2024年3月の米国株市場は大きな調整局面を迎えました。主要3指数(ダウ平均、S&P500、ナスダック)は上昇し、一部では「調整は終わった」との楽観的な見方もあります。しかし、果たして本当にそうなのでしょうか?
本記事では、
- 2024年3月の株価動向とその背景
- 歴史的データをもとにした相場予測
- 注目すべき「弱気シグナル」と今後の投資戦略
について詳しく解説していきます。
1. 2024年3月の株価動向とその背景
株価の動き
2024年3月の最終週、米国市場では次のような動きがありました。
- ダウ平均:+1.2%(41,985ドル)
- S&P500:+0.5%(5,667ポイント)
- ナスダック:+0.2%(17,784ポイント)
この週の上昇により、
- ダウ平均は3週間ぶり
- S&P500とナスダックは5週間ぶり
の反発を見せ、市場の一部では「調整は終わった」との見方が広がっています。
しかし、本当にこのまま上昇トレンドに戻るのでしょうか?
調整局面の背景
S&P500は3月13日時点で5,521.52ポイントまで下落し、これは2月19日に記録した最高値(6,147.43ポイント)から10.2%の下落となります。
この10%下落は「調整局面入り」を意味し、23年10月以来、約1年半ぶりの出来事です。
- 2023年10月の調整時:10%下落までに3ヶ月かかった
- 2024年3月の調整時:10%下落までに3週間半しかかからなかった
このように、今回の調整は過去と比べて急速に進行しました。
2. 歴史的データをもとにした相場予測
調整局面後の株価の動き
1929年以降、S&P500は合計56回の調整局面を迎えました。
- そのうち22回(39%)は弱気相場(20%以上の下落)に移行
- 残り34回(61%)は再び上昇に転じた
つまり、過去のデータから見ると、6割の確率で相場は持ち直す可能性が高いと考えられます。
また、2010年以降では9回の調整局面が発生し、調整後の12ヶ月間でS&P500は平均+18%のリターンを記録しています。
このデータだけを見ると、「押し目買いのチャンス」とも捉えられますが、注意すべき点があります。
2024年の状況は過去と違う?
2010年以降の株価上昇は、
- 低金利政策
- 量的緩和(QE)
- AIブーム
などが支えていました。しかし、
- FRBの金利政策がタカ派に転じている
- AIブームがピークアウトしている可能性がある
ことを考えると、過去のデータと同じように楽観視するのは危険かもしれません。
3. 注目すべき「弱気シグナル」と今後の投資戦略
① AIブームの終焉? NVIDIAのデッドクロス
これまでAIブームを牽引してきたNVIDIA(NVDA)の株価に注目すると、
- 2025年1月の高値:153.13ドル
- 3月時点の株価:117.70ドル
23.1%の急落を記録し、すでに「弱気相場入り」しています。
さらに、**短期移動平均線が長期移動平均線を下抜ける「デッドクロス」**が発生。
- デッドクロスはトレンド転換のサインであり、さらなる下落の可能性を示唆
- AIブームの主役であるNVIDIAの下落が、米国株全体の弱気トレンドを強める
② 金融政策の不確実性
- トランプ氏の再選可能性 → 政策の不透明感が増す
- GDP成長率の急減速 → 2月末時点では+2%成長予想 → 3月には-1.5%に下方修正
- 消費者信頼感指数の低下 → 12月から3月の間に16.1ポイント低下
これらの指標は、米国経済の先行きに不安を抱かせる要因となっています。
③ 投資戦略の見直し
米国株は慎重に、他の市場に注目
- 米国株:慎重姿勢が必要 → S&P500やNASDAQの動向を慎重にチェック
- 欧州株・新興国株:上昇の可能性 → トランプ政権の政策不確実性から、資金が他国市場へ流れる可能性
- 金(ゴールド):安全資産としての魅力 → 景気後退局面ではゴールドが買われる傾向
特に、インド株は期待が持てる市場の一つです。
- **インド株ETF(EPI)**は2024年3月に21.6%の急落を記録。
- しかし、世界の投資資金が「米国→新興国」に流れることで、インド株は再び上昇する可能性あり。
まとめ
- 3月の米国株の調整局面は終わったのか? → まだ下落の可能性あり
- 過去のデータでは調整後の反発が多いが、現在の市場環境は過去と異なる
- NVIDIAのデッドクロスはAIブーム終焉の兆候?
- 米国経済は景気後退のリスクが高まっている
- 投資戦略として米国株は慎重に、欧州株・新興国株・ゴールドに分散投資を検討
米国株の未来は不透明ですが、慎重な投資戦略をとることでリスクを回避しつつ利益を狙うことができます。
今後の市場動向をしっかり見極めながら、適切な投資判断をしていきましょう!
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