この記事は「【日本最強の高配当指数】ETF(1489,399A) VS Tracers 日経平均高配当株50 分配金か株価 初分配金の利回りについて」という動画内容を基に作成しています。
結論:狙うべきは「目的」に応じた使い分け
日経平均高配当株50に連動する代表的な3つの投資商品は、それぞれに明確な特徴があります。
結論から言えば、「どれが一番良い」というよりも、投資目的や求めるキャッシュフローに合わせて使い分けることが最も合理的です。
| 投資タイプ | 向いている人 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| ETF 1489(NEXT FUNDS) | 安定実績・高流動性を重視する人 | 年4回分配、純資産4,000億円超の王道ETF |
| ETF 399A(上場インデックスファンド) | 低コストで今後の成長を狙いたい人 | 新設ETF、年2回分配。初回分配は26円で約3%利回り |
| Tracers(日経平均高配当株50投信) | 頻繁な分配や積立投資を重視する人 | 年6回分配、信託報酬0.10725%の超低コスト投信 |
日経平均高配当株50指数とは
この指数は、2017年に開発された「スマートベータ型」の株価指数です。
5月末時点の予想配当利回りと流動性をもとに銘柄を選定し、まず3,953銘柄から日経225構成銘柄を抽出。そこからさらに配当利回り上位50銘柄に絞り込みます。
構成上の特徴としては以下の通りです。
- 直近3期連続で赤字の企業は除外
- 流動性の低い銘柄のウェイトは抑制
- 年1回(6月末)に構成銘柄を入れ替え
このように、単純な高配当ランキングではなく「持続性と安定性」を考慮した設計となっています。
新ETF「399A」初の分配金は26円。その真意は?
2025年7月24日に上場した「上場インデックスファンド日経平均高配当株50」(証券コード399A)は、オーバーセット・マネジメント社による新しいETFです。
初の分配金は1口あたり26円、支払日は2025年11月12日と発表されました。
基準価格が約1,700円のため、単純計算の利回りは約3%です(年2回分配を想定した場合)。
一見、他の高配当ETFと比べると少し控えめに見えますが、これは上場初期特有の要因によるものです。
本来、4月から10月の半年間で企業から受け取る配当金を投資家に分配しますが、今回の初決算は上場が7月末だったため、実際の運用期間が短いのです。
また、決算月を「4月・10月」に設定している点も特徴的です。
多くの日本企業は「3月決算・9月中間決算」ですが、これらの直後にETFが分配を行うことで、資金効率が高く、投資家に早く利益を還元できる構造になっています。
王道ETF「1489」との比較
同じ指数に連動する「NEXT FUNDS 日経平均高配当株50」(証券コード1489)は、純資産総額4,000億円超という圧倒的な規模を誇ります。
信託報酬は0.308%、分配は年4回と、長期投資家に人気の王道ETFです。
最新の分配金は1口あたり39円、年間合計では89円(2025年時点)に達し、利回りは約3.4%となっています。
過去には2020年に減配もありましたが、その後は右肩上がりの傾向を見せており、安定した分配が期待できるETFです。
比較してみると、399Aの初回利回りが低く見えるのは上場時期の影響によるもので、フル期間運用になれば両者の利回り差は小さくなると考えられます。
Tracers投資信託の特徴:超低コスト・高頻度分配
Tracers 日経平均高配当株50(奇数月分配型)は、同指数をベースとした投資信託です。
信託報酬は年0.10725%と非常に低く、分配は年6回(奇数月)行われます。
直近半年間での分配金合計は600円で、基準価額ベースの利回りはなんと約4.9%にもなります。
ただし、この高利回りには注意が必要です。
運用報告書を見ると、一部の期では「当期収益以外」を原資として分配金を支払っているケースが確認されています。
つまり、株式の売却益などを活用して分配を補っており、実際の企業配当だけで構成されているわけではないのです。
このような分配は、短期的な受け取りには有利ですが、長期的には元本を取り崩すリスク(いわゆるタコ足配当)にもつながりかねません。
運用会社もこの点を認識しており、今後はより実質的な収益に基づく分配を目指すとしています。
3つの商品の比較まとめ
| 項目 | 399A(上場インデックス) | 1489(NEXT FUNDS) | Tracers投信 |
|---|---|---|---|
| 連動指数 | 日経平均高配当株50 | 同左 | 同左 |
| 信託報酬 | 未公表(低め想定) | 0.308% | 0.10725% |
| 分配回数 | 年2回(4月・10月) | 年4回 | 年6回(奇数月) |
| 最新分配金 | 26円(初回) | 39円 | 半年合計600円 |
| 想定利回り | 約3.0% | 約3.4% | 約4.9%(一部売却益含む) |
| 純資産 | 約45億円(新設) | 約4,000億円超 | 約250億円 |
| 特徴 | 新設ETF。資金効率が高い | 実績・流動性・安定感 | 超低コスト・高頻度分配 |
政局イベントによる値動きの違い
動画では、高市新政権誕生直後の動きも取り上げられました。
2025年10月の総裁選翌日、主要指数は以下のような動きを見せています。
- 日経平均株価:+4.75%
- TOPIX:+3.1%
- 日経平均高配当株50:+1.83%
高配当50指数の上昇幅がやや小さかったのは、構成上金融セクターの比率が高いことが理由です。
利上げ観測が一時的に後退したため、銀行株が伸び悩み、全体の足を引っ張った格好となりました。
投資目的別の選び方ガイド
- 安定性と実績を重視する方 → ETF 1489
→ 純資産規模が大きく、取引量も豊富。信頼性の高い定番ETF。 - 新しい商品で成長を期待したい方 → ETF 399A
→ コスト構造が合理的で、今後の純資産拡大によるスケールメリットも見込める。 - 頻繁な分配と積立を重視する方 → Tracers投信
→ 信託報酬が極めて安く、NISAとの相性も良い。ただし分配原資の性質は要確認。
注意すべきリスク
- セクター偏重リスク
金融・資本財・素材系の比重が高く、金利動向の影響を受けやすい。 - 分配金の性質
投信の場合、配当収入以外を原資とする期があるため、見かけ利回りだけで判断しないこと。 - 税制面の違い
ETFは分配金に課税されますが、NISAを活用すれば非課税で受け取ることが可能です。
まとめ:目的に合わせた最適な「器」を選ぼう
3つのプロダクトはいずれも「日経平均高配当株50」に連動していますが、コスト構造・分配頻度・運用手法が異なります。
ETFは基本的に企業からの配当をそのまま投資家に還元するため、シンプルで透明性が高い一方、投信は柔軟な分配設計が可能です。
初回分配を迎えた399Aは、まだ規模は小さいものの、決算月の設定や資金効率の良さが特徴的で、今後注目される存在になる可能性が高いETFです。
長期的に安定したインカムを得たい方は1489、
配当をより頻繁に受け取りたい方はTracers投信、
そして新しい選択肢として成長を見据えたい方は399A、
このように目的に応じて選ぶのが賢明でしょう。


コメント