【保存版】最高値更新中でも油断禁物。オルカン(全世界株式)の落とし穴6選と賢い付き合い方

この記事は、YouTube動画「【要注意】最高値更新中の今こそ知るべきオルカン(全世界株式)の落とし穴6選」を基に、初心者にも分かるように丁寧にまとめ、必要に応じて背景知識や具体例、数字を補いながら構成しています。


目次

結論(先に要点だけ)

  1. オルカンは良いが万能ではない。相場悪化時は平均で3~5割の下落も起こり得る。
  2. 米国比率が高く、実質は「薄めた米国株」。分散の効きは想像より弱い。
  3. 過去データではS&P500に劣後(リターン低くリスク高い期間が長い)。ただし今後10年は非米の期待リターンが相対優位という予測もある。
  4. 時価総額加重ゆえ、定期見直しでは高値買い・安値売りになりやすい。
  5. 同じ「オルカン系」でも運用の巧拙がある。トラッキングエラーで差が出る。
  6. 信託報酬だけで判断は危険。隠れコスト(売買手数料・取引税・その他費用)も見て合計コストで比較する。

結局、S&P500とオルカンに絶対解はない。自分の腹落ちとリスク許容度、投資期間で決め、仕組みと弱点を理解した上で使い分けるのが最適解。


いま何が起きているのか

オルカンのベンチマークであるMSCI ACWIは最高値更新中。多くの保有者が含み益の状況だが、直近の好成績ほど平均回帰の圧力が強くなる可能性がある。

動画では、次のような実績と相場環境が示された。

・過去10年の平均リターン(円建て)約13.9%、ドル建て約11.7%
・直近5年 21.05%、直近3年 20.37%、直近1年 24.92%と平均超え
・ただし米国株の割高感や利下げペース不確実性など、調整リスクは常に隣り合わせ


落とし穴1:株式なので悪い時は大きく下がる

全世界株式=ローリスクではない。ACWI連動ETF(ティッカーACWI)の過去20年をみても、次のような急落が定期的に発生している。

【主な下落局面と下落率】
・2008年 リーマンショック:55→27ドル(約-50%)
・2020年 コロナショック:80→55ドル(約-30%)
・2022年 インフレ・急速利上げ:107→78ドル(約-27%)

ポイント
・3~5割の下落はいつかまた来る。来るタイミングは誰にも読めない。
・長期平均リターンは年8~10%程度とされるが、その裏側に大きな変動がある。
・積立投資は「価格が下がるほど口数を多く買える」仕組みを活かす前提で続ける。


落とし穴2:米国比率が高く、分散効果が思ったより薄い

オルカンは50カ国未満に投資するが、時価総額加重のため米国が約6割を占めやすい。
上位10銘柄だけで約23%を占め、その大半が米国の巨大企業(TSMCを除く)。

結果
・値動きはS&P500と高相関。オルカンの方がやや成績が劣る一方、動き方は似やすい。
・真に効いた分散を求めるなら、株式の中での国際分散だけでは不十分。債券やリート、コモディティなど資産クラス分散も検討対象。
・年齢や目標に応じて、8資産均等のようなバランス型も一案(例:国内株・先進国株・新興国株・国内債・先進国債・新興国債・国内REIT・先進国REIT)。


落とし穴3:過去データではS&P500に劣後(ただし将来は不確実)

リーマン前後からの比較例


・全世界株式CAGR 約10.55%
・S&P500 CAGR 約14.37%
・ボラティリティ(リスク)は全世界16.11%、S&P500 15.27%で全世界の方が大きい

なぜか
・米国以外の地域(ACWX)が相対的に足を引っ張る期間が長かったため。
ただし直近は、トランプ関税やドル安基調などを背景に、年初来でオルカンが優位な局面も。

参考視点
・大手運用会社の予測では、今後10年は非米先進国や米国除く全世界の期待リターンが米国を上回るとの見立てもある。
・過去50年をならすと、米国優位と非米優位は交互に訪れてきた。直近15年は米国の長期優位が続いた「最長サイクル」。転換が来ても不思議ではない。


落とし穴4:インデックスの「入れ替え」は高値買い・安値売りになりがち

時価総額加重は、上がって時価総額が膨らんだ銘柄を組入れ、下がって小さくなった銘柄を外す力学が働く。

具体例
・2024年8月のMSCI見直し(日本株)では、川崎重工・良品計画が採用、電通G・小野薬品・ホシザキ・オムロン・リコーが除外。
・長期の指数強化には理にかなうが、見直しタイミング単体で見ると「高値買い・安値売り」に見えやすい。
・株式と債券を割合で戻す「リバランス」(高値売り・安値買い)とは意味が違う点に注意。


落とし穴5:同じ「全世界株式」でも運用の巧拙は違う(トラッキングエラー)

