自社株買いで株価が分かる3つの理由

自社株買いが発表されると、株価がどう動くかを予測することが可能です。

今回はその理由を3つに絞って解説していきます。

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目次

1. 需給の改善

自社株買いの最も基本的な効果の一つは、需給関係の改善です。

会社が自分の株を市場から買い戻すと、流通している株式の数が減ります。その結果、売り圧力が軽減され、株価が上がりやすくなるという仕組みです。

例えば、ある企業が100万株発行していたとして、自社株買いで10万株を買い戻した場合、実質的に市場に流れる株は90万株となります。

こうして株式の供給量が減ることで、需要が高まれば株価が上昇する可能性があるのです。

2. 自社の価値が「割安」であることを示すシグナル

自社株買いは、企業が自社の株価が割安だと判断していることを示すシグナルにもなります。

経営陣が「今の株価は会社の実力に見合っていない」と考えた場合、自社株買いを通じて市場にメッセージを送るのです。

例えば、過去にAppleが1兆円以上の自社株買いを行ったことがあります。

このとき、Appleは自社の成長を信じており、今後の株価上昇を期待していたと考えられます。このように、企業が自社株を買い戻すことで、市場に「自社の株はまだまだ上昇の余地がある」というシグナルを送る効果があるのです。

3. EPSの向上による株価上昇圧力

自社株買いの最も重要な効果の一つは、EPS(1株当たり利益)の向上です。EPSが上がると、投資家にとってその株がより魅力的に映り、株価上昇の圧力がかかります。

具体例として、ある企業が純利益を100億円、発行済株式数を1億株持っているとしましょう。EPSは、100億円 ÷ 1億株 = 100円となります。

ここで自社株買いを行い、株式数が9000万株になれば、EPSは100億円 ÷ 9000万株 = 約111円に上がります。このように、株数が減ることで1株当たりの利益が増加し、株価の上昇圧力が強まるのです。

よくある誤解:株式消却とEPSの関係

多くの人が、自社株買いを行った後に株式を消却しなければEPSは上がらないと誤解しています。

しかし、実際には株式消却を行わなくても、株価は上昇します。これは、発行済み株式数ではなく、平均株式数がEPSに影響を与えるためです。

つまり、自社株買いをしてもすぐに株式が消却されなくても、企業が市場に流通する株式数を減らせば、その分EPSは向上します。


まとめ

自社株買いは、需給の改善、割安シグナル、そしてEPSの向上という3つの主要な理由で株価にプラスの影響を与えることが期待されます。

初心者でも理解しやすいように、まずは自社株買いの基本を押さえ、次にその効果を具体的な例と数字で確認することが重要です。

企業の決算発表や株価動向を追う際には、自社株買いの発表がどのように株価に影響を与えるのかを注意深く見てみましょう。

知っておきたい専門用語集

  • 自社株買い:会社が自分の発行した株を市場から買い戻す行為。需給を改善し、株価上昇を促すことが多い。
  • EPS(1株当たり利益):企業の純利益を発行済株式数で割った値。EPSが高いほど、1株あたりの利益が高く、株価上昇圧力がかかる。
  • 発行済株式数:企業が発行した株式の総数。自社株買いをしても、株式の消却を行わない限り、この数は変わらない。
  • 株式消却:買い戻した株を市場から完全に削除すること。これにより、発行済株式数が減少し、EPSがさらに向上する。
  • 中間株式数(地中平均株式数):期間内の平均株式数を計算したもの。EPS計算時にこの数が用いられ、自社株買いの影響が反映される。
  • 需給:株式市場における需要と供給のバランス。自社株買いにより供給が減ると、需給が改善し、株価が上がりやすくなる。
  • 割安シグナル:企業が自社株買いを行うことで、自社の株価が市場価値に対して割安であることを示すメッセージを発すること。
  • 会計基準:企業が財務諸表を作成する際に従わなければならないルール。自社株買いによるEPSの計算方法もこの基準に基づいて行われる。
  • 上場企業:証券取引所に株式を公開している企業。自社株買いの実施やその影響は、このような企業に特有のもの。
  • 純利益:企業の総収益から全ての費用や税金を差し引いた後の利益。この数値がEPSの計算に使われる。
  • 配当金:企業が株主に還元する利益の一部。自社株買いにより、配当金を支払う対象の株式が減るため、会社の負担が軽減される。
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