年末までに仕込む理由と実践ロードマップ S&P500とNASDAQ100の強さをデータで読み解く

目次

結論

今は買い増しや積立の停止を悩む局面ではなく、平常運転での継続投資が最適解。

FOMCの利下げは市場予想通りで、株式は最高値圏でもじり高が続く展開。

年末にかけての統計的追い風や金利見通しを踏まえると、S&P500とNASDAQ100への淡々とした積立と、手元現金の上限管理による機械的なリバランスが有効。


いま何が起きているのか

・S&P500は週次でプラス1.22%、最高値更新
・NASDAQ100は9連騰という強いモメンタムを確認
・ドル円は147.97円付近で安定推移(年初来も147円近辺でのもみ合い)
・米長期金利は週後半わずかに上昇も、1年スパンでは低下基調が見える
・債券は金利上昇で弱含み、金は週末にかけて上昇、ビットコインは反落
・日本株は続伸基調だが、日銀のETF売却報道で一時下振れも全戻し


週次ハイライトの主要数値

指標最新トピック数値/変化
S&P500週間リターン+1.22%
NASDAQ1009連騰後の統計12カ月後 平均+19%、上昇確率約85%
ドル円週間変動147.97円、週末にかけ円安へ
米小売売上高月次前月比+0.6%(市場予想+0.2%を上回る)
FOMC政策金利0.25%の利下げを決定(織り込み通り)
日銀ETF売却簿価3300億円、時価約6200億円規模/年(総保有時価約76兆円)

FOMC利下げとドットプロットの読み方

今回の0.25%利下げは完全に織り込み済みで、相場はほぼ無風通過。要点は二つ。


1つ目は、労働市場の減速ニュアンスが確認された点。求人や雇用者数は前年より明確に弱い。


2つ目は、FOMCメンバーの金利見通し(ドット)が市場よりやや高めで、高止まりを示唆。これが為替のドル高方向に効いた可能性がある。

ただし市場のフェデラルファンド先物では、年内さらに2回の利下げ織り込みが優勢。織り込み通りならニュース単体では相場の方向は動きにくい。重要なのは、織り込みとの差異が出たとき。


日銀ETF売却のインパクト

簿価ベースで年間約3300億円、時価で約6200億円のペース。

日銀保有ETFの時価総額は約76兆円と推定され、単純計算では完了に120年かかる極めて緩やかな速度。

実務的には市場への撹乱要因になりにくいペースで、トピックス連動などの広範商品が中心。日本株の基調を左右する決定打にはなりにくい。


強気を裏づける三つの統計シグナル

  1. NASDAQ100の9連騰
    過去データでは、12カ月後の平均リターン+19%、上昇確率約85%。短期的な過熱感はあっても、中期ではポジティブな事後リターンが示されやすい。
  2. 利下げ停止から再開したサイクルのセクター別成績
    利下げが小幅(2段階程度)で収まる局面は、情報技術や金融が相対的に優位。大幅利下げ(4段階以上)局面はディフェンシブ(ヘルスケア・生活必需品)やエネルギーが強くなりやすい。現状は小幅利下げ寄りの想定で、引き続きグロース優位に利が乗りやすい。
  3. 1Qマイナス→2Qで10%以上リバウンド年の挙動
    過去該当年では、3Qに続伸し、年末までさらに上積みというパターンが多い。年末へ向け、統計は味方しやすい。

一括投資と分割投資の最新比較

・年初からの比較では、序盤の上昇相場で一括投資が分割をアウトパフォーム
・足元で差はやや縮小も、依然として一括が約5〜10%優勢のレンジ
・ただし時間が経つほど差は縮小しやすく、長期では大差になりづらい

結論は方式より継続のほうが決定的に重要。自分のキャッシュフローと心理安定度に合う方法を固定化するのがベスト。


為替の位置づけ

ドル円は147円台で安定。今後の方向は、FOMCの織り込みとの差異次第。

既に市場は10月、12月の追加利下げを相応に織り込んでいるため、想定内のシナリオでは為替も株も過度に反応しづらい。


実践アクションプラン(年末に向けて)

  1. 積立は止めない
    最高値圏での伸びは、強気相場の典型。下落局面は必ず来るが、統計的に上がる時間のほうが長い。定期積立は継続。
  2. 現金の上限ルールを決める
    例として手元現金の上限を200万円に設定し、月中の現金が上限超過なら超過分を直ちに投資。月末に現金が不足したら必要分のみ利益確定というワンレバー運用。感情を排除できる。
  3. コアはS&P500、衛星にNASDAQ100
    小幅利下げ×成長期待の地合いではグロース優位。S&P500を軸に、NASDAQ100でモメンタムを取りにいく構成がわかりやすい。
  4. セクターの傾きは意識するが、過度に賭けない
    利下げ再開の初期は情報技術・金融が優位になりやすい。ただし一本足打法は避け、インデックス中心でリスク分散。
  5. 下落の覚悟を事前に数値化
    年10%の下落は毎年級、15%は数年に1回、20%も数年に1回ペース。最大想定ドローダウンと許容ロットを紙に書き、次の急落時に迷わない準備をする。

投資信託の観察ポイント

・NASDAQ100投信は楽天とニッセイが拮抗
・買付ランキングはeMAXIS Slimの全世界とS&P500が上位
・高コストのアクティブ型(購入時3.3%、信託報酬1%超など)は、長期複利に不利になりやすい。指数連動を基準軸に。


来週以降のイベント

・米国 四半期GDPとPCEデフレーターが焦点
・市場は既に年内の利下げを複数回織り込み済み。想定外のインフレ加速や成長失速のサプライズが出た場合にのみ、大きくブレやすい。


心構えとリスク管理

モーガン・ハウセルの言う通り、株式の超過リターンには入場料がある。

上下動に耐える代償を事前に受け入れ、相場に残り続けることが長期の勝ち筋。上がればハッピー、下がれば割安に買えるという両利きのマインドが、年末の仕込みとホールドを支える。


まとめ

・ファンダと統計は年末の上昇継続を支持
・利下げは織り込み済みで、想定通りなら波乱は限定的
・やることは変わらない。積立継続、現金上限ルール、コアS&P500+衛星NASDAQ100
・急落は来る。その時の行動を数値で先に決めておく

最高値圏ほど迷いが出るものの、迷いに効くのは手順化と分散。今のうちにルールを言語化し、年末までの上昇余地を取りこぼさない体制を整えておこう。

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