ドイツはゼロ成長、欧州経済はどこへ向かうのか?観光ブームと財政政策から読む今後の見通し

※本記事はYouTube動画「【欧州経済】ドイツ財政拡大でもゼロ成長!低迷する欧州経済!今後の見通し」をもとに構成しています。


結論:欧州経済は低成長の継続が濃厚。ただし回復の鍵は「秋以降の政策実行」と「スペイン経済の動向」にあり。

ドイツを中心としたユーロ圏経済は、依然としてゼロ成長、あるいは低成長の状態が続いています。2025年のドイツの成長率見通しは「0%」とされ、政府の財政拡大も即効性は期待できない状況です。

また、スペイン経済の好調がユーロ圏全体を支えている側面もありますが、その成長ドライバーである観光業に限界が見えつつあり、今後の成長鈍化が懸念されています。


目次

最新の経済指標と見通し

2025年第1四半期 実質GDP成長率(前期比)

国名成長率(前期比)
ドイツ+0.4%
フランス+0.1%
イタリア+0.3%
スペイン+0.6%

この数字だけを見ると回復基調にも見えますが、実際にはトランプ前政権の関税政策による駆け込み需要の影響で一時的に押し上げられた側面が強く、夏以降は再びマイナス成長に陥る懸念も示されています。

IMFによる2025年通年の成長率見通し(2024年4月14日時点)

国名成長率(年間)
ユーロ圏全体+0.8%
ドイツ0%
フランス+0.6%
イタリア+0.4%
スペイン+2.5%

スペインの成長が際立っており、ユーロ圏の経済全体を牽引しています。


ドイツの財政政策はどうなるか?実行は「秋以降」

2024年5月に発足したメルツ政権は以下の方針を掲げています:

  • 欧州最強の軍隊構築
  • サプライサイド改革
  • インフラ投資の拡大
  • EU統合の強化
  • 社会保障制度改革

しかし、これらの政策は6月25日の予算案発表後、9月以降に議会で承認される見通しであり、実体経済に影響を及ぼすのは秋以降となります。

防衛費の見通し

  • 2024年:GDP比2.0%を30年ぶりに達成
  • 将来的には2032年までに3.5%への引き上げの可能性も

防衛費拡大は中長期的な景気刺激策になる可能性がありますが、具体的な効果が見えるのは数年後と考えられています。


スペイン経済:観光ブームの影と限界

2024年、スペインは過去最高となる9400万人の外国人観光客を受け入れました。

これは、日本の2.5倍以上の観光客数であり、国土面積が日本の約1.3倍であることを考えても、いかに観光業が盛況であるかが分かります。

成長の裏で問題も深刻化

  • 民泊の急増により住宅不足と家賃高騰が深刻化
  • バルセロナ市は2024年に民泊ライセンスの新規発行停止と更新中止を決定
  • 2028年までに正規民泊1万件が消滅する見込み
  • Airbnbには6万6000件の違法民泊が掲載されているとして削除要請も実施

反オーバーツーリズム運動が激化

  • 観光客に水鉄砲を浴びせるデモまで発生
  • 2025年夏も大規模な反対運動が予想される

観光業に依存するスペイン経済にとって、これは大きなリスク要因です。特に成長率が年3%以上で推移していた背景には観光業の貢献が大きく、観光制限が導入されれば経済成長にも下押し圧力がかかることになります。


今後の注目ポイント

注目点内容
1. 秋以降のドイツ政策実行財政出動による景気刺激策の実効性に注目
2. トランプ関税の行方7月9日までに動きがある可能性。最大50%関税なら輸出大打撃
3. スペイン観光業の限界反発の拡大が観光産業全体の縮小に繋がるリスク
4. 欧州全体の構造改革成長率の低さは人口減少、労働生産性の伸び悩みも背景に

まとめ:ユーロ圏の成長は限定的。投資・経済観測は「選別」がカギ

ユーロ圏全体で見れば、成長率は1%未満と厳しい状況です。特にドイツ経済の停滞が欧州全体の足かせになっていることは否めません。財政政策への期待はありますが、効果が出るのはこれから。

一方で、スペインのように観光業に依存する経済も持続可能性に疑問符がついてきており、次なる成長ドライバーを探す必要があります。

投資家にとっては、単に「欧州全体」に投資するのではなく、スペインや中東欧、新興EU加盟国など国単位で見極めていく視点が重要となるでしょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次