厚生年金保険料が引き上げられるというニュースが話題になっています。
特に、年収798万円以上の会社員が対象となり、年間約11万円の負担増となる見込みです。しかし、将来もらえる年金は実際どれくらい増えるのか?また、会社負担はどうなるのか?
この記事では、厚生年金保険料の増額の背景や影響について、初心者でも理解しやすいように具体例や数字を交えながら詳しく解説していきます。
1. 厚生年金保険料引き上げの背景
年金財政の問題
厚生年金の保険料が引き上げられる最大の理由は、日本の年金財政が厳しい状況にあるからです。
現在、日本の年金制度は 「賦課方式」 を採用しています。
これは 現役世代が支払う保険料を、そのまま現在の年金受給者に支給する仕組み です。しかし、高齢化が進む日本では 現役世代の人口が減少 し、年金財政が将来的に破綻するリスクが高まっています。
現在の年金財政の状況
具体的な数値を見てみましょう。
- 2022年の年金財政
- 国庫負担:13兆円
- 現役世代の保険料収入:41兆円
- 年金給付総額:53兆円
- 積立金:250兆円(うち150兆円は運用益)
現在のところ、年金財政は 黒字 であり、積立金も増えています。しかし、これは 社会保険料を引き上げ続けてきた結果 であり、国民の負担が増え続けているのが現実です。
2. 高所得者への負担増加の仕組み
標準報酬月額の上限引き上げ
これまで厚生年金の保険料は 月収65万円を上限 として計算されていました。しかし、今後 上限が75万円まで引き上げ られる見込みです。
現在の保険料負担(月収65万円)
- 労働者負担:約51,947円
- 会社負担:約51,947円
- 合計負担:103,894円
新しい保険料負担(月収75万円)
- 労働者負担:約61,862円
- 会社負担:約61,862円
- 合計負担:123,724円
年間の負担増加額
- 労働者負担:+109,800円
- 会社負担:+109,800円
- 合計負担増:約22万円
つまり、高所得者(特に年収800万円以上)の会社員は 年間約11万円 の負担増となり、会社も同額の負担を強いられることになります。
3. 将来もらえる年金額は増える?
「保険料が増えるなら、将来の年金額も増えるのでは?」と思うかもしれません。
確かに、標準報酬月額が10万円上がると、年金額も増えます。計算すると、
- 年金増額:年間6,577円(月額約548円)
しかし、この増加分を考慮しても、元を取るには約16.7年(82歳まで生存) する必要があります。
また、会社負担分を含めると 33.4年(99歳まで生存) しなければ元を取れません。
4. 会社と中小企業への影響
会社の負担増も無視できません。
特に 中小企業 にとっては、年収800万円以上の社員が複数いる場合、 会社全体で数十万円〜数百万円の負担増 となる可能性があります。
これにより、
- 賃上げの抑制
- ボーナス削減
- 人員削減
- 福利厚生の見直し
などの影響が出る可能性があります。
5. 国民の反応と炎上騒動
最近、社会保障審議会の委員 たかまつなな氏 が「保険料が増えるけど、将来もらえる年金も増えるから問題ない」と発言し、炎上しました。
しかし、前述の通り 負担増に対して年金の増加額が少なすぎる ため、多くの人が納得できない状況です。
さらに、年収800万円の会社員は 手取りでは500万円台 になり、「高所得者」と言えるのかどうかも議論になっています。
6. まとめ:今後どうすべきか?
- 厚生年金の保険料が引き上げられるのは、年金財政の不安定さが理由。
- 年収798万円以上の会社員は、年間約11万円の負担増となる。
- 会社負担も同額増えるため、中小企業にも影響が大きい。
- 将来もらえる年金は増えるが、元を取るには82歳まで生きる必要がある。
- 厚生年金が所得再分配の役割を果たしているが、これは本来税金の役割では?
今回の厚生年金の改正について、皆さんはどう思いますか?
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