このブログは「【マムダニ熱狂支持の真相】大統領選マニア歴33年のジャーナリストが分析/物価高対策以上に民主党支持者が期待する事/NY市長選から見るアフター・トランプ展望【PIVOT TALK POLITICS】」という元動画のタイトルを基に作成しています。
結論:マムダニ現象は「物価高」よりも「反トランプ待望論」
まず結論からまとめると、動画で語られていたポイントは大きく次の四つです。
1つ目は、ニューヨーク市長に就任したマムダニ氏の熱狂的支持は、単なる物価高対策への期待だけではなく、「もっとトランプと戦ってほしい」という民主党支持者のフラストレーションの受け皿になったことです。
マムダニ氏は民主党でありながら、トランプ的な強いメッセージと「俺が変える」というポピュリスト的スタイルを取り込み、一気に支持を伸ばしました。実際の公約も、家賃凍結や最低賃金引き上げ、富裕層増税など、庶民の生活防衛を前面に出したものです。
2つ目は、トランプ前大統領の名前が投票用紙から消えるこれからの選挙(中間選挙・2028年大統領選)で、共和党が「どうやって有権者を投票所に連れてくるか」が決定的な課題になるという点です。
アメリカの投票用紙は1枚の紙で大統領から州知事・裁判官まで30以上の選挙を一気に行いますが、多くの有権者は「トランプに投票しに来たついでに、下まで全部共和党に丸を付ける」という行動を取ります。
トランプの名前が無ければ、そもそも投票所に来ない人が増え、共和党全体が打撃を受けかねない、という分析でした。
3つ目は、アメリカ政治の分断は簡単には解消せず、2028年大統領選も「またギリギリの接戦」になるだろう、という見立てです。
特にペンシルベニアのようなスイングステート(民主・共和どちらにも振れやすい接戦州)の行方が非常に重要で、そこで選挙手続きの解釈を最終的に決める州最高裁の構成(保守寄りかリベラル寄りか)が、実は勝敗を左右しうるポイントだと指摘していました。
4つ目は、「アフター・トランプ」のアメリカでも、格差拡大とエリートへの反発はむしろ強まり、ブルーカラー対高学歴エリートという対立構図が政治的に利用され続けるだろう、という未来像です。
アメリカ経済は依然として世界の中心であり、もしアメリカが本格的にこければ日本を含む世界も一緒にこける。相対的な強さは残るものの、中国との覇権争いが最も大きな不安要因だ、という締めくくりでした。
ここからは、動画の流れに沿いながら、初心者向けに背景知識も補いながら詳しく整理していきます。
1.マムダニNY市長誕生は何を意味するのか
1-1 マムダニとは誰か:若い社会民主主義者のNY市長
動画の中では詳細なプロフィールよりも「象徴性」が強調されていましたが、実際に報道を確認すると、マムダニ氏はクイーンズ選出の州議会議員として頭角を現し、2025年のニューヨーク市長選で勝利した34歳の若い民主党左派政治家です。ムスリムであり南アジア系として初のNY市長という側面もあります。
選挙戦で掲げたのは、いわゆる「生活防衛」政策です。
- 家賃の凍結や20万戸の公的・低家賃住宅建設
- 食品価格抑制のための市営スーパー構想
- バス無料化や最低賃金を2030年までに時給30ドルへ
- 富裕層・大企業への増税
といった、「生活費が上がって苦しい層」に真正面からアピールする内容でした。
日本のメディアでは「物価高対策で支持を集めた」と報じられがちですが、動画のジャーナリスト(風間氏)は「それ以上に、民主党支持者の別の欲望をくみ取ったことが大きい」と分析します。
1-2 「物価高」以上に刺さったのは「もっとトランプと戦え」
動画で紹介されていた世論調査によると、民主党支持者が現在の民主党に不満を持つ理由のトップは
- トランプに対して弱すぎる
- もっと攻撃的に対峙すべきだ
という点で、41%がこれを不満の理由に挙げたとされています(ピュー・リサーチ・センターの調査が元ネタ)。
つまり、インフレや生活費の高騰ももちろん大問題ですが、それ以上に
- トランプやトランプ路線を「徹底的に叩いてほしい」
- 単に穏健な調整役ではなく、「戦うリーダー」が欲しい
という感情がかなり強くなっている、ということです。
マムダニ氏は、この「戦う民主党」を体現した存在でした。
- 富裕層への課税強化を正面から掲げる
- 不平等や人種問題に対して、はっきり物を言う
