【2025年5月最新】FOMC後の米経済と「スタグフレーション」リスクに要注意

※本記事はYouTube動画「スタグフレーションリスクに言及(5月8日)」をもとに執筆しています。


結論:FRBは様子見姿勢を継続、しかしスタグフレーションの可能性が現実味を帯びてきた

2025年5月上旬に行われた米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合では、利下げも利上げも行われず「データ待ち」のスタンスが明確に示されました。しかし、その裏側で市場関係者の間に広がっているのが「スタグフレーション(景気後退×インフレ)」のリスクです。

本記事では、FOMC後に発表された重要発言と最新マーケットの動きをもとに、今後の経済見通しと投資家が警戒すべきポイントを解説します。


目次

FOMC後のパウエル発言:利下げ示唆なし、スタグフレーション懸念が浮上

FOMCの結果として注目されたのは、以下のポイントです:

  • 利下げの示唆なし:FRBは経済指標を見極めるため「待つことが最善」と判断。
  • スタグフレーション懸念
    • 失業率の上昇インフレ継続という相反する2つの悪材料のリスクが並行して高まっている。
    • 高関税政策が続けば「インフレ上昇+経済成長鈍化+失業率増加」のトリプル悪影響となる可能性。

この組み合わせがまさにスタグフレーションの典型であり、今後の政策判断が極めて難しくなることを意味しています。


インフレ目標達成の見通しが1年後ろ倒しに

FOMCで共有されたインフレ見通しも注目されました。

  • 3月時点の予測ではPCE(個人消費支出)インフレ率が2027年に2.0%へ戻るとの見通しでしたが、今回の発言では2028年にずれ込む可能性が示唆されました。
  • これにより、今後発表されるドットチャート(政策金利予測)も上方修正される可能性が高いと考えられています。

トランプ前大統領と関税政策:FRBの独立性は堅持

トランプ前大統領は再びFRBに対して利下げを要求していますが、パウエル議長は次のように明言:

  • 「いかなる大統領にも会議を求めたことはなく、今後もその予定はない」
  • 「FRBは議会や大統領の助言を必要としない」

また、高関税政策を交渉材料とする意思がトランプ陣営にあることが示され、インフレ圧力の長期化が懸念される展開になりつつあります。


マーケットの反応と注目の経済指標

株式市場と債券

  • ナスダック指数:FOMC直後に一時下落も、パウエル発言以降に回復。終値は+0.36%
  • S&P500:+0.4%
  • 米10年債利回り:わずかに低下(-0.45%)
  • ビットコイン・ゴールド・原油:ビットコイン横ばい、ゴールド-1.5%、原油-1.8%

為替と恐怖指数

  • ドル円:143.86円(+1%)
  • VIX指数:23.55(やや下落)

世界経済の火種:米中・米欧間の関税と報復合戦の兆し

米中関係

  • トランプ氏は「関税を下げてから交渉に入ることはしない」と明言。
  • 財務長官・通商代表がスイスで中国と貿易協議予定、進展が期待されるも不透明。

米欧関係

  • 米国の関税引き上げに対し、EUがボーイング機や自動車への報復関税を検討
  • 特にEUの輸出超過が物品に偏るため、米国からのサービス輸出とバランスを取りたい思惑がある。

このような動きが激化すれば、世界的な貿易摩擦→景気鈍化→スタグフレーションという負の連鎖が懸念されます。


テック株・個別銘柄の動向

  • Google:AppleがSafariの検索エンジンをAI特化型に切り替え検討→-7.5%
  • Apple:-1.15%
  • Disney:決算良好→上昇
  • AMD:売上高見通し上方修正→上昇
  • クラウドストライク:5%の人員削減→株価下落
  • Netflix:映画への100%関税報道から一時下落も+1.57%回復
  • NVIDIA:トランプ政権によるチップ輸出規制撤廃観測で上昇

今後の注目ポイント

  • 利下げの可能性:次回FOMC(6月18日)での利下げ確率は76.8%が「無し」と予想。
  • 残る注目イベント
    • 中国との通商協議の行方
    • NDIAの決算
    • EUの報復関税の有無

まとめ:経済は強いが、スタグフレーションリスクを軽視できない状況

今回のFOMCを通じて、以下のようなメッセージが市場に伝わりました:

  • FRBは今は動かない。あくまでデータを待つ
  • 失業とインフレが同時に悪化するスタグフレーションの可能性も視野に

短期的には政策変更はなさそうですが、インフレが想定よりも長引けば、市場にとってはサプライズになる可能性があります。今後も雇用・物価指標の動向と国際関係の進展に注目していく必要があります。

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