本記事は、YouTube動画『さすがに株価下げすぎ? 復活中4銘柄』の内容を基に構成しています。
株式市場では、一度大きく売られた銘柄が、目立ったニュースもないまま少しずつ値を戻すことがあります。急騰するわけではないものの、安値をつけた後にじわじわと買いが入り、気がつけば下落前の水準に近づいているケースです。
今回の動画では、こうした「ぬるっと復活している銘柄」として、三井物産、丸紅、三菱商事、トヨタ自動車の4銘柄が取り上げられました。
商社株については、7月につけた安値からの反発が目立っており、その背景には原油価格の上昇がある可能性が指摘されています。一方、トヨタ自動車については、円安の進行や決算への期待が株価を支えていると考えられます。
さらに動画では、フェローテック、ディスコ、Googleの親会社であるアルファベット、テスラなどの決算動向も紹介されました。加えて、キオクシア株の急落、金融株の新高値、グリコの年初来安値、今後の重要決算や日銀金融政策決定会合など、幅広い市場情報が解説されています。
大きく下落した銘柄がじわりと復活
株価は、企業の業績だけで動くものではありません。原油価格、為替、金利、投資家心理、決算への期待など、さまざまな要因が複雑に絡み合って変動します。
特に、一度大きく売られた銘柄では、悪材料が株価に織り込まれた後、少しの好材料でも買い戻しが入りやすくなります。
動画で紹介された4銘柄も、直近では強い上昇トレンドに入ったというより、売られすぎた水準から緩やかに戻している状況です。
このような値動きは、底値で買いたい投資家にとって気になる動きですが、単に株価が下がったという理由だけで割安と判断するのは危険です。株価が回復している背景と、企業の業績や市場環境を同時に確認する必要があります。
三井物産は年初来安値から緩やかに反発
最初に紹介されたのは、総合商社大手の三井物産です。
三井物産の株価は年初来安値を更新し、7月の安い水準から緩やかに反発しています。株価は一時4500円を割り込む場面もありましたが、その後は少しずつ回復する動きを見せています。
動画内で紹介された主な指標は次のとおりです。
- PER:15.3倍
- PBR:1.61倍
- 配当利回り:2.82%
- 決算発表予定日:8月4日
PERは、株価が企業の利益に対して何倍まで買われているかを示す指標です。一般的には、数字が低いほど利益に対して株価が割安と判断されやすくなります。
PBRは、企業の純資産に対して株価が何倍まで評価されているかを示す指標です。PBRが1倍の場合、理論上は企業を解散して資産を分配した場合の価値と、株式市場での評価が同程度であることを意味します。
ただし、PERやPBRだけで株価の割安・割高を判断することはできません。将来の利益が減少する見通しであれば、PERが低く見えても必ずしも割安とは限らないためです。
三井物産の場合、株価回復の背景として考えられるのが原油価格の上昇です。
三井物産は原油や天然ガスを含む資源事業を展開しているため、資源価格が上昇すると、保有する権益から得られる収益への期待が高まりやすくなります。
業績は横ばいでも株主還元を強化
動画では、三井物産の業績について、おおむね横ばいの見通しであることも紹介されました。
かつての商社株は、資源価格の上昇によって利益が大きく伸びることが投資材料になっていました。しかし、現在は業績が右肩上がりで伸び続けるというより、安定した利益を維持しながら株主還元を強化する局面に入っていると考えられます。
実際に、三井物産では配当金の増加が意識されています。
また、商社各社は配当だけでなく、自社株買いにも積極的です。企業が市場から自社株を買い戻すと、発行済み株式数が減少し、1株あたり利益が増えやすくなります。
業績の大幅な成長が期待しにくい局面でも、配当や自社株買いが株価を支える材料になるということです。
丸紅も1月の安値付近から回復
続いて紹介されたのは丸紅です。
丸紅の株価は、年初来安値をわずかに割り込まずに踏みとどまったものの、1月の安値に迫る水準まで下落しました。その後は安値圏を維持しながら、最近になって上昇しています。
動画内で紹介された指標は次のとおりです。
- PER:15.1倍
- PBR:2.01倍
- 配当利回り:2.14%
- 決算発表予定日:8月3日
丸紅も三井物産と同様に、資源事業を持つ総合商社です。そのため、原油や天然ガス、金属、農産物などの商品価格が業績に影響します。
ただし、総合商社の事業は資源分野だけではありません。食料、電力、インフラ、化学品、輸送機、金融など、幅広い分野に事業を展開しています。
