(本記事は、YouTube動画「AIバブル崩壊確率8割!?2026年オルカンやS&P500に投資する人は必見!」を基に構成しています。)
近年の米国株市場はAI関連銘柄を中心に大きな上昇を見せています。その一方で、AIバブル崩壊説がメディアやSNSで語られる機会が増え、不安を感じる個人投資家も多いのではないでしょうか。レイ・ダリオ氏やマイケル・バーリー氏といった著名投資家の警告も相まって、2026年以降の市場に対する懸念が強まっています。
しかし、本当にAIはバブルなのでしょうか。本記事では、AIバブル崩壊説を冷静に検証し、ITバブルとの違いやビッグテックの収益構造を整理しながら、長期投資家が取るべき姿勢を解説します。
AIバブル崩壊「80%」説が注目される理由
AIバブルが「崩壊寸前の80%地点」という言説の発端は、レイ・ダリオ氏が米国テレビ番組で語った見解です。1929年の世界大恐慌と2000年のITバブルを100%とすると、現在は80%付近にあるという主張が大きな話題となりました。
また、マイケル・バーリー氏も「AI加熱はITバブルに似ている」と警告し、日経新聞でも取り上げられました。
こうした発言は、以下の“極端な集中”が背景にあります。
- S&P500の時価総額の約40%をわずか7社のビッグテックが占めている
- NVIDIAは全世界株式指数の約5%に到達し、日本市場の規模を単独で超えた
- 上昇は特定企業へ偏り、市場全体の健全性を欠くように見える
確かに数字だけを見ると異常な集中状態ですが、それが即「バブル崩壊の前兆」とは言い切れません。重要なのは “ITバブル期と何が根本的に違うのか” を理解することです。
ITバブルとの比較:5つの視点で見る“決定的な違い”
動画では、以下の5つの観点から現在のAI市場がITバブルとは本質的に異なると説明していました。
1. ビジネスモデルと収益の実態
ITバブル期は、売上や利益が全く伴わなくても「.com」という名称があるだけで企業価値が跳ね上がりました。
例として紹介されていた企業は次の通りです。
- ペット用品ECサイト:売上8000万円未満、IPO評価額350億円
- Webvan(ネットスーパー):売上以上の赤字、IPO評価額5700億円
これらは期待だけで成立した典型的バブルでした。
一方、現在のAI企業は明確な収益を伴っています。
- NVIDIA:3ヶ月で売上8.9兆円、純利益5.1兆円
- Microsoft:年間売上42兆円、営業利益17兆円
- Alphabet:売上53兆円、純利益17兆円
- ChatGPT:世界ユーザー7億人、売上1兆円を突破済み
利益の“桁”が根本的に違います。
2. 普及率と社会実装のレベル
ITバブル期のインターネット普及率は世界人口の10%未満でした。
対してAIは、わずか3年で普及率40%を突破しています。
多くのユーザーは気付かないうちにAIを使っています。
- Microsoft OfficeのCopilot
- AndroidやGoogle検索のAI回答
- iPhoneのAI検索サジェスト
- 企業の業務効率化システム
AIはすでに日常生活に溶け込んでいるため、単なる“期待だけの技術”ではありません。
3. 産業の裾野の広さ
ITバブル期のビジネスはECやポータルサイトなど、インターネット上の限定的なサービスに集中していました。
現在のAIは、あらゆる産業に浸透し始めています。
- 自動車(自動運転)
- 医療(診断支援、画像解析)
- 行政システム
- 金融(与信管理・リスク分析)
- 工場設備・製造ライン
- ロボット・物流・インフラ
AIは“インフラビジネス”であり、社会全体に広がる構造が異なります。
4. PER(株価収益率)
PER比較でも違いは明確です。
- ITバブル期のNASDAQ100:PER89倍
- 現在のNASDAQ100:PER28倍
利益が爆発的に増えているため、株価が高くとも“実態が伴っている”状況です。
5. 設備投資とキャッシュフロー
ITバブル期は、企業が稼いだキャッシュの75%を設備投資に使い、資金繰りが逼迫していました。
現在のAI企業は、
- 既存事業で巨大なキャッシュを生み
- その範囲内で設備投資を実施
という安定した構造になっています。
AI企業の“循環取引”疑惑は本当か
OpenAIがOracleのクラウドを利用し、OracleがNVIDIAのGPUを購入し、NVIDIAがOpenAIに出資するという構図が「ぐるぐる回しているだけでは?」という疑念を招いています。
しかし動画は、この見方を明確に否定しています。
循環取引とは「架空の利益計上を目的とした違法行為」であり、
- 世界で最も監査基準が厳しい米国で
- 時価総額トップ企業が
- 公然と繰り返す
という状況はあり得ません。
実際には、以下の理由から“自然な市場構造”だと説明されていました。
- NVIDIAのGPUは現状唯一の選択肢
- CUDAが事実上の開発基盤(Windowsのようなもの)
- クラウドはAmazon、Google、Microsoft、Oracleの少数企業へ集中
- AI開発には巨額の初期投資が必要で新規参入はほぼ不可能
通信設備ではエリクソンかノキア、航空ではボーイングかエアバス、半導体製造装置はASMLといった「寡占市場」が当然に存在するのと同じ構造だという指摘でした。
バフェットがAlphabetへ投資した“本当の意味”
特に驚きを呼んだのは、バークシャー・ハサウェイがAlphabet株を約6700億円取得し、ポートフォリオの上位10銘柄に組み入れたことです。
バフェットは「理解できないビジネスには投資しない」スタイルで知られ、これまでAI銘柄には慎重でした。それにもかかわらず、FCF倍率40倍、予想PER25倍という“割安とは言えない水準”で投資したことは市場に大きなインパクトを与えました。
動画では、その背景として次の点が挙げられていました。
- 投資判断を主導したのは後継者グレッグ・アベル氏の可能性
- バークシャーの投資方針が変化する兆し
- 近年バークシャーのパフォーマンスはS&P500とほぼ同等
- 現金比率の高さから「次の成長源」を求めている
つまり、バークシャー自体が時代の変化に合わせてポートフォリオを最適化しようとしている可能性があります。
まとめ:AIはバブルではなく“社会の基盤化”が進む段階
動画で導かれていた結論は明確です。
AI市場は、ITバブル期のような「期待だけで価格が膨らむバブル」ではなく、
“巨大な利益・普及・社会実装を伴うインフラ産業化の初期段階”
にあるということです。
そのため、長期投資家にとって重要なのは、短期的な調整や著名投資家の発言に振り回されることではなく、AIがどれだけ経済の中心に組み込まれていくのかを見極めることです。
2026年以降の市場であっても、AI関連の構造的な成長は続く可能性が高く、オルカンやS&P500を積み立てる投資家にとっては、長期視点で冷静に判断することが欠かせません。


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