インデックスファンドはベンチマークに完全一致はできない。ズレ=トラッキングエラー(TE)が運用の巧拙を映す。

例(動画内の比較要旨)
・eMAXIS Slim 全世界株式:ベンチマーク乖離 約+0.2%(配当課税差等の影響)
・たわらノーロード 全世界株式:乖離 約−0.7%
・楽天・全世界株式(いわゆる楽天オルカン):乖離 約−0.2%
・楽天VT:乖離 約−1.0%
・SBI・全世界株式(雪だるま):乖離 約−1.4%

示唆
・長く運用すると改善しやすいが、相対比較は重要。小さな差でも複利で大きくなる。
・極端な悪例として、先進国株で乖離が+5%超のファンドもあった(既に他ファンドに吸収)。


落とし穴6:信託報酬のほかに「隠れコスト」がある

合計コスト=信託報酬+隠れコスト(売買手数料・取引税・その他費用)。
例:eMAXIS Slim 全世界株式
・信託報酬 約0.058%前後
・隠れコスト 約0.036%
・合計コスト 約0.094%

比較イメージ(動画内要旨)
・たわらノーロード 全世界:隠れ約0.047%
・楽天オルカン:隠れ約0.101%
・楽天VT:隠れ約0.022%
・雪だるま:隠れ約0.012%

信託報酬が低くても、隠れコストが高いと合計では逆転することがある。必ず「合計」で判断。


S&P500とオルカン、結局どっちを買えばいい?

正解は一つではない。動画の論点を踏まえると、下のように整理できる。

S&P500を選びやすい人
・米国の競争力とイノベーション優位が今後も続くと考える
・過去の優位(成績・効率)を重視する
・米国一本の値動きやドローダウンを許容できる

オルカンを選びやすい人
・非米のリレー局面(主役交代)に賭けたい
・通貨分散や地域分散で米国一極のリスクを和らげたい
・完全放置で「世界の時価総額に身を任せる」運用哲学が腹落ちしている

折衷案
・S&P500とオルカンを比率で併用(例:6:4や5:5)
・年齢や下落耐性に応じ、債券インデックスも組み合わせて全体のボラティリティを抑える
・定率リバランスで「売り買いの機械化」を徹底


年代・目的別のざっくり指針(例)

・20~40代 長期積立:S&P500やオルカンの高配分。下落局面も積立継続。
・50代以降 元本維持重視:オルカンの比率を抑え、国内外債券やバランス型を厚めに。
・教育費など期限付きの資金:株式比率を落とし、リスク資産の回復待ちリスクを下げる。


よくある疑問に一気に回答

Q. 最高値更新中に買っても大丈夫?
A. 一括は値動きリスクが大きい。積立や分割購入で平均取得単価を平準化するのが無難。

Q. 下がったら怖くて買い続けられない
A. ルール化が鍵。毎月一定額、暴落時は臆せず機械的に買う。将来のリターンの源泉は「安く買えた口数」。

Q. 為替の影響が心配
A. 円建て投信は為替を受けるが、長期では株式の値動きが主たるリスク・リターン要因に。通貨分散が心理的な安心材料になる人も多い。

Q. 乗り換えはいつ?
A. 含み益のある課税口座の売却は即課税で複利を削る。乗り換えはiDeCoやNISA上限枠、今後の新規拠出で比率調整するのがセオリー。


歴史的背景を踏まえた見方

・株式市場は国ごとの優位が循環する。50年スパンで米国優位と非米優位が交代。
・一方、アメリカ大企業は新興国の成長を「現地以上に吸い取る」構造を築いてきた。生成AI・EVを巡る覇権でも米メガテック優位は簡単には崩れにくい。
・どちらに転んでも「積立+長期+分散+低コスト」を守る投資家が強い。


この記事で使った数字の早見表

オルカン(ACWI)主な下落
・2008年 約-50%
・2020年 約-30%
・2022年 約-27%

オルカン直近の平均リターン
・5年 21.05%
・3年 20.37%
・1年 24.92%

上位10銘柄の指数ウェイト
・合計約23%(TSMC以外は米国メガテック中心)

全世界株式とS&P500(長期例)
・全世界CAGR 約10.55%、ボラ16.11%
・S&P500 CAGR 約14.37%、ボラ15.27%

主なトラッキングエラー例(要旨)
・eMAXIS Slim 全世界:+0.2%
・たわら 全世界:−0.7%
・楽天オルカン:−0.2%
・楽天VT:−1.0%
・雪だるま:−1.4%

隠れコスト例(要旨)
・eMAXIS Slim 全世界:0.036%(合計約0.094%)
・たわら 全世界:0.047%
・楽天オルカン:0.101%
・楽天VT:0.022%
・雪だるま:0.012%

注記:数値は動画内の説明に基づく概算・報告値の例。最新の運用報告書や目論見書で必ず確認を。


まとめ

オルカンは「世界の成長にまるっと乗る」ための非常に合理的な器。ただし、米国偏重・見直し時の高値買い、運用乖離や隠れコストなど、仕組み由来の弱点も確かにある。


S&P500とオルカンの二者択一に悩むより、目的と許容度で配分を決め、合計コスト・トラッキングエラーを確認し、積立とリバランスを機械化する。これが長期投資の王道だといえる。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次