- 「俺が変える」という強いメッセージを連発する
このスタイルは、ある意味でトランプ的とも言えます。トランプ氏も2016年に
- ワシントンの政治をぶっ壊す
- 俺だけがあなたの声を代弁できる
と、既存政治への怒りをすべて自分に吸い寄せましたが、今回は「民主党の中から出てきたトランプタイプ」としてマムダニ氏が登場した、と動画では位置づけています。
2.アメリカの投票用紙と「トランプ票」の仕組み
2-1 1枚の紙で「33の選挙」を一気にやる
日本の選挙は、投票所で
- 「○○区長選」の投票用紙をもらって書いて投票箱へ
- つぎに「区議会議員選」、また別の紙をもらって投票
という形が一般的です。
ところがアメリカでは、多くの州が「1枚の投票用紙にたくさんの選挙を印刷して、まとめてマークする」方式を採用しています。動画で示されていたノースカロライナ州の例では、
- 表と裏にずらっと候補者名や職名が並び
- 大統領選、上院議員、下院議員、州知事、司法長官、教育長、州最高裁判所判事…
- 合計33の選挙を一気にマークして投票する
という形でした。
こうなると、有権者の行動はどうなるか。
- 多くの人は「大統領に誰を入れるか」だけは明確に決めて投票所に来る
- その下に並ぶ30以上のポストの候補者は、ほとんど知らない
- よく分からないので、党名だけ見て「大統領と同じ政党」に丸をつけていく
実際、候補者名の横には「Republican」「Democrat」など政党名がはっきり書かれています。
トランプに投票しに来た人は、そのついでに連邦議会・州議会・裁判官まで一通り「共和党」にマークする。逆も同じで、民主党の大統領候補に入れた人は、基本的に同じ党で下まで塗りつぶす。こうして「大統領候補」は、同じ党の他の候補者たちを一緒に引き上げる存在になるわけです。
これを専門用語で「コートテール効果(coattail effect)」と言います。
2-2 トランプの動員力:8年で1500万票増
動画では、トランプ氏の「投票所に人を呼び寄せる力」を示す例として、得票数の推移が紹介されました。
- 2016年(初当選) トランプ票 約6300万票
- 2020年(再選を争った選挙) 約7400万票(約1000万票増
- 2024年にはさらに約7700万票とされ、2016年から8年で1500万票増えた、と動画では解説されています。
普通、4年ごとに有権者構成が少しずつ変わるとはいえ、ここまで票を積み上げる候補はそう多くありません。
トランプ氏は「負けたのに票を増やした」ことを根拠に「不正だ」と主張しましたが、それはさておき、少なくとも
- 彼には強烈な固定支持層がいる
- その人たちは「トランプのためなら投票所に行く」
という現実を示しています。
2-3 「投票用紙にトランプの名前がない」問題
ここから、動画の重要な論点につながります。
- 今後の中間選挙
- そして2028年大統領選
トランプ氏の名前は投票用紙のどこにも載りません。
すると、トランプ支持者のうち相当数が「投票所に行かなくなるのではないか」という懸念が出てきます。
これまで
- 俺はトランプに投票するために来た
- ついでに下も共和党にしておくか
という動きが、共和党全体の票を底上げしてきました。
ところが、トランプの名前が無ければ
- わざわざ投票所に行くモチベーションが下がる
- それに伴って、連邦議会選挙や州の選挙の票も減る
- 結果として「トランプは出ていないが、トランプのせいで負ける」構図になりかねない
これが、動画でジャーナリストが指摘していた「共和党の大きな課題」です。
3.スイングステートと裁判所:ペンシルベニアの意味
3-1 スイングステートとは何か
動画の中でキーワードとして出てきたのが「スイングステート」です。
スイングステートとは、日本語ではよく「激戦州」「接戦州」と訳されます。民主党にも共和党にも振れうる州であり、選挙ごとに勝つ政党が変わりやすい地域を指します。
代表例としては、ペンシルベニア・ミシガン・ウィスコンシン・アリゾナなどが挙げられます。
こうした州は、各党の候補者が熱心にキャンペーンを張り、「この州をどちらが取るか」で選挙全体の勝敗が決まることも多々あります。
3-2 なぜ州最高裁の構成がそこまで重要なのか
動画で特に取り上げられていたのが、ペンシルベニア州最高裁でした。
