この記事は、元動画のタイトル「9月権利落ち後の相場はバリュー株からグロース株が優位な展開になるのか?ズボラ株投資」を基に記事を書いています。
結論(最初に要点)
9月の権利確定後に「バリュー株が売られてグロース株が強くなる」と言われることが多いが、長期データで見ると季節性はそれほど明確ではない。
むしろ10〜12月の秋相場は全体的に株が上がりやすい傾向があり、その中でグロース株がやや優位になる局面がある一方、バリュー株も引き続き底堅さを見せる。
結局のところ、「9月後はグロース株」という単純な話ではなく、年末にかけては市場全体が強いシーズンであり、両方の株に資金が入りやすい。
グロース株とバリュー株の関係とは?
株式市場では大きく分けて次の2種類があります。
- グロース株:成長性重視。PER(株価収益率)が高めでも成長期待で買われやすい(例:IT企業、バイオ企業など)。
- バリュー株:割安度重視。PBR(株価純資産倍率)や配当利回りの高さから投資されやすい(例:銀行株、不動産株、商社株など)。
9月や3月は配当権利確定月であるため、配当狙いでバリュー株に資金が流入しやすいとされる。では、その後の「権利落ち」では資金がグロースに移るのか?
データで検証した季節性
動画では2009年以降のデータをもとに、バリュー指数とグロース指数を比較していました。
グロース対バリュー指数
- 指数の上昇 → グロース株優位
- 指数の下落 → バリュー株優位
このデータを季節ごとに見ると、
- 3月・9月:バリュー株に傾きやすい(配当狙いの資金流入)
- 4〜6月、10〜12月:グロース株のパフォーマンスが良い傾向
ただし、勝率(上昇確率)を見ると半分程度であり、明確な季節性とは言えない。
バリュー株の動き
バリュー株のパフォーマンスを単独で見ると、意外にも3月・9月が強いとは限らない。
むしろ4〜6月、11〜12月の方が強い結果が多く、これは株式市場全体の季節性(秋相場は上がりやすい)による影響が大きい。
グロース株の動き
グロース株単体で見ると、
- 4〜6月と10〜12月が比較的強い
- 1〜3月、7〜9月はあまり強くない
つまり「9月後はグロース株優位」というよりも、「秋相場に入りやすい10〜12月にグロースが上がる傾向がある」と言い換えられる。
直近の傾向
- 2020年のコロナ直後はグロース株が圧倒的に強かった
- 2023年以降はPBR1倍割れ対策や株主還元策が広がり、バリュー株の資金流入が目立つ
- 直近ではバリュー株がリードする展開が多い
まとめ:秋相場はどちらも強い
- 9月の配当権利取りではバリュー株に資金が入りやすい
- その後の10〜12月は、グロース株のパフォーマンスが良い傾向がある
- ただしバリュー株も弱いわけではなく、秋相場自体が株高になりやすい季節
結論として、「9月後はグロース株にシフト」という単純な図式ではなく、年末にかけては市場全体が買われやすい。ポートフォリオをバリューかグロースかに極端に寄せるのではなく、両方をバランスよく取り入れることが重要になる。
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