そのため、原油価格が上昇したからといって、すべての利益が同じ割合で増えるわけではありません。それでも、市場では資源価格の上昇局面で商社株全体が買われやすくなる傾向があります。
今回も、原油価格の反発をきっかけに、丸紅を含む商社株全体へ買い戻しが入っている可能性があります。
三菱商事も原油価格の反発に連動か
3銘柄目は三菱商事です。
動画で紹介された三菱商事の指標は次のとおりです。
- PER:16.4倍
- PBR:1.91倍
- 配当利回り:2.54%
三菱商事の株価も、7月の安値から大きく反発しています。
動画では、なぜ三菱商事をはじめとする商社株が上昇しているのかについて、WTI原油先物の値動きとの関連が指摘されました。
WTI原油先物は、米国を代表する原油価格の指標です。世界の原油相場を確認する際に広く利用されており、WTI価格が上昇すると、石油や天然ガスの権益を保有する企業にとって追い風になる可能性があります。
7月につけた安値からのWTI原油先物のチャートと、三井物産をはじめとする商社株のチャートが非常に似ていたことから、今回の商社株上昇は原油価格の反発に反応した可能性があると分析されています。
原油上昇の影響が大きい三菱商事
総合商社各社のなかでも、原油価格が上昇した際の影響が比較的大きいと考えられているのが三菱商事です。
三菱商事は、原油、天然ガス、LNGなどのエネルギー事業を幅広く展開しています。そのため、資源価格の上昇によって利益が押し上げられるとの期待が生まれやすくなります。
もちろん、実際の業績は為替や生産量、権益の条件、価格の変動幅などにも左右されます。それでも、原油価格の反発局面では、投資家が商社株を買い戻す理由の1つになり得ます。
動画では、三菱商事、三井物産、丸紅の株価が、いずれも原油価格の7月安値からの反発と似た動きをしていると説明されました。
商社株は個人投資家からの人気も高く、高配当株や長期保有銘柄として注目されています。そのため、株価が大きく下落した場面では、押し目買いを検討する投資家も多いと考えられます。
トヨタ自動車は円安を追い風に反発
4銘柄目はトヨタ自動車です。
トヨタの株価も、7月頃につけた安値から緩やかに反発しています。短期的に急上昇しているわけではありませんが、下落が一服し、少しずつ買いが戻っている状況です。
動画内で紹介された指標は次のとおりです。
- PER:11.6倍
- PBR:0.88倍
- 配当利回り:約3.9%
近年の日本株市場では、株価上昇によってPBRが1倍を超える企業が増え、配当利回りも低下しています。
そのような状況のなかで、トヨタはPBRが1倍を下回り、配当利回りも比較的高い水準にあります。そのため、ほかの大型株と比べれば、投資家が買いを検討しやすい指標になっていると動画では評価されました。
ただし、指標が低いからといって、直ちに株価が上昇するとは限りません。現在の業績見通しには、いくつか慎重に見るべき点があります。
営業利益は20%減の見通し
トヨタの会社側の業績見通しでは、売上高は0.6%増と、ほぼ横ばいが予想されています。一方で、営業利益は20%減の見通しです。
過去最高益を記録した数年前と比べると、利益水準は大きく下がる予想になっています。
また、販売台数の見通しも前年とほぼ同じ水準です。つまり、今年と前年で販売する自動車の台数が大きく増えるわけではありません。
販売台数が横ばいで、利益も減少する見通しであれば、企業の利益成長を理由に株価が上昇することは難しくなります。
この場合、株価が上がるためには、市場がトヨタを評価するPERが上昇するか、会社の慎重な業績予想が上方修正される必要があります。
1ドル163円台の円安が株価を支える
最近のトヨタ株上昇を支えている可能性があるのが、為替市場で進んでいる円安です。
動画収録時点では、ドル円相場が1ドル163.3円付近まで上昇していました。
トヨタのように海外で多くの自動車を販売する企業にとって、円安は業績上の追い風になりやすい傾向があります。
海外で得たドル建ての売上や利益を日本円に換算すると、円安になるほど金額が大きくなるためです。
たとえば、海外で1億ドルの利益を得た場合、1ドル140円なら日本円換算で140億円です。一方、1ドル160円なら160億円になります。事業の実態が同じでも、為替換算によって利益が増えて見えることがあります。
市場では、円安が進んでいても、しばらく自動車株が反応しないことがあります。しかし、あるタイミングで投資家が円安の恩恵を再評価し、輸出関連株がまとめて買われる場合があります。
動画では、まるで市場参加者が「1ドル163円まで円安になっていることを思い出した」かのように、トヨタ株が上昇していると表現されました。