理由は単純で、
- 選挙のルール
- 票の数え方
- 再集計の判断
など、細かい手続きの最終判断を下すのが、州の裁判所だからです。
アメリカの選挙では、投票前後に
- 郵便投票をどこまで有効とするか
- 投票締切時刻の扱い
- 開票ミスがあった場合の再集計の範囲
といったことで、必ずと言っていいほど訴訟が起こります。その行き着く先が州最高裁です。
今回の選挙でペンシルベニア州最高裁の判事の一人に「民主党寄り」と見なされる人物が選ばれ、ギリギリでリベラル寄り多数を維持したことで、
- 将来、選挙手続きが争われた場合
- ペンシルベニア州では、民主党にやや有利な判断が出る可能性が残った
と動画は解説していました。
これは、2028年大統領選のような「最後までもつれる選挙」では、極めて大きな意味を持つ可能性があります。
4.共和党のジレンマ:「トランプなしでは勝てない、いても負ける」
4-1 予備選ではトランプ支持が必須、本選では毒にもなりうる
アメリカの選挙には「予備選挙」があります。
- まず各政党の中で予備選挙を行い、候補者を1人に絞る
- その後、共和党候補 vs 民主党候補が本選で戦う
という2段構えです。
そして予備選挙は、
- 投票率が低い
- 熱心な活動家層の影響力が極端に大きい
という特徴があります。
共和党の場合、その熱心な活動家層のかなりの部分が「岩盤トランプ支持層」です。
そのため
- 予備選を勝ち抜くには「トランプの支持」「トランプと良好な関係」が実質的に必須
- しかし、本選ではトランプアレルギーの無党派層・中間層に嫌われやすい
という、二重の矛盾を抱えています。
動画では、バージニア州やニュージャージー州の選挙結果を受けて、トランプの元側近スティーブ・バノンが
- この結果を共和党は真摯に受け止めないといけない
- 単純にトランプ色を強めれば勝てる状況ではない
と警鐘を鳴らしている、と紹介していました。
つまり、共和党内部でも
- トランプの恩恵(動員力)
- トランプのリスク(嫌悪される力)
のどちらを重く見るかで、かなり頭を抱えている状況です。
4-2 それでも「反トランプ候補」が出てきにくい構造
動画のジャーナリストは、「トランプと距離を置く共和党候補が2028年の大統領候補になる可能性は非常に低い」と見ています。
理由は
- トランプの「お気に入り」でない候補は、予備選の段階で潰されやすい
- トランプ本人は、党内最大のパワーブローカーとして、誰を推すかをコントロールできる
- 彼の「推し」が負けるような構図になると、そもそも共和党支持者の分裂・離反を招きかねない
からです。
そのため、
- トランプ本人は出馬できなくても
- トランプ的なメッセージ・スタイルの候補
- そしてトランプと非常に近い人物(息子、娘婿、側近など)
が、2028年に共和党候補として登場する可能性が高い、というのが動画の読みでした。
5.3年後の大統領選:民主党側のシナリオと「マムダニ型」候補
5-1 民主党のスター候補たち:ニュースム、ハリス、そして未知の新人
動画では、民主党側の有力候補として
- カリフォルニア州知事ギャビン・ニューサム
- ハリス副大統領
などの名前が挙げられていました。
しかし歴史を振り返ると、アメリカ大統領選では
- ジミー・カーター(無名の南部知事から一気に大統領に)
- ビル・クリントン(予備選当初は「その他大勢」の一人だった)
のように、「忽然と現れた新人」が一気に支持を集めて大統領になるケースもあります。
マムダニNY市長のように、1%程度の知名度から一気に駆け上がる政治家が民主党内に出てきてもおかしくありません。
5-2 マムダニ本人は大統領になれない理由
動画の後半で触れられていた重要な法律上のポイントが、「大統領になれる資格」です。
アメリカ合衆国憲法第2条では、次のように定められています。
- 大統領になれるのは「アメリカ合衆国で生まれた市民(natural born citizen)」
- 35歳以上
- 少なくとも14年間アメリカに居住
マムダニ氏は7歳のときにアメリカへ移住した移民であり、「アメリカで生まれていない」ため、どれほど人気が出ても大統領選に出る資格がありません。
これは、移民出身のアーノルド・シュワルツェネッガー元カリフォルニア州知事などと同じ制約です。
つまり
- 民主党は「マムダニ型」のカリスマを欲している
