GMやフォードなどで値上げが進み、自動車にも半導体インフレの波が及び始めていると紹介しています。また、任天堂もメモリーコストの上昇を背景に、Switchの値上げを発表したとしています。

食品、電気、ガソリンに加え、スマートフォン、パソコン、家電、自動車まで値上がりすれば、家計は幅広い方向から圧迫されることになります。

円預金だけでは資産の価値を守れない

銀行口座に100万円を置いておけば、元本の数字そのものは大きく変わりません。預金金利は以前より上昇したものの、物価上昇を十分に補えるほどではない場合があります。

仮に物価が継続的に上昇すれば、100万円で購入できる商品やサービスの量は減少していきます。残高が減っていなくても、資産の実質的な価値は低下しているのです。

一方、海外株式や外貨建て資産を保有している人は、円安によって円換算した資産額が増えている可能性があります。

2024年や2025年から新NISAでS&P500や全世界株式へ投資してきた人のなかには、株価の上昇だけでなく、円安による為替差益の効果を実感している人も多いでしょう。

この結果、円預金だけを保有する人と、海外資産を保有する人の間で、資産価値の差が広がる可能性があります。

ただし、海外株式は常に上昇するわけではありません。株価が下落することもあれば、円高になれば円換算の評価額が減少します。そのため、円預金をすべて海外資産へ移せばよいという単純な話ではありません。

重要なのは、生活に必要なお金と、長期的に運用できるお金を分けることです。

日本人は生活と資産をどう守ればよいのか

動画では、円安やインフレに備える際、まず「生活防衛」と「資産防衛」を分けて考えるべきだと説明しています。

投資を急ぐ前に、日常生活を守るための資金を確保する必要があります。

生活防衛資金は日本円で確保する

病気や失業、収入の減少、家電の故障など、突然の支出に備えるお金は日本円で持っておくことが基本です。

最低でも数カ月分の生活費を、すぐに使える現金や預金として確保しておく必要があります。

円安が怖いからといって、生活防衛資金まで株式や外貨へ変えてしまうのは危険です。株式市場が急落したときに失業や大きな出費が重なれば、値下がりした資産を売却せざるを得なくなる可能性があります。

また、外貨建て資産は円に戻す際の為替相場によって受取額が変わります。すぐに必要なお金まで価格変動のある資産に置くと、生活そのものが不安定になります。

まずは日常生活を守れるだけの日本円を確保し、そのうえで余裕資金を運用するという順番が重要です。

高額商品は必要性と購入時期を確認する

パソコンやスマートフォン、エアコンなどが古くなっている場合は、完全に故障する前に買い替え時期を検討することも生活防衛につながります。

メモリー不足や円安が続けば、今後さらに値上がりする可能性があります。仕事で使うパソコンなど、近いうちに確実に必要になる商品については、早めに購入することで将来の値上げを避けられるかもしれません。

大切なデータについても、機器が故障する前にバックアップを取っておく必要があります。

ただし、「さらに値上がりするかもしれない」という理由だけで、不要な商品まで購入する必要はありません。

使わない商品を買えば、その支出は確実な損失になります。将来の価格上昇は不確実ですが、不要な買い物による出費は100%発生します。

値上がりするかどうかではなく、本当に必要かどうかを基準に判断することが重要です。

余裕資金を円だけに偏らせない

生活防衛資金を確保したうえで、長期間使う予定のない余裕資金については、日本円だけに集中させないことも検討できます。

全世界株式や米国株式へ投資すれば、日本円の一部を、世界の企業が生み出す利益に変えることができます。

円安になれば、海外資産の円換算額を押し上げる要因になります。一方、円高になれば、同じ積立金額でより多くの海外資産を購入できます。

つまり、為替の方向を正確に予測しようとするのではなく、どちらに動いても積立投資を継続できる仕組みを作ることが大切です。

動画の出演者は、今回の円安によって不安になるどころか、新NISAで積立投資を続けるモチベーションが高まっていると話しています。

円安だから投資を始め、円高になったからやめるという対応ではなく、市場環境に左右されず、決めた方針に沿って淡々と積み立てる考え方です。

全財産を海外株へ移すのは資産防衛ではない

円安が進むと、「日本円を持っているだけでは危険だ」と焦ってしまうかもしれません。

しかし、生活防衛資金もない状態で、全財産を海外株式や外貨へ変えることは適切な資産防衛とはいえません。動画では、それは恐怖に追い立てられた賭けに近いと警告しています。

本気で資産を守りたい人ほど、順番を守る必要があります。

日本円の現金には、日常生活や緊急時の支払いを支える役割があります。日本株には、日本経済や日本企業の成長から利益を得る役割があります。海外株には、世界経済の成長を取り込み、日本円への集中を避ける役割があります。

それぞれの資産には異なる役割があるため、1つに集中させるのではなく、目的に応じて使い分けることが大切です。

円安になっても円高になっても、家計を壊さずに投資を続けられる状態を作ることが長期投資家の強みです。

為替相場の方向を当て続けることは困難です。しかし、どちらに動いても耐えられる資産配分を作ることはできます。

ブルームバーグが報じた「1ドル190円」のシナリオ

動画の最後では、ブルームバーグが取り上げた「1ドル=190円」という数字について解説しています。

2026年7月6日、ブルームバーグは、日本経済の復活と円安、物価高について考える記事を掲載しました。その紹介文のなかでは、「1ドル=190円も現実味を帯びる」といった趣旨の問題提起が行われていたといいます。

