※本記事はYouTube動画「【米国経済】まだ終わらない米国売り!新たな米国売りの動きを解説!」の内容をもとに作成しています。
結論:米中関税緩和でも「米国売り」は止まらない。今度はリベラル派が主導している
2024年5月12日、米中両国が関税を115%引き下げることで合意し、市場には一時的に楽観ムードが広がりました。米株も上昇し、ドルも買い戻されています。
しかし、マーケットの水面下では依然として「米国資産からの資金逃避=米国売り」が進行中です。
特に注目すべきは、これまで米国に積極的だった欧州や日本のリベラル系機関投資家が「米国資産離れ」に傾き始めているという点です。
富裕層やファミリーオフィスの「米国離れ」が加速
■ 具体例:UBSの発言
ブルームバーグによると、欧州最大級のプライベートバンク(おそらくUBS)の幹部が、
中国系富裕層による米国資産の売却が過去30年で最大規模
と発言しています。
■ ファミリーオフィスとは?
個人資産数百億〜数千億円規模を運用する組織で、その資産はアジア地域に流入しているとされます。
■ 日本への流入も顕著
2024年4月、財務省が発表したデータによると、外国人投資家は日本の証券(株・債券)を約8.2兆円購入しており、日本を含むアジアへの資金シフトが明確になっています。
なぜリベラル派が米国から離れ始めたのか?
■ バイデン政権時代:
ESG投資を推進するリベラル派は、米国を「民主主義の要」として重視しており、米国資産を保有し続けるスタンスが強かった。
■ ところがトランプ政権に変わってから…
- 保護主義的な関税政策
- 外交・金融政策の不安定化
- 政治的なポピュリズムの再燃
これらに嫌気を示し、「トランプ政権下のアメリカには投資しづらい」という機運がリベラル派を中心に高まっているのです。
欧州・日本の投資家も“米国資産を減らす”方向へ
筆者が話を聞いた機関投資家の中でも、
- 米国資産を縮小しアジアや他地域へ分散
- 投資判断に政治的安定性を重視する傾向が顕著に
という声が増加しています。
■ 日本の動きも顕著
4月以降、日本の機関投資家の間でも「トランプ政権がわけのわからない政策をするから投資判断が難しくなった」との声が多く聞かれるようになっています。
今後どうなる?米国資産の行方
■ すぐに「アメリカ売り」が加速するわけではない
米国の経済規模や流動性、基軸通貨としての地位を超える代替先は現時点では存在しないため、「急激な米国離れ」は起きづらいと筆者は分析しています。
■ ただし「ゆるやかな分散投資」の流れは止まらない
今後は以下のようなトレンドが続く可能性があります:
投資家タイプ | 過去のスタンス | 今後の変化 |
---|---|---|
中国系富裕層(ファミリーオフィス) | 米国資産中心 | アジア地域へシフト |
欧州リベラル機関投資家 | ESG重視で米国資産重視 | トランプ再登場で投資控え |
日本の機関投資家 | 米国債・米株重視 | 他地域への分散志向強まる |
投資家は何を見て動くべきか?
- 政治リスクへの感度を高める
トランプ政権の再登場が、米国市場に与える影響を冷静に分析する必要があります。 - 資産分散を検討する
米国株一辺倒ではなく、アジアや欧州など複数の地域にリスク分散する動きが拡大しています。 - 投資家の属性(リベラルか保守か)による資産選好の違い
政策や価値観が投資行動に大きな影響を与える時代になっています。
まとめ:米国売りの「新しい主役」は西側リベラル投資家だった
今まで「米国離れ」といえば、中国や新興国、いわゆるブリックス諸国が中心と見られていましたが、今は欧米や日本の“リベラル投資家”がその動きを主導し始めています。
米国は依然として魅力的な市場ですが、「投資環境の不安定化」が長期的な資産選択に影を落とし始めているのは確かです。
投資家に求められるのは、「数字」だけでなく「政治的・社会的環境」に対する洞察力。2024年後半以降の世界経済を見るうえで、この動きは見逃せません。
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