【徹底解説】有事は金より“攻め”の選択肢も。グローバルX 防衛テックETF 466A

目次

結論

ゴールドは「守りの安全資産」だが、地政学リスクが高まる局面では、防衛関連の売上や受注が伸びやすい企業群に投資することで、より大きなリターンを狙える可能性がある。

グローバルX 防衛テックETF 466Aは、米国版SHLDの東京上場版で、防衛テクノロジーや軍需関連の中核企業50社に分散投資する商品。

信託報酬は年率0.5275%程度、組入比率は時価総額ベースで半期ごとに見直し。

直近1年の米国版SHLDはゴールドの上昇率を上回った実績があり、株式インデックスとの相関が低めで、分散投資の一角として機能する可能性がある。短期のニュースで慌てて追いかけるのではなく、有事や政策の節目などで計画的に積み増しするのが現実的な付き合い方。


466Aとは何か。米国版SHLDの東証版という位置づけ

グローバルX 防衛テックETF 466Aは、米国上場のGlobal X Defense Tech ETF(ティッカーSHLD)を日本円ベースで買える東証版。

対象指数はグローバルX ディフェンス インデックス(円換算)。2025年11月26日上場予定で、為替両替なしに日本の証券口座から購入できる。

基本仕様

  • 投資対象国は先進国および新興国の上場株式
  • 中国、インド、クウェート、パキスタン、ロシア、サウジアラビアは除外
  • 防衛テック関連企業を三つのサブテーマで選定
    • サイバーセキュリティ
    • 防衛テクノロジー
    • 高度な軍事システムやハードウェア
  • 構成銘柄は50社、各銘柄の上限比率は8%
  • 半期ごとに入れ替えとリバランス
  • 信託報酬は年率0.5275%程度

国別とセクターのおおまかな傾向

  • 国別では米国が約6割、英国、ドイツ、韓国、フランスなどが続く
  • セクター配分は資本財が約85%、情報技術が約15%
  • 日本の比率はごく小さく、例として日本アビオニクスが組み入れ

代表的な組入企業とその意味

  • パランティアテクノロジーズ
    統合データ解析プラットフォームを提供。防衛領域でのデータ融合や意思決定支援に強み。
  • ラインメタル(ドイツ)
    戦車や弾薬などの伝統的軍需に強い。欧州の防衛費増加の恩恵を受けやすい。
  • RTX(旧レイセオン)
    ミサイル、レーダーなどの重要装備を供給。
  • ロッキード・マーチン、ジェネラル・ダイナミクス
    戦闘機から原子力潜水艦まで、参入障壁の高い大型プログラムを担う。

伝統的兵器に加え、ドローン、衛星、AIなど近代的な装備や周辺テクノロジーまで幅広くカバーするため、単一テーマではなく防衛の裾野全体にアクセスできるのが特徴。

実績をデータで俯瞰。ゴールドと比べてどうだったか

米国版SHLDの実績は2022年6月以降で公表されており、2024年末以降に上昇が加速。政治イベントを契機に安全保障環境の変化が意識され、防衛関連が相対的に強くなった局面があった。

直近1年の騰落率比較(例)

  • ゴールド 約43%
  • SHLD 約80%

期間が短いことと、今後も同じ結果になる保証はない点に注意が必要だが、少なくとも直近ではゴールドをアウトパフォームした期間があった。

相関関係の特徴。分散の観点からの位置づけ

相関係数は1に近いほど同じ動き、負に近いほど逆方向の動き。参考値として

  • S&P500と全世界株式は約0.97でほぼ同じ動き
  • S&P500とゴールドは負の相関傾向
  • ゴールドとSHLDは約0.40で緩やかに同方向のときがあるが完全一致ではない
  • SHLDはS&P500や全世界株式との相関が低め

株式インデックスだけでは拾いにくいリスク要因に反応しやすいため、ポートフォリオの分散源としての性格を持ちやすい。

なぜ今“防衛テック”なのか。背景の数字で理解する

世界の防衛費はコロナ前の横ばいから、2020年以降の複合的リスクで増加に転じ、2024年は前年比約10%増の約2.7兆相当まで拡大。冷戦終結後で最も大きな伸びとされる。2030年には3.6兆規模との見立てもあり、構造的増加トレンドが示唆される。

