この記事は、YouTube動画「【木野内栄治×大川智宏×柴田阿弥】日本株の長期上昇シナリオ/株価は7月に大幅下落し、来年に復活?」をもとに作成しています。
結論:2024年7月にピークアウト、その後は調整へ。だが中長期では大きな上昇トレンドも
大和証券の木野内栄治氏と、地見オスカーグループの大川智宏氏は、日本株は7月に一時的なピークを迎え、その後調整が入るが、中長期的には大きな成長が見込まれると指摘しています。
その背景には、
- 世界的なインフレの長期化
- 社会インフラの再構築
- 研究開発投資の活発化
- 日本固有のインフレとの親和性
といった構造的要因があります。
目次
1. 短期展望:7月にピークを迎える可能性が高い
理由1:市場の加熱感
- 登録レシオが140%超えと、極めて高水準
- トピックスやNYダウが8連騰〜10連騰しており、過去のパターンから見ても天井が近い
- 7月上旬は例年株価がピークを迎えやすい時期(例:2023年は7月3日が高値)
理由2:米中通商合意の“材料出尽くし”
- 米中関税の90日間停止は7月8日が期限
- 合意に至った後は「材料出尽くし」で株価は反落しやすい
- 同様のパターンがイギリスや中国株にも見られた
2. 中期展望:景気刺激策が相場を支える可能性
木野内氏は、トランプの強硬姿勢がマーケットを不安定にさせる一方で、それが逆に金融・財政政策を呼び起こすことで、株価が支えられると見ています。
過去の例としては:
- 2018年:米中貿易戦争 → G20で政策協調 → 株価回復
- 2015年:中国人民元ショック → 各国中央銀行が協調対応 → 株価回復
つまり、「トランプリスク」を逆手に取って各国の景気対策に期待する流れが見込まれています。
3. 長期展望:構造的インフレが日本株の追い風に
コンドラチェフの波(約50年の景気循環)
- 物価と金利には約50年周期の波がある
- インフレ期は20〜30年続く傾向があり、現在はその始まり
- 過去の例では、インフレ期に株価は300倍〜400倍に上昇したこともある
日本株は“インフレ体質”に強い
- 欧米の株はインフレに弱く停滞しやすい
- 一方、日本はデフレ体質であるため適度なインフレが成長を促す
- インフレは研究開発投資(R&D)を促進し、生産性向上=イノベーションにつながる
この点から見ても、日本株はインフレ時代にこそ輝く可能性があるというのが木野内氏の主張です。
4. インフレの源は“社会インフラの老朽化”
例:電力インフラや橋梁の更新
- 高度経済成長期に整備された鉄筋コンクリート構造物が50年を経て劣化
- 例:電力鉄塔、首都高、下水道などが更新時期を迎えている
- 電力会社は今後5年間で7兆円の更新投資を予定
このように「社会の老朽化」がインフレの根源にあり、金融政策だけで解決できない構造的インフレとなっています。
5. インフレがイノベーションを生むメカニズム
木野内氏の示した図では、
- 物不足 → R&D投資増加 → 生産性向上(イノベーション) → 企業利益増加 → 株価上昇
という連鎖が明示されていました。
特に日本では、電気機器やテック関連銘柄がこの波に乗りやすいと考えられています。
6. 投資家が今後注目すべきポイント
インフレに強い資産を持つ
- 株式(特にインフレで恩恵を受けるセクター)
- インフレ連動債
- 一部の不動産(地方や一戸建てなど未上昇領域)
金・暗号資産は?
- 金:安全資産として一定の評価あり。ただし短期的には調整局面も
- 暗号資産:評価が難しく、定量分析できないためリスクが高い
7. 7月以降の注意点と戦略
- 7月までは「期待感」で株価上昇
- 7月以降は材料出尽くしで調整の可能性
- ただし下落後には景気対策・利下げなどを背景に再び上昇の芽
大川氏は「7月以降の方が難しい」と指摘しており、調整を経た後の再上昇に備えた中長期投資戦略が重要だとしています。
まとめ:インフレは脅威ではなく、チャンスになる
- 7月までの短期は上昇トレンドが続く
- 7月以降は材料出尽くしで調整リスク
- 構造的インフレは日本経済に追い風
- 社会インフラの更新とR&Dが長期成長を支える
- インフレ耐性のある資産(株・一部不動産など)への投資が重要
これからの数十年、日本株には大きなポテンシャルがあります。投資家にとっては、短期の上下に惑わされず、インフレ時代を味方につける長期目線の戦略が問われているのです。
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