慎重な会社予想が上方修正につながる可能性
トヨタの業績見通しは、かなり慎重な数字になっています。
前回の第4四半期実績では、営業利益が49%減、経常利益も減少しており、比較する数字のハードルが高いわけではありません。
そのため、円安などの追い風が続けば、会社側が現在発表している慎重な業績見通しを上回る可能性があります。
決算発表で上方修正が行われるとの期待が、株価の回復につながっている可能性もあるということです。
ただし、自動車メーカーは為替だけでなく、関税、原材料価格、人件費、販売奨励金、各国の環境規制など、多くの影響を受けます。
円安だけを理由に業績の上方修正を断定することはできませんが、現在の株価にとって重要な支援材料の1つであることは間違いありません。
商社株とトヨタ株では上昇理由が異なる
今回紹介された4銘柄は、いずれも7月の安値付近から反発しています。しかし、上昇している背景は同じではありません。
三井物産、丸紅、三菱商事などの商社株は、原油価格をはじめとする資源価格の反発が意識されています。
一方、トヨタ自動車では、円安による業績押し上げ効果や、慎重な業績予想に対する上方修正期待が材料になっていると考えられます。
株価チャートだけを見ると似たような反発に見えても、企業によって株価を動かす要因は異なります。
投資を検討する場合は、なぜ株価が上がっているのかを整理し、その材料が一時的なものなのか、今後も続く可能性があるのかを確認することが重要です。
フェローテックが大幅な上方修正でストップ高
動画では、復活中の4銘柄に加えて、決算や業績修正を発表した企業についても紹介されました。
まず取り上げられたのが、半導体関連企業のフェローテックホールディングスです。
フェローテックは正式な決算発表を8月14日に予定していましたが、それを待たずに早い段階で業績予想の上方修正を発表しました。
修正後の見通しは非常に強い内容となっています。
- 売上高:8.6%増
- 営業利益:57%増
- 最終利益:43%増
営業利益が57%増、最終利益が43%増という大幅な上方修正を発表したことで、株価はストップ高となりました。
PTSでも9.6%上昇しており、発表後も投資家から強く評価されている状況です。
生成AI向け半導体需要が業績を押し上げ
フェローテックの業績が好調な理由として、生成AIに関連する半導体需要の拡大が挙げられています。
同社は、半導体製造装置向けのマテリアル製品、真空シール、金属加工などを手掛けています。
生成AIの普及によって高性能な半導体の需要が増えると、半導体そのものだけでなく、その半導体を製造する装置や部品、材料の需要も増加します。
フェローテックは、まさに半導体製造装置に必要な部品や素材を供給している企業であり、本業の需要が大きく伸びています。
電子デバイス事業も好調で、複数の事業が利益を押し上げました。
最近の株式市場では、企業が良い決算を発表しても、「すでに株価へ織り込み済み」と判断されて売られるケースがあります。また、決算発表前に株価が上昇していた場合、材料出尽くしとして利益確定売りが出ることもあります。
しかし、フェローテックについては、予想を大幅に上回る内容が素直に評価され、寄り付かないままストップ高まで買われました。
期待だけではなく、実際の業績が伴っている点が評価されたと考えられます。
ディスコは大幅増益でも期待値が高い
半導体製造装置関連のディスコも決算を発表しました。
発表当日の株価は1.2%高で取引を終え、PTSでは0.4%程度上昇していました。
第1四半期の実績は非常に強い内容です。
- 売上高:27%増
- 営業利益:42%増
- 最終利益:44%増
売上高だけでなく、利益も大きく伸びています。
ディスコは、半導体の切断、研削、研磨に使われる装置で高い競争力を持つ企業です。生成AIやデータセンター向けの半導体需要が拡大するなか、先端ロジック半導体やHBM向けの需要が高い水準で推移しています。
HBMは「High Bandwidth Memory」の略で、日本語では広帯域メモリと呼ばれます。
大量のデータを高速で処理できるメモリで、生成AIに使われる高性能GPUと組み合わせて使用されます。AI向け半導体需要の拡大によって、HBM関連市場も急速に成長しています。
好決算でも市場予想にはわずかに届かず
ディスコは、第2四半期までの見通しも発表しています。
上半期累計では、売上高24%増、営業利益31%増を見込んでいます。
数字だけを見れば十分に強い内容ですが、市場のコンセンサス予想にはわずかに届かなかったとされています。
