以下は、動画「【現預金の使い道】金融庁が上場企業に説明を求める方針へ。個人の生活にも関係する理由を解説【リベ大公式切り抜き】」をもとに作成したブログ記事です。
結論:企業の“貯め込みすぎ”は、株価にも家計にも影響する
金融庁が、上場企業に対して「現預金を溜め込みすぎず、有効活用しているか説明せよ」という方針を打ち出しました。
一見、企業だけの話のように思えますが、実はこの動きは私たち個人の資産形成・給料・投資リターンにまで関係してきます。
この記事では
- いま日本企業がどれだけお金を貯め込んでいるのか
- それが私たちにどう影響するのか
- そして、私たち個人がどう行動すべきか
この3点を分かりやすく解説します。
上場企業の現預金、17年間で2倍以上に増加
まず、現状を数字で見てみましょう。
日経新聞のデータによると、上場企業の現預金残高は2008年:約50兆円 → 2025年:約115兆円 にまで膨れ上がっています。
つまり、たった17年で2倍以上。
「商売がうまくいってお金が増えるのは当然」と思うかもしれませんが、問題は使い道がないまま企業が貯め込んでいることです。
この状態に対して金融庁が疑問を投げかけています。
「そのお金を社員の給料や新規事業に使っていないのでは?」
「企業の成長を止めてしまっていないか?」
金融庁はこうした問題意識から、企業に「現預金をどう使っているのか説明する責任」を課そうとしているのです。
なぜ金融庁は「お金を使え」と言うのか?
背景には、日本経済の長年の課題があります。
それは「デフレ体質からの脱却」です。
デフレ時代は、現金を持っていることが正解でした。モノの値段が下がり続けるため、100円で買えるおにぎりが翌年90円になるなら、「今使うより貯めておいた方が得」です。
しかし、いまはインフレの時代です。
物価が上がり続ける環境では、現金の価値が下がっていく。企業も個人も「お金を寝かせておく」のは損になる世界に変わりました。
金融庁が企業に「現預金を活用せよ」と求めるのは、インフレ時代における資本の最適配分を促すためなのです。
私たち個人にどう関係してくるのか?
では、企業の「現預金の使い道問題」が、なぜ私たちの生活に関係するのでしょうか。
動画では3つの視点から解説されています。
① 株価が上がる可能性
企業が溜め込んでいたお金を成長投資に使うようになれば、経営効率が上がり、売上・利益が増えます。
その結果、株価上昇の要因になります。
特に、
- 日本株を直接保有している人
- つみたてNISAでオルカン(全世界株式)を持っている人
にとっては朗報です。
オルカンの約5%は日本株なので、日本企業の経営効率化=資産価値の上昇につながります。
② 「良い会社」を見分ける材料になる
金融庁の要請に対して、企業の反応は3タイプに分かれます。
- 積極的に説明・改善する企業
- 他社の様子を見ながら“形だけ”対応する企業
- 最低限の対応しかしない、または無視する企業
この対応の違いは、経営陣の姿勢を映す鏡です。
- 1の企業は「信念と行動力がある」
- 3の企業も「一貫したポリシーを持つ」
- 2の企業は「他人任せで本質がない」
就職や転職、あるいは株式投資の際、どの企業が“本気で経営しているか”を見抜く指標になるのです。
③ インフレを“数字で感じる”ニュース
そして、このニュースは「インフレ時代の象徴」でもあります。
もしデフレが続いていれば、企業も現金を貯めることが合理的でした。
しかし、今は逆。お金を動かさないと価値が目減りします。
つまり、
「企業に投資を求める時代=私たち個人もお金を動かす時代」。
銀行に預けっぱなしでは資産が実質的に減っていく。
企業の現預金問題は、個人の“貯金体質”を見直すきっかけにもなります。
金融庁の狙いは「経済の再循環」
金融庁の方針の根底には、
「企業が内部留保を吐き出して、社会にお金を回す」
という狙いがあります。
企業が設備投資・賃上げ・株主還元に動けば、家計にお金が回り、消費が活発化します。
それが再び企業の売上につながる——という経済の好循環を生み出したいわけです。
これは、いわば「企業版・貯金の使い道改革」。
企業だけでなく、私たち一人ひとりにも問われているテーマです。
私たち個人ができる「現金の有効活用」
動画の最後で両学長が語っていたメッセージは明確です。
「企業に効率化を求めるのと同じように、皆さんも“自分会社”の株価を上げてください」
つまり、
- 銀行預金ばかり増やすのではなく、
- 資産運用・スキル投資・自己投資に回すことで、
自分自身の成長と資産価値を上げていこうということです。
企業が経営を効率化するのと同じく、私たちも家計・資産を効率化することで、将来の「株価=自分の価値」を高められます。
まとめ:貯金しすぎは企業も個人も“損”する時代
- 日本企業の現預金は115兆円に達し、過去最高水準。
- 金融庁はその使い道の説明を求め、経営効率化を促す方針。
- 企業が動けば、株価・賃上げ・投資機会に波及効果が出る。
- そしてそれは、個人の貯金体質を見直すべきサインでもある。
お金を「貯める」から「活かす」へ。
金融庁の改革は、社会全体が資金を循環させる第一歩なのです。


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