ここで示されているのは、海外投資家から見た日本と、日本で生活している人が感じる日本との間にある大きなギャップです。

海外投資家から見た日本復活

海外投資家から見ると、日本経済には明るい変化があります。

長く続いたデフレから抜け出し、企業が商品やサービスを値上げできるようになりました。賃金も上がり始め、企業統治改革も進んでいます。

企業による自社株買いやM&Aも増え、日本株や日本企業への関心が高まっています。

円安によって日本株が外貨換算で割安に見えることも、海外投資家にとっては魅力です。企業収益の改善や株主還元の拡大が続けば、「日本経済が本格的に復活するのではないか」という期待が高まります。

日本で暮らす人が見る物価高

一方、日本で暮らす人からは異なる景色が見えます。

円安によって食料品、エネルギー、海外製品が値上がりし、生活費が上昇しています。賃金が上がっても、物価上昇に追いつかなければ、実質的な生活水準は改善しません。

海外投資家から見れば「割安な日本」でも、日本人にとっては「生活費が高くなった日本」です。

日本企業の業績や株価が改善しても、その恩恵がすべての人に均等に届くわけではありません。特に株式を保有していない人や、収入が物価上昇に追いついていない人にとっては、日本復活を実感しにくい状況が続きます。

この2つの景色が、現在の日本経済を理解するうえで重要なポイントです。

1ドル190円は本当にあり得るのか

2020年末のドル円相場は、1ドル=約103円でした。

そこから2026年7月の163円まで、ドルに対して円は大幅に下落しています。103円から163円への変化率を単純計算すると、ドル円の水準は約58%上昇したことになります。

一方、163円から190円までの上昇率は約16.6%です。

もちろん、過去に58%動いたから、今後も必ず16.6%動くという意味ではありません。為替相場は金融政策、景気、物価、国際情勢、投資家心理など、さまざまな要因によって変化します。

ただし、ここ数年間で起きた円安の大きさと比較すれば、1ドル=190円は計算上まったく想像できない水準ではないというのが動画の主張です。

日米の金利差が残り、原油価格が上昇し、日本から海外へ資金が流れ続ける。そして、日本経済が円安を止められるほど強い成長力を示せない場合、163円からさらに円安が進む可能性はあります。

世界的な金融メディアが1ドル=190円を検討すべきシナリオとして取り上げたことは、それまで極端に見えた水準が、海外市場では無視できない数字になりつつあることを示しています。

ただし、実際に190円になるかどうかを正確に当てることはできません。また、長期的な資産形成においては、予想を的中させる必要もありません。

重要なのは、190円になってから慌てるのではなく、円安がさらに進んだ場合にも耐えられる状態をあらかじめ作っておくことです。

1ドル190円になっても慌てないための3つの対策

動画では、為替相場を予測するのではなく、どのような水準になっても生活と資産を守れるように、次の3つを実践することが大切だと説明しています。

  1. 生活に必要なお金を日本円で確保する
  2. 余裕資金を日本円だけに偏らせない
  3. 新NISAなどを活用し、世界の成長へ淡々と投資する

まず、日常生活や緊急時に必要な資金は日本円で用意します。そのうえで、長期間使用しない余裕資金については、円預金だけでなく、日本株や海外株式などへ分散します。

そして、為替相場の短期的な動きに振り回されず、長期的な積立投資を継続します。

円安になれば海外資産の円換算額が支えられ、円高になれば以前より安く海外資産を積み立てられます。このように考えれば、為替の上下を恐れるだけでなく、それぞれの局面を長期投資に生かせます。

ただし、投資には価格変動のリスクがあります。生活防衛資金を確保し、自分が耐えられる範囲で行うことが前提です。

まとめ

2026年7月22日、ドル円は一時1ドル=163円台まで円安が進み、約39年半ぶりの水準に達しました。

今回の円安は、中東情勢の緊迫化と原油価格の上昇だけで起きたものではありません。日米金利差、積極財政への警戒、エネルギー輸入、デジタル赤字、海外投資の拡大など、以前から存在していた構造的な円安要因が重なっています。

円安と原油高が同時に進めば、ガソリンや電気料金、食品、日用品など幅広い商品の価格が上昇します。さらに、生成AI向けデータセンターの拡大によるメモリー不足が重なり、パソコン、スマートフォン、家電、自動車なども値上がりする可能性があります。

こうした環境では、円預金の残高が変わらなくても、購入できるモノやサービスが減り、資産の実質的な価値が低下します。

一方で、円安を恐れて生活資金まで海外株式へ移すことも適切ではありません。まずは数カ月分の生活費を日本円で確保し、そのうえで余裕資金を国内外の資産へ分散することが重要です。

1ドル=190円になるかどうかを、今の時点で正確に予測することはできません。しかし、どのような為替水準になっても生活を維持し、積立投資を続けられる仕組みを作ることはできます。

大切なのは、次の為替相場を当てることではありません。円安にも円高にも耐えられる資産配分を整え、生活防衛資金を守りながら、世界の成長へ長期的に投資していくことです。

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