SBI証券と楽天証券が提供する米国高配当株式ファンド「SCHD」を巡る戦いが、今注目を集めています。この記事では、このファンドの特徴や違いをわかりやすく解説し、それぞれの選択がどのような投資効果をもたらすかについて具体的な例やデータをもとに深掘りしていきます。
1. SCHDとは?どんなファンド?
SCHDは、米国の高配当株を中心に構成されたETF「Schwab U.S. Dividend Equity ETF」を投資対象としたファンドです。
このETFは、特に安定した配当を出す企業や財務基盤の強固な企業に焦点を当てており、保守的な投資家に人気があります。
- 配当利回り: 約3%
- 構成銘柄数: 約100社
- ベンチマーク指数: ダウ・ジョーンズU.S.配当株100指数
- 特徴: 時価総額加重型ながら、1銘柄の投資比率が4%を上限に制限され、セクターごとの上限も25%と分散投資を重視。
楽天とSBIのファンドがこれを投資信託として提供し、日本の個人投資家でも少額で手軽に購入できるようになりました。
2. 楽天とSBIの競争:費用と資産規模の違い
楽天証券が提供するSCHDは、わずか1か月で500億円以上の資金を集める大ヒットとなり、現在では800億円を超える規模に成長しています。一方、SBI証券は2023年12月にSCHDを基にした投資信託を新たに発表し、初日だけで150億円を集める快挙を成し遂げました。
- 信託報酬(コスト):
- SBI: 0.1238%(楽天より低い)
- 楽天: わずかに高め
この低コストのSBIファンドが、楽天の独占的な地位に挑戦している形です。
3. S&P 500との比較:トータルリターンと配当の違い
SCHDはS&P 500とトータルリターンで肉薄するパフォーマンスを誇ります。
- 過去のトータルリターン比較(円建て、13年間のデータ):
- SCHDとS&P 500はほぼ同等。ただし、2022年以前はSCHDがリードしていた時期も。
- 直近ではS&P 500がハイテク株の伸びでリード。
- 分配利回り:
- SCHD: 約3%を安定的に提供。
- S&P 500: 分配率は低く、成長株への再投資を重視。
4. 暴落への耐性:ドローダウン比較
暴落時の最大下落率(ドローダウン)を比較すると、SCHDとS&P 500に大きな差はありません。
- コロナショック時(2020年):
- SCHDとS&P 500ともに同程度の下落。
- 直近の銀行業界の危機(2023年):
- SCHDがやや大きく下落。
5. SCHDと他の資産の相性:リスク分散効果
SCHDを他の資産と組み合わせることでリスクを分散する効果が期待されます。
- 相性が良い資産(相関係数が低いほどリスク分散効果が高い):
- 米国長期債(TLT)
- ゴールド(金)
一方で、同じ株式でもNASDAQ 100やTOPIXは相関が高く、分散効果が限定的です。
6. 配当の再投資と税金の考え方
SCHDは配当金を定期的に分配しますが、これを「受け取る」か「再投資する」かで税金の影響が異なります。
- NISA口座: 配当金の再投資でNISA枠を消費するため、無分配型の投資信託が有利。
- 特定口座: 分配金ありの投資信託は外国税控除が適用されるため、一定のメリットあり。
7. 初心者におすすめの選び方
以下のような基準で選ぶと良いでしょう。
- インカムゲイン重視: 配当金を安定的に受け取りたい場合はSCHDが適している。
- トータルリターン重視: S&P 500や無分配型のインデックスファンドが良い選択肢。
- NISA活用重視: 分配金が出ないファンドを選ぶ方が効率的。
8. 結論:細かいことを気にしない選択が大切
SCHDは、配当利回りを重視したい投資家にとって魅力的な選択肢です。一方で、トータルリターンを重視する場合は、他の選択肢も検討する価値があります。重要なのは、投資の目的に応じて適切な商品を選び、長期的な視点で資産形成を行うことです。
最後に一言
選択肢が増えたことで、私たち個人投資家にとって有利な環境が整っています。楽天とSBI、どちらのファンドを選んでも、大きな後悔は少ないでしょう。分かりやすい基準で選び、長期的に運用していくことが成功のカギです。
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