同時に宇宙分野も拡大。宇宙ビジネスは2023年比で約10%増、将来は1兆8000億ドル規模へ拡大見込みとのリサーチがある。

衛星通信、観測、宇宙インフラなどは防衛テックと重なる領域が多く、衛星やセキュア通信、宇宙監視などの需要が中長期テーマとして支えになりやすい。

ゴールドと466Aの役割の違い

  • ゴールド
    有事、インフレ、金融不安で「資金の逃避先」として買われやすい。キャッシュフローは生まないため、平時は持ち味が出にくい期間もある。
  • 466A(SHLD)
    有事で需要や受注が増える企業群に投資するという「攻めの性格」。装備は大型プロジェクトが多く参入障壁が高い。宇宙やサイバー領域など成長テーマも抱える。

両者は完全な代替ではないため、分散の観点では併用も現実的。ゴールド単独よりも相関の低い株式テーマを足すことで、ポートフォリオ全体のブレ方を変えられる可能性がある。

付き合い方の実例。買い方の工夫

考え方は大きく二つある。

1 有事や政策の節目を狙う

地政学イベントや政策発表など、防衛予算増が意識される局面は需給が傾きやすい。例として、欧州の防衛費増額観測でラインメタルが大幅高となった期間があった。ニュースで過熱した直後に飛びつくのではなく、押し目やイベントの「前後」で段階的に拾うのが現実的。

2 積み立てで中長期の構造的成長をとる

宇宙やサイバーなど中長期トレンドは短期イベントに依存しない。毎月定額の積み立てで価格変動を均しつつ、テーマの成長をこつこつと取り込むやり方もある。

手数料や構成ルールから見る現実的な期待値

  • 信託報酬は0.5275%程度と、広く分散するインデックスETFよりは高め。テーマの専門性やリバランスコストが背景にある。
  • 銘柄上限8%、50銘柄と適度な分散だが、伝統的軍需の比重が高い時期はマクロの潮目転換に影響を受けやすい。
  • 半期ごとの入れ替えでトレンド追随性はあるが、指数のメソドロジーに沿うため、個別の好材料を細かく先回りする性格ではない。

リスクと注意点

  • ニュース感応度
    有事のヘッドラインで急騰急落が起きやすい。短期のボラティリティは覚悟が必要。
  • 政策リスク
    予算の遅延や削減、輸出規制などの政治判断でセクター全体が揺れる可能性。
  • セクター集中
    資本財比率が高く、景気循環やコスト要因の影響が重なりやすい。
  • 為替
    466Aは円ベースだが、実質的には海外企業の業績と通貨の双方の影響を受ける。米国版SHLDとは為替でリターンがぶれる。

まとめ

  • 466Aは米国版SHLDの東証版で、防衛テクノロジーとその周辺領域にまたがる50社へ分散投資するETF
  • 直近1年の米国版SHLDはゴールドを上回るパフォーマンスを示した時期があり、株式インデックスとの相関が低め
  • 有事の守りであるゴールドと、需要が伸びやすい防衛テックの“攻め”は役割が違うため、併用で分散効果が期待できる
  • 買い方は、有事や政策の節目のスポットと、宇宙やサイバーなど構造テーマを狙う積み立ての二本柱が現実的
  • 一方でニュース感応度や政策リスク、セクター集中などのリスク管理は必須

よくある質問

Q. ゴールドと466Aのどちらを優先すべきか

資産の役割で分ける。短期の安全資産としての避難所を重視するならゴールド、地政学や宇宙など成長テーマの取り込みを狙うなら466A。両方を少量ずつ保有して相関を調整する方法もある。

Q. 今すぐ買うべきか

慌てて高値を追うのではなく、イベント前後の分割エントリーや、月次積み立てで平均取得単価を平準化するのがリスク管理上は無難。

Q. 配当は期待できるか

配当妙味は限定的という評価が一般的で、キャピタルゲイン志向のテーマETFとして捉えるのが現実的。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次