ディスコが好業績を出すことは、多くの投資家がすでに予想しています。そのため、単に増収増益を発表するだけでは、株価が大きく上昇しない場合があります。
期待値が非常に高い銘柄では、良い決算を出すことが最低条件となり、市場予想をどれだけ上回ったかが重視されます。
仮に決算後に株価が売られた場合でも、企業のファンダメンタルズ自体が強いため、どこかのタイミングで押し目買いが入る可能性があると動画では見られていました。
アルファベットは過去最高業績でも時間外で下落
Googleの親会社であるアルファベットも決算を発表しました。
第2四半期の業績は非常に好調でした。
営業利益は30.4%増となり、過去最高を更新しました。売上高も24.2%増となり、こちらも過去最高です。
世界最大級の企業でありながら、売上高と利益を2桁以上伸ばしている点は驚異的です。
特にクラウド事業の売上高は82%増となり、約4兆円規模まで拡大したと紹介されました。
しかし、決算発表後の時間外取引では株価が3.44%下落していました。
業績が過去最高であるにもかかわらず株価が売られた理由は、設備投資が大きすぎるのではないかという懸念です。
フリーキャッシュフローが初のマイナス
今回、アルファベットのフリーキャッシュフローは、約9600億円のマイナスになったとされています。
フリーキャッシュフローとは、企業が本業で稼いだ現金から、設備投資などに使った現金を差し引いた金額です。
企業が自由に使える資金を示す指標であり、一般的にはプラスで安定している企業ほど財務的な余裕があると評価されます。
Googleはこれまで、フリーキャッシュフローを継続的に伸ばしてきた企業です。しかし、今回はAI関連を中心とする設備投資が急増し、利益を上回る規模の資金を投じたことで、フリーキャッシュフローがマイナスになりました。
市場では、AI投資によって将来の成長が期待できる一方、投資額が過大になっているのではないかとの警戒も強まっています。
年間設備投資を約30兆円へ引き上げ
アルファベットの経営陣は、年間の設備投資見通しを上方修正しました。
従来の1950億ドルから、約2050億ドルへ引き上げています。日本円に換算すると、約30兆円規模です。
1年間の設備投資としては非常に大きな金額であり、AI向けデータセンターや半導体、クラウド設備などへ巨額の資金を投じていることが分かります。
さらに経営陣は、2027年も設備投資の増加が続くとの見通しを示しました。
つまり、今回だけ一時的に投資を増やしているのではなく、AIを巡る競争に勝つため、今後も継続的に巨額投資を行う方針です。
株式市場では、Microsoft、Amazon、Meta、Googleなど、巨大IT企業の設備投資が今後も続くかどうかが注目されています。
これらの企業が設備投資を継続すれば、半導体メーカー、半導体製造装置メーカー、データセンター関連企業、電線、電力設備、冷却装置など、多くの企業に恩恵が広がります。
アルファベットの株価にとっては短期的な懸念材料でも、設備投資を受注する側の企業にとっては、今後も需要が続くことを示す好材料になり得ます。
テスラは決算後の時間外取引で下落
テスラも同じ時期に決算を発表し、時間外取引で株価が下落していました。
市場では、テスラとイーロン・マスク氏が率いる宇宙企業SpaceXが合併するのではないかという観測も広がっています。
ただし、決算説明会のような公の場では、企業合併について具体的に話すことはできないとの説明がありました。
企業の合併や買収は、株価に重大な影響を与える未公表情報になる可能性があります。そのため、正式発表前に経営陣が詳細を話すことは通常できません。
現時点では観測の域を出ず、実際に合併が行われるかどうかは不透明です。
日本株市場は夏枯れで売買代金が減少
動画では、日本株市場全体の状況についても解説されました。
日経平均株価は0.46%高で取引を終えましたが、売買代金は減少していました。
前日は一時2%程度上昇した後に失速する動きが見られ、この日も市場全体の勢いはそれほど強くありませんでした。
夏休みの時期には、国内外の機関投資家や個人投資家の取引が減少し、売買代金が低下することがあります。これを一般に「夏枯れ相場」と呼びます。
参加者が少ない市場では、少ない売買でも株価が大きく動きやすくなります。
材料がないのに急落したり、逆に小さな好材料で急上昇したりすることもあるため、通常以上に値動きへ注意する必要があります。
キオクシアが引け前に急落
キオクシアホールディングスの株価は、14時40分頃から1分足で急激に下落する独特な動きを見せました。
動画によると、下落時点では明確な悪材料は確認されていませんでした。
