※本記事はYouTube動画「なぜアメリカ経済はほぼ限界なのか?【クレカ借金過去最大】」の内容を基に構成しています。
結論:アメリカ経済は「借金消費」に支えられており、その限界が見え始めている
アメリカ経済は、長らく個人消費に支えられてきました。しかしその裏側では、クレジットカードの債務が過去最大の1兆2110億ドル(約180兆円)にまで膨れ上がっています。
しかもこの債務の多くは、高金利のリボ払いによる借金です。インフレ、金利上昇、社会保障の不備が重なった結果、特に低所得者層は生活費をカードに頼らざるを得ない状況に陥っており、アメリカ経済の限界が浮き彫りになってきました。
アメリカ人がクレジットカードに頼る5つの理由
1. 消費文化と国民性
アメリカでは「今を楽しむ」価値観が強く、将来のための貯金よりも、今欲しいものをクレジットカードで買うというライフスタイルが浸透しています。
調査によると、3人に1人以上が旅行のために借金しても構わないと答えており、特に若者層にその傾向が強く見られます。
2. 信用スコアとクレジットヒストリーの存在
アメリカでは、クレジットカードを使って返済を重ねること自体が信用を築く手段になっています。信用スコアが高ければローンの金利が下がり、就職や住宅賃貸でも有利になります。
3. リボ払いが標準
アメリカではリボ払い(分割リボルビング払い)が標準です。月々の支払額は一定ですが、繰り越された残高には年利20%超の高金利がかかります。
特に信用スコアの低い人ほど金利が高くなるという構造的な格差があります。
4. 医療費・学費の高さ
アメリカは公的保険が乏しく、医療費が非常に高額です。風邪で病院に行くだけでも10万円以上かかる場合もあり、カードで払うのが一般的です。
また、学費の高さも深刻で、学生ローン残高は1兆700億ドルに達しています。これはクレジットカードよりも多い額です。
5. SNS時代の「フォーモ(FOMO)」
若者の間では「取り残される不安(FOMO)」から見栄消費が増加しています。他人の投稿に影響され、収入に見合わない買い物をカードで行う傾向があります。
経済環境が変化し、借金返済が困難に
インフレ率と金利の上昇
2022年には消費者物価指数が一時9%超となり、現在も3%前後と高止まり。これに対応するため、政策金利が引き上げられたことで、クレジットカードの平均金利は21%を超える高水準に。
金利が上がれば、リボ払いの利息も重くのしかかります。
コロナ禍からの急反動
コロナ禍で給付金が支給され、家計の余剰貯蓄は一時2兆ドルを超えました。しかしその貯蓄は2024年には完全に消失。その後、生活費をカードで賄う家庭が急増しました。
企業や金融機関にも影響拡大
貸倒れリスクの増大
クレジットカードの債務不履行が増え、2024年の貸倒れ償却率は4.6%に達し、リーマンショック後の2011年以来の高水準。2025年には5%超に達する予想もあります。
金融機関が不良債権を抱える構図は、2008年のサブプライム危機の再来を彷彿とさせます。
アメリカ経済の2極化と限界
富裕層は金利の低いカードを使い、負債を管理できる一方で、低所得者層は高金利のカードで借金に苦しむ。この経済格差が、アメリカ社会の構造的問題をさらに深刻化させています。
アメリカ経済は「消費」で支えられてきましたが、その実態は「借金による消費」です。その借金が限界に達しつつあることで、アメリカ経済の土台が揺らいでいるという指摘も出ています。
政府の対策と今後のリスク
金利規制の議論も
2023年、共和党はクレジットカード金利を18%に上限設定する法案を提出。また、トランプ氏は選挙公約で一時的に10%に引き下げると表明しましたが、いずれも現時点では未実現。
トランプ政権の関税政策の影響
国内産業保護を目的に輸入品に関税をかける政策が再開されると、日用品や食品の価格上昇が避けられず、特にカード債務を抱える層への負担が増大するリスクがあります。
世界経済への影響も無視できません。貿易の縮小が、世界的な経済減速を招く可能性もあるのです。
まとめ:アメリカ経済の「借金消費モデル」は限界に達しつつある
アメリカのクレジットカード債務は過去最大の1.2兆ドルを突破し、その背景には文化、構造、経済状況すべてが関係しています。
項目 | 内容 |
---|---|
クレジットカード債務残高 | 約1.21兆ドル(2024年末) |
平均金利 | 年利21%以上(2024年) |
学生ローン残高 | 約1.07兆ドル |
貸倒れ償却率 | 4.6%(2024年)、5%予測(2025年) |
インフレ率(ピーク) | 一時9%(2022年) |
このままでは個人の破綻→銀行の不良債権→経済危機という悪循環が現実となる可能性も否定できません。
特に低所得層や若年層に対する支援策や、借金体質を改善する金融教育の普及が求められています。アメリカ経済の限界は、私たちが思っている以上に深刻なのかもしれません。
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