国債・金利が動く→FXが動く。この理由を基礎から説明します

FXトレードをする際、多くの人が「ドル円が上がるか下がるか」だけを気にしていますが、それだけでは十分ではありません。

実は、金利の動きがFX市場全体に大きな影響を与えており、その関係性を理解することがトレード成功の鍵となります。

例えば、ドル円が上昇しているときに、米国の金利が同じように上がっているかどうかを確認するだけで、トレードの優位性が劇的に変わります。

今回は国債と金利、そしてFX市場に関する値動きについて解説した動画をご紹介します。

著:高橋洋一
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目次

国債とは何か?

まず、国債について簡単に説明します。

国債は、国家が発行する借金の証文のようなもので、投資家がその国にお金を貸し、見返りに利息を受け取る形になります。

例えば、アメリカの10年国債を100万円で購入すると、アメリカ政府に10年間お金を貸していることになり、その間に利息(例として4.163%)を受け取ります。

つまり、1年間で約41,630円の利息を得られるわけです。

金利が高いほど、投資家にとっては有利ですから、アメリカの国債に投資する動機となり、結果としてドルが買われ、ドル高が進むわけです。逆に、金利が下がれば、投資家はアメリカから資金を引き揚げ、ドルが売られやすくなります。


金利とFXの密接な関係

FX市場で取引する際、特に注目すべきはアメリカの金利です。

世界に流通する通貨の約45%が米ドルであり、これは世界の貿易や投資の中心にアメリカが位置しているからです。ドル円のトレードを行う際には、アメリカの長期金利の動きを必ず確認しましょう。

実際の例として、アメリカの10年国債の利回りが上昇すると、その国債は投資家にとって魅力的なものとなり、ドルが買われてドル円が上昇しやすくなります。

アメリカの金利が高くなると、必然的にドル高となり、逆に金利が下がるとドル安となります。


トレーディングビューを活用しよう

FXトレーダーにとっては、アメリカの金利の動きを追跡することが非常に重要です。例えば、無料で使えるトレーディングビューというツールを使えば、簡単に「US10Y」(アメリカの10年国債利回り)や「US02Y」(アメリカの2年国債利回り)のチャートを確認できます。

初心者の方は、ドル円のチャートを見るだけではなく、必ずこれらの金利チャートをウォッチリストに追加し、金利が上昇しているかどうかを確認する習慣をつけることが成功のカギです。


金利の上昇とドル高の関係

アメリカの金利が上昇しているときには、基本的にドル高が進み、株価は下がりやすくなります。

これは、企業が借入を行う際に返済する利息が増えるため、業績が圧迫されるからです。逆に金利が下がっている時は、ドル安が進み、株価は上昇しやすくなります。

重要なのは、金利が上昇する時の市場の反応を予測し、それに基づいてトレードを行うことです。


金利と通貨の動きが連動しないケース

ただし、金利と通貨が必ずしも連動しないケースもあります。

例えば、リスクオフの状態が発生した時には、投資家が安全資産であるアメリカの国債を買い、それによりドル高が進むことがあります。これを「質への逃避」と言います。

リスクが高いと感じたとき、投資家は株ではなく、国債やドルに資金をシフトさせる傾向が強くなります。

また、もう一つの例として「トリプル安」と呼ばれる現象があります。

これは、国の信用が失墜したときに起こり、株、国債、通貨のすべてが同時に売られる状況を指します。この場合、金利が上昇していても、通貨は売られてしまいます。


金利とFXを理解するための鍵

初心者の方にとっては、金利の動きと通貨の関係を理解することが難しいかもしれませんが、これをしっかりと把握することがトレード成功の大きなステップとなります。

アメリカの金利が上昇しているときはドル高、逆に金利が下がっているときはドル安になるという基本を押さえ、トレードに役立ててください。

また、FX市場ではドルが主人公であり、他の通貨との比較においても、アメリカの金利とドルの動きが最も重要です。これを頭に入れて、FXトレードに挑んでいきましょう。


最後に

今回の記事では、金利とFXの関係性について説明しましたが、これを理解することで、FX市場でのトレードに大きな優位性を持つことができます。

ドル円が上がっているときに、金利も連動しているかどうかを確認することが重要です。金利の動きを確認し、FX市場での成功を目指しましょう。


知っておきたい専門用語集


  • 国債:国が発行する借金証文。投資家が国にお金を貸し、その見返りとして利息を受け取る。
  • 利回り:投資額に対する年間利息の割合。例えば、100万円の国債に対して利回りが4%なら、年間で4万円の利息を受け取る。
  • 長期金利:10年国債など、長期間の借入に対する利率。FX市場では特に注目され、通貨価値と連動しやすい。
  • ドル高:ドルの価値が上昇すること。他の通貨に対してドルが強くなり、円安ドル高などの現象が起こる。
  • ドル安:ドルの価値が下落すること。他の通貨に対してドルが弱くなる。
  • 金利上昇:国が支払う利息が上がること。投資家にとって国債が魅力的になり、通貨価値が上がる要因となる。
  • 金利低下:国が支払う利息が下がること。投資家は他の投資先を求め、通貨価値が下がる。
  • 質への逃避:リスク回避のため、安全資産(アメリカの国債など)に投資資金が流れること。経済不安定時に多く見られる。
  • リスクオフ:リスクを避け、安全な資産(国債など)に資金が流れる状態。市場全体のリスク感覚が高まっている時に発生。
  • トリプル安:株、国債、通貨のすべてが同時に売られる現象。国の信用が大きく失われた時に起こる。
  • 基軸通貨:世界の貿易や金融取引で主要に使用される通貨。ドルが世界の基軸通貨であり、多くの国際取引はドルで行われる。
  • FRB(連邦準備制度理事会):アメリカの中央銀行。利上げや利下げを通じて、アメリカの金利を決定する。
  • 利上げ:FRBが金利を引き上げること。これによりドル高が進みやすくなる。
  • 利下げ:FRBが金利を引き下げること。これによりドル安が進みやすくなる。
  • ファンダメンタルズ:経済指標や雇用統計、インフレ率など、経済の基礎的なデータや状況。FX市場ではテクニカル分析と並んで重要視される。
  • テクニカル分析:過去のチャートや価格の動きを基に、今後の価格変動を予測する手法。
  • 相関係数:二つの変数がどれだけ連動しているかを示す数値。1に近いほど強く連動していることを意味する。
  • US10Y:アメリカの10年国債の利回りを表す指標。
  • US02Y:アメリカの2年国債の利回りを表す指標。
  • FOMC:アメリカの金融政策を決定する会議。ここでの決定が金利や市場に大きな影響を与える。
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