本記事は、YouTube動画「動くな! サマーラリーに一服感 上昇相場は小休止」をもとに執筆しています。
2025年の米国株式市場は、上昇基調が続いたサマーラリーに一旦の「一服感」が見られ始め、秋以降の下落局面が警戒されています。政策の不確実性、インフレ懸念、関税問題など、複数の要因が複雑に絡むなかで、どのような投資判断が求められるのでしょうか。
結論:サマーラリーは7月末まで、秋に大きな調整が来る可能性大
- 6月は季節的に相場が鈍化する傾向あり(過去75年で平均+0.2%、上昇確率56%)
- マグニフィセント7銘柄による牽引が目立ち、全体的な地合いは弱い
- トランプ関税の政策不透明感が企業の投資・消費マインドを冷やしている
- 秋(8月〜10月)にはインフレ再燃・消費減速を背景に大きな下落局面が到来する可能性
1. 2025年5月の米国株:異例の強さ
- ダウ平均:+3.9%(42,270ドル)
- S&P500:+6.2%(5,911)
- NASDAQ:+9.6%(19,113)
この好調は、時価総額でS&P500の1/3を占める「マグニフィセント7」(例:Apple、Microsoft、NVIDIAなど)の急騰によるもの。
ラウンドヒル・マグニフィセント7 ETFは月間+13.8%の上昇。しかし、それ以外の493銘柄の伸びは控えめで、地合いの広がりに欠ける点がリスクとされています。
2. 6月は季節的に軟調になりやすい
- 1950年以降の6月の平均パフォーマンス:+0.2%
- 上昇確率:56%
加えて、6月下旬からは機関投資家の夏季休暇入りで出来高が減少。さらに「大統領サイクル」の中で、前半の2年は景気・株価に不利な政策が採られやすく、相場の追い風は限定的。
3. トランプ関税の不透明感と経済への影響
現在、トランプ関税を巡って裁判が継続中。米国連邦高裁が差し止め命令を一時停止し、今後は最高裁での判断に委ねられる見込みです。
- 最高裁の構成:9人中6人が共和党大統領による任命 → トランプ関税が維持される可能性大
完税(関税)の経済的影響:
- 米企業は設備投資・M&Aに消極的に
- 労働者は将来の不安から消費を控える
- 製造業やブルーカラー労働者は関税による恩恵を受けるため、関税の維持を支持するロビー活動が活発化
- → 関税の引き下げが政治的に困難に
その結果、インフレ圧力が長期化 → 長期金利高止まり → 株式のPER低下(マルチプル・コントラクション) → 長期的な株式市場の低迷
4. 投資戦略の変更:米国集中からの分散
動画では次のような国際分散投資先が推奨されています。
投資対象 | 展望 |
---|---|
日本株 | 為替が円高に向かうと大型株は売られやすく、中小型株に限れば妙味あり |
中国株 | 不動産バブル崩壊と消費低迷により悲観的 |
ドイツ株 | 景気回復の兆しあり |
インド株 | 都市化の進行で成長期待大 |
ラテンアメリカ株 | 米中摩擦の影響が少ない |
金(ゴールド) | ドル安に伴い長期的に有望(2030年までドル安トレンドと予想) |
5. TLT(米20年超国債ETF)の見通し
- 利下げが年内に2回あると市場は予想
- しかしトランプ関税によるインフレ再燃があれば、利下げは実施されず長期金利は高止まり
- 一方で、景気後退局面では利下げ期待が高まりTLTが急騰する可能性
- タイミングとしては秋〜翌春が有望
6. 教育資金や長期積立には「習慣型投資」が有効
質問に対する回答として、「子供名義でのオルカン積立」はそのままで良いとの見解。長期的な資産形成には、スキル型よりも「習慣型(20年以上の積立投資)」が有効だと述べられています。
7. 今からの投資は待つべきか?
- 現在6月上旬:サマーラリー終盤
- 新たな国際分散投資は「秋の急落を待ってから」が賢明
- 欧州株・グローバルサウス株が悲観ムードに包まれたタイミングこそが、絶好の買い時
8. 最後に:夏は静観、秋に備えるべき時期
まとめとして、次のような戦略が提示されています。
- 6月:慎重に構え、無理に動かない
- 7月末までサマーラリーは続く可能性あり
- 8月〜10月:インフレ再燃・消費低迷 → 下落トレンド入り
- 米国株は長期で見てPR低下=リスク高
- 秋の急落を狙って欧州・インド・ラテンアメリカ・金などに分散投資
おすすめ資産運用戦略(2025年夏〜秋)
タイミング | 推奨アクション |
---|---|
6月 | 静観、積極的投資は控える |
7月 | サマーラリー終盤、利益確定も検討 |
8月〜10月 | 急落時に分散投資を仕掛ける好機 |
教育資金 | 習慣型投資を継続(例:オルカン積立) |
TLT | 秋以降の景気後退時に上昇期待 |
今回の動画は、2025年の市場の転換点を見極めるうえで非常に重要な視点を提供しています。短期の上昇に惑わされず、長期視点でリスクを見極めることが重要です。秋以降の急落局面をチャンスに変えるため、今から戦略を整えておきましょう。
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