この記事は、YouTube動画『【一括投資も超有効です】2025年上半期に好調だったS&P500の工業・通信・金融セクターと爆上げ銘柄を完全データ解説』の内容を基に作成しています。
はじめに:2025年上半期の結論
2025年上半期の米国株市場では、通信セクター・工業セクター・金融セクターが特に好調でした。一方、テクノロジーや一般消費財は一時的な急落がありましたが、後半にはV字回復。とくにAI・防衛・製造回帰の文脈が市場を後押ししました。
今後の注目点は、既に上がり過ぎたセクターを見直すか、割安に放置されている銘柄を押し目で拾うかという投資戦略の転換タイミングにあります。
S&P500の11セクター中、特に強かったのはこの3つ
S&P500は11セクターに分類されていますが、特に2025年上半期にパフォーマンスが目立ったのが以下の3つ。
セクター名 | 主な理由 | 代表銘柄例 |
---|---|---|
通信サービス | 5G普及、データ需要の増加、生活インフラとしての安定性 | Verizon、AT&T、T-Mobile |
工業 | トランプ政権の関税政策、国内製造回帰(オンショアリング)支援 | RTX、ボーイング、キャタピラーなど |
金融 | 金利上昇で利ざや拡大、景気の下支え | JPモルガン、バンカメ、ウェルズ・ファーゴなど |
工業セクターが好調だった本当の理由
トランプ元大統領の再浮上による政策の見通しや、世界的な地政学リスク(中東、ロシア・ウクライナなど)を背景に、製造業や防衛関連、インフラ投資に関わる銘柄が軒並み買われました。
背景として挙げられた主な要因
- サプライチェーン再構築(オンショアリング・フレンドショアリング)
- 政府による大型インセンティブ法案(CHIPS法、インフラ投資法など)
- エネルギーインフラ再構築やEV充電網拡張
- 宇宙・防衛・原子力分野の注目
工業セクター注目銘柄
銘柄名 | 特徴 |
---|---|
RTX(旧レイセオン) | 宇宙・防衛関連、配当利回りも高い |
ボーイング | 商業用航空機だけでなく軍用機も製造 |
キャタピラー(CAT) | 建設・鉱山用重機の世界的リーダー |
ディア(DE) | 農業機械の最大手 |
ハネウェル、GEなど複合企業 | 宇宙・航空・オートメーションなど広く展開 |
ユニオン・パシフィック | 米最大級の鉄道会社。物流需要増の恩恵を受ける |
AIと半導体関連:調整を経て再浮上
AIブームの中心にあったのは、**NVIDIA(NVDA)**を筆頭とした半導体関連株。一時大きく下落しましたが、その後の回復も急速で、再び市場の中心に浮上しました。
注目のAI・半導体銘柄
- NVIDIA(NVDA):自家総額4兆ドル超、世界トップ水準へ
- Palantir(PLTR):政府・防衛用途に強み
- Broadcom(AVGO):データセンター向け半導体で堅調
- ASML:露光装置トップメーカー(製造装置カテゴリ)
通信セクター:安定配当が魅力
生活インフラである通信セクターも安定した成績を収めました。
銘柄名 | 特徴 |
---|---|
Verizon | 安定配当、低ボラティリティ |
AT&T | 通信・メディア両面展開 |
T-Mobile | 高成長、5G網の拡充中 |
※いずれも配当利回りが高く、景気に左右されにくいディフェンシブ銘柄として人気です。
金融セクター:金利上昇で収益拡大
米国金利が上昇する局面では、銀行業の利ざやが広がりやすく、金融セクターは恩恵を受けやすい環境となります。
特に評価されたのは以下の銘柄です:
銘柄名 | 特徴 |
---|---|
JPモルガン(JPM) | 商業・投資銀行の両輪。FRB設立時の中心的存在。 |
バンクオブアメリカ | 安定した営業基盤、リテールに強み |
ウェルズ・ファーゴ | 住宅ローンなど地場金融に強み |
セクター別のバリュエーション比較(PER)
2025年中頃時点でのS&P500全体のPERは22~23倍程度。それに対して各セクターの割安度は以下の通り。
セクター名 | PER | S&P比の割安度 | 備考 |
---|---|---|---|
ヘルスケア | 約16倍 | −18%(割安) | 今は不調だが回復余地あり |
通信サービス | 約13倍 | −40%以上(激安) | ディフェンシブ、利回り銘柄多数 |
金融 | 約14倍 | −36%前後 | 金利上昇時に強い |
工業 | 約23倍 | +19%(割高) | 割高警戒だが成長期待高い |
半導体製造装置系 | 約25倍 | +30%以上(加熱) | 高成長見込むが割高感あり |
ソフトウェア | 約31倍 | +59%(過熱気味) | ハイテク中心、ボラも高め |
今後の戦略:押し目買いとセクターローテーション
今後の投資方針として考えられるのは以下の2パターンです。
1. 上がりすぎセクターの見直し
- 工業セクターなどは割高水準に達している
- 利益確定や一部売却も視野に入れるべき
2. 割安セクターの押し目買い
- 通信・金融・ヘルスケアなど、PERが低く放置されているセクターは投資妙味あり
ETFでセクターを広く押さえる方法も
S&P500の11セクターには、それぞれに対応したETF(例:XLI=工業、XLV=ヘルスケア)が存在します。個別銘柄が難しい方でも、セクターETFでトレンドを追う投資が可能です。
まとめ:2025年の米国株は分散とバリュエーションの意識がカギ
2025年上半期は、AI・インフラ・通信・製造回帰・防衛など、時代背景や政策の影響を受けたセクターに資金が流れました。
その反面、一部セクターはバリュエーション的に加熱しているため、冷静な見直しも必要です。特にETFなどを活用したセクター分散投資が、今後ますます有効になると考えられます。
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