- しかしマムダニ本人は大統領になれない
- だからこそ「第二、第三のマムダニ」を探す動きが出てくる
という構図になります。
5-3 二選禁止と「抜け道」の話
さらに、動画では別の法律上の制約も議論されていました。
アメリカ憲法修正第22条は「大統領の三選禁止」を定めています。すでに二度選出された者は、もう一度「選挙で大統領に選ばれる」ことはできない、というルールです。
ここで、半ばジョークのように語られていたのが
- トランプが副大統領候補として出馬
- 大統領候補はJD・Vanceなど別の人物
- 当選後に、何らかの理由でその大統領が辞任
- 継承順位1位の副大統領であるトランプが大統領に
という「ウルトラC」シナリオです。
理屈の上では、修正22条は「選挙で大統領に選ばれる」ことを禁じているだけで、継承での就任まで禁じているかは憲法学者の間でも議論がある、とされています。
とはいえ、実際にそんなことが起これば、民主党側が連邦最高裁に判断を求め、最高裁もさすがに「それはダメ」と止めるだろう、と動画では結論づけていました。
1.マムダニNY市長誕生は何を意味するのか
1-1 マムダニとは誰か:若い社会民主主義者のNY市長
動画の中では詳細なプロフィールよりも「象徴性」が強調されていましたが、実際に報道を確認すると、マムダニ氏はクイーンズ選出の州議会議員として頭角を現し、2025年のニューヨーク市長選で勝利した34歳の若い民主党左派政治家です。ムスリムであり南アジア系として初のNY市長という側面もあります。ガーディアン
選挙戦で掲げたのは、いわゆる「生活防衛」政策です。
- 家賃の凍結や20万戸の公的・低家賃住宅建設
- 食品価格抑制のための市営スーパー構想
- バス無料化や最低賃金を2030年までに時給30ドルへ
- 富裕層・大企業への増税
といった、「生活費が上がって苦しい層」に真正面からアピールする内容でした。TIME
日本のメディアでは「物価高対策で支持を集めた」と報じられがちですが、動画のジャーナリスト(風間氏)は「それ以上に、民主党支持者の別の欲望をくみ取ったことが大きい」と分析します。
1-2 「物価高」以上に刺さったのは「もっとトランプと戦え」
動画で紹介されていた世論調査によると、民主党支持者が現在の民主党に不満を持つ理由のトップは
- トランプに対して弱すぎる
- もっと攻撃的に対峙すべきだ
という点で、41%がこれを不満の理由に挙げたとされています(ピュー・リサーチ・センターの調査が元ネタ)。
つまり、インフレや生活費の高騰ももちろん大問題ですが、それ以上に
- トランプやトランプ路線を「徹底的に叩いてほしい」
- 単に穏健な調整役ではなく、「戦うリーダー」が欲しい
という感情がかなり強くなっている、ということです。
マムダニ氏は、この「戦う民主党」を体現した存在でした。
- 富裕層への課税強化を正面から掲げる
- 不平等や人種問題に対して、はっきり物を言う
- 「俺が変える」という強いメッセージを連発する
このスタイルは、ある意味でトランプ的とも言えます。トランプ氏も2016年に
- ワシントンの政治をぶっ壊す
- 俺だけがあなたの声を代弁できる
と、既存政治への怒りをすべて自分に吸い寄せましたが、今回は「民主党の中から出てきたトランプタイプ」としてマムダニ氏が登場した、と動画では位置づけています。
2.アメリカの投票用紙と「トランプ票」の仕組み
2-1 1枚の紙で「33の選挙」を一気にやる
日本の選挙は、投票所で
- 「○○区長選」の投票用紙をもらって書いて投票箱へ
- つぎに「区議会議員選」、また別の紙をもらって投票
という形が一般的です。
ところがアメリカでは、多くの州が「1枚の投票用紙にたくさんの選挙を印刷して、まとめてマークする」方式を採用しています。動画で示されていたノースカロライナ州の例では、
- 表と裏にずらっと候補者名や職名が並び
- 大統領選、上院議員、下院議員、州知事、司法長官、教育長、州最高裁判所判事…
- 合計33の選挙を一気にマークして投票する
という形でした。
こうなると、有権者の行動はどうなるか。
- 多くの人は「大統領に誰を入れるか」だけは明確に決めて投票所に来る
- その下に並ぶ30以上のポストの候補者は、ほとんど知らない
- よく分からないので、党名だけ見て「大統領と同じ政党」に丸をつけていく