しかし、その日の16時頃に提出された報告書から、東芝がキオクシア株を売却していたことが明らかになりました。
報告書によると、義務発生日は7月15日で、東芝の保有割合は16.1%から15.1%へ低下しています。つまり、東芝はキオクシア株の約1%分を売却していました。
ただし、この報告書は7月15日時点の保有状況を示すものであり、当日の14時40分頃の急落時に東芝が売っていたことを直接証明するものではありません。
大口投資家が売却を察知して売ったのか、別の機関投資家がまとまった売り注文を出したのか、急落の正確な理由は不明です。
ベインキャピタルもキオクシア株から撤退
キオクシア株を大量に保有していたベインキャピタルも、最近になって全株を売却し、投資から撤退したと紹介されました。
東芝も株価が高値圏にある段階から売却を始めており、株価が1万円を超えた付近から保有株を減らしているとされています。
主要株主が保有株を売却すると、需給面では株価の重荷になります。
いくら企業の業績や成長性が強くても、市場に大量の売り注文が出れば、短期的には株価が下落する可能性があります。
一方、動画ではキオクシアのファンダメンタルズ自体はかなり強いとも評価されています。
AI向けデータセンターの拡大により、メモリ需要が強まっているためです。今後は業績の成長と大株主の売却という、好材料と需給悪化のどちらが株価へ強く影響するかが注目されます。
半導体株や銀行株が上昇
売買代金上位の銘柄では、半導体関連株を中心に強い動きが見られました。
動画内では、東京エレクトロンやアドバンテストが上昇し、レーザーテックも比較的強い動きを見せたと紹介されています。
生成AI関連の設備投資が続いていることや、アルファベットをはじめとする巨大IT企業が巨額投資を続ける見通しを示していることが、半導体関連株を支えている可能性があります。
一方で、すべてのハイテク株が上昇しているわけではなく、銘柄ごとの業績や需給によって差が出ています。
3メガバンクがそろって新高値
金融株も非常に強い動きとなりました。
三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループの3メガバンクが、そろって新高値を更新しています。
さらに、保険株でも東京海上ホールディングス、MS&ADインシュアランスグループホールディングスなどが新高値をつけました。
銀行や保険などの金融株が上昇している背景には、金利上昇や日銀の利上げ期待があると考えられます。
銀行は、預金などで集めた資金を企業や個人へ貸し出し、その金利差から利益を得ます。
金利が上昇すると、貸出金利が上がり、銀行の利ざやが拡大するとの期待が高まります。そのため、日銀が金融政策を正常化し、今後さらに利上げするとの観測が強まると、銀行株が買われやすくなります。
地方銀行、メガバンク、損害保険会社など、金融関連株全体に資金が向かっている状況です。
グリコは年初来安値を更新
一方、年初来安値を更新した銘柄もあります。
東証プライム市場では4銘柄が年初来安値をつけ、そのなかで注目銘柄として江崎グリコが紹介されました。
グリコの株価は、週足で綺麗に上昇した後、長期間にわたって下落が続いています。
信用取引の状況を見ると、買い残よりも空売りのほうが多い珍しい状態になっていると説明されました。
一般的に株価が下落すると、値下がりを見込んで空売りが増える場合があります。一方、空売りが積み上がりすぎると、何らかの好材料をきっかけに買い戻しが集中し、株価が急上昇することもあります。
公正取引委員会が立ち入り検査
グリコについては、6月17日に公正取引委員会による立ち入り検査を受けたことも悪材料として紹介されました。
アイスクリームの販売価格の決定に関して、独占禁止法違反の疑いがあるとして検査が行われたものです。
この材料だけが株価下落の原因であるかは不明ですが、投資家心理を悪化させる要因の1つになった可能性があります。
公正取引委員会の立ち入り検査を受けたからといって、直ちに違法行為が確定したことにはなりません。調査の結果、問題がないと判断される場合もあります。
ただし、今後の処分や業績への影響が分からない段階では、先行きの不透明感を嫌って株が売られやすくなります。
今後は半導体企業の決算が相次ぐ
今後のスケジュールでは、国内外の半導体関連企業を中心に重要決算が続きます。
まず、米国ではIntelの決算が早朝に発表される予定です。
Intelの決算内容は、半導体パッケージ基板を手掛けるイビデンなど、日本の関連企業の株価にも影響する可能性があります。
また、信越化学工業の決算も予定されています。信越化学は半導体シリコンウエハーで世界的に高いシェアを持つため、半導体市場の需要動向を確認するうえで重要な企業です。
