※この記事は、YouTube動画「米中追加関税115%引き下げで合意。貿易戦争はここからが本番。鍵は造船業か。」を基に構成しています。
結論:関税引き下げは「終戦」ではない、むしろ「本番の幕開け」
アメリカと中国がそれぞれ最大115%の追加関税を“90日間停止”という形で取り下げました。しかしこれは決して終戦ではありません。動画内でも強調されていたように、これはむしろ本番の経済戦争の前段階、「序章」に過ぎないという位置づけです。
実際に今回の関税取り下げの背景には、単なる外交的なパフォーマンス以上の深い意図が存在しています。キーワードは「造船業」「原材料」「覇権争い」です。
今回の関税引き下げの内容まとめ
項目 | アメリカ | 中国 |
---|---|---|
最大課税率 | 145% → 30%(115%取り下げ) | 125% → 10%(115%取り下げ) |
停止期間 | 90日間 | 90日間 |
残存関税 | 10%(重要品目) | 10%(報復性) |
焦点 | フェンタニル原料など | レアアースや軍需鉱物 |
この関税戦争の“急ブレーキ”には、国内外へのデモンストレーション的要素も多く、アメリカ・中国ともに「自国の正当性」を演出する要素が強く感じられます。
アメリカの真の狙いは「造船業と原材料供給ルートの再構築」
動画では非常に具体的な指摘がありました。米中貿易戦争の焦点がこれから「造船業」に移るという点です。
中国の造船業シェア(2024年時点)
- 中国:54%
- 韓国:28%
- 日本:13%
- アメリカ:0.1%
かつて世界一だったアメリカの造船業は、1980年代のレーガン政権による補助金撤廃を契機に壊滅的打撃を受け、現在は4箇所程度の主要造船所を残すのみ。
それに対し、中国は国策として膨大な補助金を投じて造船業を支援し、世界の過半数以上のシェアを握るまでに成長しています。
トランプ政権の復活構想:ワシントンに「造船局」設置
2024年3月、トランプ氏はホワイトハウス内に「造船局」を設置する方針を演説で明言。これは米国内製造業の復活の象徴的布石であり、実際には「日本・韓国との協調による対中包囲網」の布石とも言えます。
- アメリカ単独では再起不能
- 日韓の造船力を活かして中国に対抗
- 軍艦建造・整備を日韓の造船所に依頼拡大中
プラスチック戦争:米中の供給依存とエタンの支配
もう一つの注目ポイントは石油化学製品の原材料「エタン」。
- 中国のプラスチック工場はほぼ全量をアメリカからエタン輸入
- 関税導入前:1tあたり100ドルの利益
- 関税導入後:1tあたり184ドルの赤字(2024年4月データ)
この状況から、中国国内のプラスチック工場は創業停止の危機に追い込まれています。
中国の“デューティーフリー戦略”:実は抜け道だらけだった関税政策
表向きには最大125%の報復関税を課していた中国ですが、実際には医薬品・半導体・プラスチック原料などをデューティーフリー(無税)で輸入させていました。
これは、中国が表向きの強硬姿勢を取りつつも、自国の産業を守るためにアメリカからの供給を裏では温存していたことを示しています。
日本の立ち位置と「ゆっくりと急げ」の外交姿勢
赤澤経済再生担当大臣の「ゆっくりと急げ」という発言が、今まさに日本の立場を象徴しています。
- アメリカに媚びすぎれば足元を見られる
- 中国のように突っぱねることも不可能
- 同盟国として協力しつつも冷静に情勢を見る必要
日本は既にアメリカ海軍の軍艦の整備・修理・オーバーホールを請け負っており、この役割は今後さらに拡大していくと考えられています。
歴史的文脈:ニクソンショックと製造業の衰退
今回の動画では1971年のニクソン・ショックや、1980年代のレーガン政権が取り上げられ、アメリカ製造業が衰退した長期的経緯が整理されています。
- 金本位制を放棄 → ドルを無制限に発行
- 製造業から金融資本主義へシフト
- エンジニアが工場からウォール街へ流出
結果的にアメリカは自国の製造を失い、ドル発行と消費によるバランスで世界経済を支配する構図となりました。
最後に:これは終わりではなく、始まりである
この「115%関税の取り下げ」は米中経済戦争の終息を意味するのではなく、「真の戦いの始まり」を示しています。
特に注目すべきは:
- 米中の覇権争いは長期化・深化する
- 鍵は「造船業」や「石油化学原料」などのインフラに移行
- 日本は日韓連携で米国とともに中国の支配構造に対抗
世界は今、新たな冷戦構造の序章に差し掛かっています。これからの90日間、そしてそれ以降の米中競技は、経済・軍事・インフラすべてを巻き込む総力戦へと発展していくことでしょう。
以上、動画「米中追加関税115%引き下げで合意。貿易戦争はここからが本番。鍵は造船業か。」をもとにしたブログ記事でした。情勢の変化を見逃さず、日本としてもしたたかに立ち回ることが今後の鍵となります。
コメント