※本記事はYouTube動画「【早朝速報】関税再延期?、投資家安堵でも安心できない理由(6月27日)」を基に執筆しています。
結論:関税再延期で市場は安堵も、不確実性はむしろ拡大中
6月27日の速報では、トランプ前大統領が掲げていた欧州向けの自動車関税が再延期される可能性が報じられ、市場はそれを好感して株価は上昇しました。しかし、この延期は「根本的な解決ではなく、問題の先送り」に過ぎないため、将来的なリスクはむしろ高まっていると分析されています。
特に7月9日の関税発動予定日が迫る中、交渉の遅れや市場の過剰な期待感が、今後の相場に不安定さをもたらす可能性があるという指摘がされています。
1. 市場の反応:主要株価指数は軒並み上昇
関税の再延期報道を受けて、主要米株指数は以下のように上昇しました:
指数 | 上昇率 |
---|---|
ラッセル2000 | +1.68% |
ナスダック | +0.97% |
S&P500 | +0.80% |
ダウ平均 | +0.94% |
特にS&P500は日中で史上最高値を一時更新するなど、投資家のリスク選好姿勢が高まっていることが分かります。
ただし、終盤2分で売りが入り、「高値警戒感」を持つ投資家がショートを入れている可能性もあり、油断はできない状況です。
2. 完全延期の裏にある不安:根本解決には至らず
トランプ前大統領の声明によると、関税の発動は大統領権限で延期が可能であり、実際に欧州向けの50%関税も2日後に7月9日まで延期されています。
しかし、日本や韓国など「アメリカに協力的」と思われがちな国ですら合意に至っておらず、「要求が厳しすぎて交渉が進まない」という懸念が浮上しています。
交渉がまとまらない限り、再延期後に突如強硬な関税発動の可能性もあり、不確実性は依然として高いままです。
3. 為替・金利動向:ドルインデックス下落と円高進行
アメリカの10年債利回りは連日下落基調。MACDも下向きに転じており、今後も利回り低下が続く兆しが出ています。
ドル円も重要なトレンドラインに反発し、一時的に円安に向かう動きはありましたが、ドルインデックス自体は下落傾向にあり、「アメリカの信用不安」が背景にあると考えられています。
これは、日本人投資家にとっては「円高+高株価」のタイミングで、米株に参入しやすい局面とも言えるでしょう。
4. 今後の注目ポイント:決算とGDP動向
7月以降は米企業の決算シーズンに突入しますが、関税の影響が業種ごとに異なるため、コンセンサス予想の精度が低くなっています。
- 輸入企業(アパレルや流通)は圧迫される可能性
- テック・金融・サービス系は影響軽微
さらに、Q1のGDP改定値が0.5%に下方修正されたこと、個人消費の伸びが最も弱いペースだったことなどから、Q2の結果次第では「来年前半にリセッション入りの可能性」も議論され始めています。
5. 減税法案の行方と市場への影響
共和党主導の「大型減税・財政法案」が提出されており、上院では可決の見通しもあるものの、国民からの反対が49%と高く、不人気法案となっています。
主な理由としては:
- 富裕層・大企業優遇と見られている
- 中間層や低所得層への恩恵が薄い
この法案が通ったとしても、財政赤字のさらなる拡大が避けられず、ドル売り圧力が強まる可能性があります。
6. ゴールド・オイル・仮想通貨:リスクヘッジとして注目
ゴールドは現在調整局面にありますが、「米国信用不安+ドル安」という背景から長期ポジション保有に向いている局面とされています。ETFを通じたポートフォリオ構成の一部として検討すべきでしょう。
オイルはイラン・イスラエル情勢の一服で価格は安定。ビットコインは再び11万ドル台に迫る上昇を見せており、リスクオンの象徴的な動きとなっています。
7. 米国株投資の視点:日本企業への影響と今後の展望
トヨタのように「現地生産比率が高い企業」は関税の影響が小さく、相対的に有利と考えられます。一方で、スバルのように「米国生産比率が低い企業」にはリスクがある可能性があります。
自動車関税が25%などの高水準で定着すれば、アメリカ国内の車両価格上昇とともに需要が圧迫されるリスクも浮上します。
8. サマーラリーは続くのか?今後の投資戦略
現在の株高は「サマーラリー」と見る向きも多く、4月から続く株価上昇に勢いがついています。ただし、例年7月〜9月は調整局面に入りやすいことから、そろそろ「上昇一服」の可能性にも注意が必要です。
特にS&P500は史上最高値目前という位置にあるため、テクニカル的な売りも入りやすくなっています。
まとめ:安心感は一時的、7月以降は「不確実性との闘い」
- 関税再延期は市場にはポジティブだが、問題の本質は未解決
- 米経済は個人消費減速や財政赤字というリスクを抱えており、今後のリセッション懸念も消えていない
- 株高が続いている今こそ、「利確・分散・守りの戦略」を強める必要がある時期
今後も、トランプ前大統領の政策やFRBの利下げ動向、企業決算、為替動向など複数のファクターが交錯する展開が続きそうです。常に情報をアップデートしつつ、柔軟にポジションを調整することが、今の相場では特に重要といえるでしょう。
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