実際、候補者名の横には「Republican」「Democrat」など政党名がはっきり書かれています。
トランプに投票しに来た人は、そのついでに連邦議会・州議会・裁判官まで一通り「共和党」にマークする。逆も同じで、民主党の大統領候補に入れた人は、基本的に同じ党で下まで塗りつぶす。こうして「大統領候補」は、同じ党の他の候補者たちを一緒に引き上げる存在になるわけです。
これを専門用語で「コートテール効果(coattail effect)」と言います。
2-2 トランプの動員力:8年で1500万票増
動画では、トランプ氏の「投票所に人を呼び寄せる力」を示す例として、得票数の推移が紹介されました。
- 2016年(初当選) トランプ票 約6300万票
- 2020年(再選を争った選挙) 約7400万票(約1000万票増)ウィキペディア
- 2024年にはさらに約7700万票とされ、2016年から8年で1500万票増えた、と動画では解説されています。
普通、4年ごとに有権者構成が少しずつ変わるとはいえ、ここまで票を積み上げる候補はそう多くありません。
トランプ氏は「負けたのに票を増やした」ことを根拠に「不正だ」と主張しましたが、それはさておき、少なくとも
- 彼には強烈な固定支持層がいる
- その人たちは「トランプのためなら投票所に行く」
という現実を示しています。
2-3 「投票用紙にトランプの名前がない」問題
ここから、動画の重要な論点につながります。
- 今後の中間選挙
- そして2028年大統領選
トランプ氏の名前は投票用紙のどこにも載りません。
すると、トランプ支持者のうち相当数が「投票所に行かなくなるのではないか」という懸念が出てきます。
これまで
- 俺はトランプに投票するために来た
- ついでに下も共和党にしておくか
という動きが、共和党全体の票を底上げしてきました。
ところが、トランプの名前が無ければ
- わざわざ投票所に行くモチベーションが下がる
- それに伴って、連邦議会選挙や州の選挙の票も減る
- 結果として「トランプは出ていないが、トランプのせいで負ける」構図になりかねない
これが、動画でジャーナリストが指摘していた「共和党の大きな課題」です。
3.スイングステートと裁判所:ペンシルベニアの意味
3-1 スイングステートとは何か
動画の中でキーワードとして出てきたのが「スイングステート」です。
スイングステートとは、日本語ではよく「激戦州」「接戦州」と訳されます。民主党にも共和党にも振れうる州であり、選挙ごとに勝つ政党が変わりやすい地域を指します。ウィキペディア+1
代表例としては、ペンシルベニア・ミシガン・ウィスコンシン・アリゾナなどが挙げられます。
こうした州は、各党の候補者が熱心にキャンペーンを張り、「この州をどちらが取るか」で選挙全体の勝敗が決まることも多々あります。
3-2 なぜ州最高裁の構成がそこまで重要なのか
動画で特に取り上げられていたのが、ペンシルベニア州最高裁でした。
理由は単純で、
- 選挙のルール
- 票の数え方
- 再集計の判断
など、細かい手続きの最終判断を下すのが、州の裁判所だからです。
アメリカの選挙では、投票前後に
- 郵便投票をどこまで有効とするか
- 投票締切時刻の扱い
- 開票ミスがあった場合の再集計の範囲
といったことで、必ずと言っていいほど訴訟が起こります。その行き着く先が州最高裁です。
今回の選挙でペンシルベニア州最高裁の判事の一人に「民主党寄り」と見なされる人物が選ばれ、ギリギリでリベラル寄り多数を維持したことで、
- 将来、選挙手続きが争われた場合
- ペンシルベニア州では、民主党にやや有利な判断が出る可能性が残った
と動画は解説していました。
これは、2028年大統領選のような「最後までもつれる選挙」では、極めて大きな意味を持つ可能性があります。
4.共和党のジレンマ:「トランプなしでは勝てない、いても負ける」
4-1 予備選ではトランプ支持が必須、本選では毒にもなりうる
アメリカの選挙には「予備選挙」があります。
- まず各政党の中で予備選挙を行い、候補者を1人に絞る
- その後、共和党候補 vs 民主党候補が本選で戦う
という2段構えです。
そして予備選挙は、
- 投票率が低い
- 熱心な活動家層の影響力が極端に大きい
という特徴があります。
