本記事は元動画のタイトル「【インドネシア】各地で暴動が拡大!背景にある経済問題を解説!」を基に執筆しています。
結論(先に要点)
・経済は5%前後の成長を維持しているが、中間層が減少し生活苦が広がっている
・ばらまき政策や議員特権への不満が怒りを爆発させ、暴動に発展
・政治は巨大与党体制と軍の影響力強化で独裁色を強め、信頼を失っている
・格差拡大と財政悪化が同時進行し、社会の亀裂が表面化している
いま何が起きているか
・首都ジャカルタや地方都市でデモが暴動に発展
・駅放火や財務大臣宅の襲撃などが発生
・警察車両による死亡事故が引き金となり、抗議が全国に拡大
・プラボウォ大統領は上海協力機構サミット欠席を表明し、国内対応を優先
経済成長とその裏側
・2020年 マイナス2.1% → 2021年 プラス3.7% → 2022年 プラス5.3% → 2023年 プラス5.1% → 2024年 プラス5.0%
・一見すると安定成長だが、中身は深刻
・中間層は2019年の5700万人から2024年に4800万人へと約900万人減少
・人口は同期間に約1400万人増加しており、実質的に「豊かさ」が縮小
・中間層の定義(月間支出200万〜990万ルピア=約1万8000〜8万円)に届かない層が増加
・消費余力がなく、生活費は食費や光熱費で消え、家電など耐久財は買えない状態
財政と政策のねじれ
・無償給食政策を打ち出し、対象は最大8300万人、年間約450兆ルピア(約4兆円)の費用
・まずは1500万人の子ども向けに71兆ルピア(約6000億円)を予算化
・国債頼みの財源では金利上昇や通貨安を招くリスクが高い
・首都移転計画は新政権で優先順位が下がり、停滞
・消費税にあたる付加価値税(VAT)の引き上げは反発を受け、贅沢品のみ増税に変更
・ルピアは財政悪化懸念で下落
政治の問題点
・与党連合が議会の8割を占める巨大与党体制を形成
・軍関係者の政治登用が進み、強権的な色彩を強めている
・副大統領任命では年齢要件を無視した疑義もあり、私物化の印象が強まる
・議員が月5000万ルピア(約45万円)の住宅手当を受け取っていたことが発覚し、庶民の怒りが爆発
なぜ中間層が減るのか
・物価上昇に賃金が追いつかない
・必需支出が増え、可処分所得が減少
・資源ブームの利益が一部に集中
・通貨安で輸入品価格が上昇し、購買力が低下
・政府は成長投資よりも短期的なばらまきを優先
今後のシナリオ
・治安部隊による強制力で一時的に抑え込む可能性
・議員特権削減や補助金見直しなど、象徴的な譲歩で国民の不満を和らげる可能性
・構造改革に踏み込めなければ、財政悪化と格差拡大で再燃リスクが残る
投資・ビジネスへの含意
・通貨ルピアは下落圧力が強く、金利も上昇リスクあり
・資源関連や一次産品は外需と価格に依存
・内需産業は中間層の復活なしに成長が難しい
・規制変更や税制の不安定さが投資リスクを増幅
まとめ
・インドネシアは表面的には高成長だが、中間層減少と格差拡大が深刻
・ばらまき政策や議員優遇が国民の怒りを煽り、暴動に発展
・巨大与党と軍登用で統治は安定しているように見えるが、政治不信は拡大
・根本的な解決には、格差縮小と財政健全化、統治の透明性向上が欠かせない
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