本記事は動画「【彼が動く時、市場が揺れる】ウォーレン・バフェット最新の買いと売り【バークシャーハサウェイのリバランス戦略をデータで分析】」を基にまとめています。初心者の方でも理解しやすいように、具体例や数字を交えて詳しく解説します。
目次
結論:バフェットは「守りと攻め」を同時に進めている
ウォーレン・バフェットは2025年末で引退予定ですが、依然として市場に大きな影響力を持っています。今回のバークシャー・ハサウェイの動きを整理すると以下のようになります。
- 保有比率を下げたのはAppleとバンク・オブ・アメリカ
- 完全売却したのはTモバイル
- 新規購入したのはユナイテッドヘルス、ニューコア(鉄鋼)、住宅関連株(レナー、DRホートン)など
- 追加購入したのはシェブロン
- 現金・現金同等物は株式保有額以上の約3,441億ドル
つまり、ハイテクや金融を減らしつつ、医療・インフラ・資源・住宅など景気耐性の高いセクターへ資金をシフトしており、まさに「守りながら攻める」戦略です。
バフェットの売却銘柄とその背景
Appleとバンク・オブ・アメリカを一部売却
- Appleは長年の主力銘柄ですが、一部利益確定
- バンク・オブ・アメリカは過去1年で40%以上保有数を削減
- 背景:銀行株に対する慎重姿勢、または他の割安株への資金シフト
Tモバイルを完全売却
- 2023年初めを100としたチャートで見ても株価は大きく上昇
- 「もう十分利益を取った」という判断で全株売却
新規購入銘柄と狙い
ユナイテッドヘルス(UNH)
- 世界最大級の医療・保険プラットフォーム
- 第2期に503万株(約15億ドル)を購入、ポートフォリオ18位に
- 株価は司法省調査や経営不安で大暴落し、PER11.75倍まで下落(10年来の低水準)
- バフェットはここを「安くて良いビジネス」と判断し逆張り投資
ニューコア(Nucor)
- 米国最大の鉄鋼メーカー
- 661万株、約8.5億ドル購入し、ポートフォリオ25位
- 安定したキャッシュフロー、自社株買い、配当が魅力
- トランプ政権の産業保護政策の恩恵も期待
シェブロンの追加購入
- 340万株を買い増し
- 原油価格が下落してもキャッシュフローが確保できる体質
- 配当利回り約4%で、自社株買いも積極的
住宅関連株
- レナー(704万株)、DRホートン(148万株)を新規購入
- アメリカの住宅供給不足と財務の健全性に注目
- 高金利で住宅需要は鈍化しているが、中長期的には需要回復を期待
その他の小型投資
- ラマール・アドバタイジング(屋外広告)
- アレジオン(ロックセキュリティ)
- どちらも安定的なキャッシュフローを持つ企業
バークシャーの現金保有と今後の戦略
- 株式保有額:2,580億ドル
- 現金・同等物:3,441億ドル(株式以上の規模)
- 直近11四半期連続で「売り越し」状態(売却額>購入額)
これは「まだ割安な投資先が少ない」と考えている証拠です。大暴落が起きたときに一気に投入するため、キャッシュを温存していると解釈できます。
歴史から学ぶバフェット流「安全マージン」
- リーマンショック時:誰もが恐怖で売る中、ゴールドマン株を買い成功
- ドットコムバブル時:ハイテク株を買わず批判されたが、その後バブル崩壊で再評価
- 今回も「安くて良い企業を待つ」姿勢を貫いている
今後の注目点
- バフェット退任と後継者グレッグ・アベルの運用方針
- バフェット・プレミアムの消失による株価影響
- 今後の大暴落時、どの銘柄を買い出動するか
個人投資家への示唆
- 高値で飛びつかず「割安で優良な銘柄」を待つ姿勢
- キャッシュを一定割合確保しておくことの重要性
- 他人の投資法を真似するだけでなく、自分のスタイルを構築する必要性
まとめ
ウォーレン・バフェットの最新の売買戦略は、ハイテク・金融から一歩引き、ディフェンシブで景気耐性のあるセクターへ資金を振り分ける「守りと攻めの両立」です。
特にユナイテッドヘルスやニューコアといった逆張りの新規購入は、典型的なバフェット流投資の再現。さらに巨額のキャッシュを温存していることから、今後の大暴落時に再び「市場を揺らす買い」を見せる可能性が高いでしょう。
個人投資家にとっては「安いときに良い銘柄を買う」そして「キャッシュを残して待つ」ことの大切さを改めて学べる事例です。
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