共和党の場合、その熱心な活動家層のかなりの部分が「岩盤トランプ支持層」です。
そのため
- 予備選を勝ち抜くには「トランプの支持」「トランプと良好な関係」が実質的に必須
- しかし、本選ではトランプアレルギーの無党派層・中間層に嫌われやすい
という、二重の矛盾を抱えています。
動画では、バージニア州やニュージャージー州の選挙結果を受けて、トランプの元側近スティーブ・バノンが
- この結果を共和党は真摯に受け止めないといけない
- 単純にトランプ色を強めれば勝てる状況ではない
と警鐘を鳴らしている、と紹介していました。
つまり、共和党内部でも
- トランプの恩恵(動員力)
- トランプのリスク(嫌悪される力)
のどちらを重く見るかで、かなり頭を抱えている状況です。
4-2 それでも「反トランプ候補」が出てきにくい構造
動画のジャーナリストは、「トランプと距離を置く共和党候補が2028年の大統領候補になる可能性は非常に低い」と見ています。
理由は
- トランプの「お気に入り」でない候補は、予備選の段階で潰されやすい
- トランプ本人は、党内最大のパワーブローカーとして、誰を推すかをコントロールできる
- 彼の「推し」が負けるような構図になると、そもそも共和党支持者の分裂・離反を招きかねない
からです。
そのため、
- トランプ本人は出馬できなくても
- トランプ的なメッセージ・スタイルの候補
- そしてトランプと非常に近い人物(息子、娘婿、側近など)
が、2028年に共和党候補として登場する可能性が高い、というのが動画の読みでした。
5.3年後の大統領選:民主党側のシナリオと「マムダニ型」候補
5-1 民主党のスター候補たち:ニュースム、ハリス、そして未知の新人
動画では、民主党側の有力候補として
- カリフォルニア州知事ギャビン・ニューサム
- ハリス副大統領
などの名前が挙げられていました。
しかし歴史を振り返ると、アメリカ大統領選では
- ジミー・カーター(無名の南部知事から一気に大統領に)
- ビル・クリントン(予備選当初は「その他大勢」の一人だった)
のように、「忽然と現れた新人」が一気に支持を集めて大統領になるケースもあります。ウィキペディア
マムダニNY市長のように、1%程度の知名度から一気に駆け上がる政治家が民主党内に出てきてもおかしくありません。
5-2 マムダニ本人は大統領になれない理由
動画の後半で触れられていた重要な法律上のポイントが、「大統領になれる資格」です。
アメリカ合衆国憲法第2条では、次のように定められています。Congress.gov
- 大統領になれるのは「アメリカ合衆国で生まれた市民(natural born citizen)」
- 35歳以上
- 少なくとも14年間アメリカに居住
マムダニ氏は7歳のときにアメリカへ移住した移民であり、「アメリカで生まれていない」ため、どれほど人気が出ても大統領選に出る資格がありません。
これは、移民出身のアーノルド・シュワルツェネッガー元カリフォルニア州知事などと同じ制約です。
つまり
- 民主党は「マムダニ型」のカリスマを欲している
- しかしマムダニ本人は大統領になれない
- だからこそ「第二、第三のマムダニ」を探す動きが出てくる
という構図になります。
5-3 二選禁止と「抜け道」の話
さらに、動画では別の法律上の制約も議論されていました。
アメリカ憲法修正第22条は「大統領の三選禁止」を定めています。すでに二度選出された者は、もう一度「選挙で大統領に選ばれる」ことはできない、というルールです。ウィキペディア
ここで、半ばジョークのように語られていたのが
- トランプが副大統領候補として出馬
- 大統領候補はJD・Vanceなど別の人物
- 当選後に、何らかの理由でその大統領が辞任
- 継承順位1位の副大統領であるトランプが大統領に
という「ウルトラC」シナリオです。
理屈の上では、修正22条は「選挙で大統領に選ばれる」ことを禁じているだけで、継承での就任まで禁じているかは憲法学者の間でも議論がある、とされています。ウィキペディア
とはいえ、実際にそんなことが起これば、民主党側が連邦最高裁に判断を求め、最高裁もさすがに「それはダメ」と止めるだろう、と動画では結論づけていました。


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