その後も、SCREENホールディングス、キーエンス、JPX、アドバンテスト、東京エレクトロンなどの決算が続きます。
海外では、コーニングやKLAなどの決算も予定されています。
半導体、データセンター、電線、電子部品関連株は、海外企業の決算内容にも反応しやすいため、保有している投資家は発表日を確認しておく必要があります。
FOMCと日銀金融政策決定会合にも注目
企業決算だけでなく、中央銀行の金融政策も重要です。
米国ではFOMCが予定されています。FOMCは、米国の中央銀行にあたるFRBが金融政策を決める会合です。
政策金利の変更だけでなく、今後の利下げや利上げの可能性について、FRB議長がどのような発言をするかが注目されます。
日本では日銀金融政策決定会合が予定されています。
動画収録時点の報道を見る限り、今回の会合で直ちに利上げが行われる可能性は高くないとの見方が示されていました。
ただし、利上げが見送られた場合でも、日銀が今後の物価や円安、金利についてどのような見解を示すかによって、為替や銀行株が大きく動く可能性があります。
トヨタなどの輸出企業にとっては円相場が重要であり、銀行株にとっては金利の見通しが重要です。
そのため、同じ日銀会合でも、業種によって受ける影響は異なります。
株価が下がっただけでは買い時とは限らない
今回紹介された三井物産、丸紅、三菱商事、トヨタは、いずれも安値圏から回復しています。
しかし、株価が大きく下がったからといって、必ずしも買い時とは限りません。
株価が下落した背景が一時的な需給悪化であれば、材料が解消した後に回復する可能性があります。一方、企業の利益が長期的に減少する見通しであれば、さらに株価が下がる可能性もあります。
重要なのは、下落率ではなく、現在の株価と将来の企業価値を比較することです。
商社株では、原油価格の反発や株主還元が支援材料になっています。しかし、原油価格が再び下落すれば、株価が影響を受ける可能性があります。
トヨタでは円安が追い風ですが、関税や販売台数、原材料価格などの影響も無視できません。
半導体株ではAI需要が強い一方、すでに高い成長期待が株価に織り込まれている場合があります。
良い決算を出しただけで株価が上昇するとは限らず、市場予想を上回ったかどうかが重要になります。
まとめ
今回の動画では、7月の安値付近から緩やかに回復している4銘柄として、三井物産、丸紅、三菱商事、トヨタ自動車が紹介されました。
三井物産、丸紅、三菱商事などの商社株は、WTI原油先物の反発と似た値動きをしており、原油価格の上昇が株価回復の一因になっている可能性があります。
業績が大幅に成長しているわけではないものの、配当の増加や自社株買いなど、株主還元の強化が株価を支えています。
トヨタ自動車は、PBRが1倍を下回り、配当利回りも比較的高いことから、大型株のなかでは買いやすい指標に見えます。
販売台数や利益の見通しは強くありませんが、1ドル163円台まで進んだ円安が業績を押し上げるとの期待や、慎重な会社予想が上方修正されるとの期待が株価を支えている可能性があります。
また、フェローテックは大幅な業績上方修正を発表してストップ高となり、ディスコも生成AIやHBM需要を背景に大幅な増収増益を発表しました。
アルファベットは過去最高の売上高と営業利益を記録したものの、約30兆円規模に達する設備投資への懸念から、時間外取引で株価が下落しました。
巨大IT企業によるAI関連投資は、投資を行う企業にとって短期的な負担になる一方、半導体、製造装置、データセンター、電線、電力設備などの関連企業にとっては追い風になります。
日本株市場では、夏枯れによって売買代金が減少するなか、キオクシア株が急落しました。東芝やベインキャピタルによる保有株売却が需給面の重荷になっていますが、メモリ需要を背景とするファンダメンタルズは強いと見られています。
金融株では、3メガバンクや大手損害保険会社がそろって新高値を更新しました。日銀の利上げ期待や金利上昇が、銀行や保険会社の収益改善につながるとの見方が背景にあります。
今後は、Intel、信越化学、SCREEN、アドバンテスト、東京エレクトロンなどの決算に加え、FOMCと日銀金融政策決定会合が控えています。
株価が大きく下がった銘柄には、反発による利益を狙える可能性があります。しかし、単に「下げすぎたから」という理由だけで判断するのではなく、原油、為替、金利、業績、株主還元、需給など、株価を動かしている要因を丁寧に確認することが重要です。


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