本記事は、YouTube動画『日本株暴落も植田砲で起死回生!ナンピン報告も』の内容を基に構成しています。
日本株が1日で大幅安、「植田砲」が市場を直撃
動画が収録されたのは12月1日です。この日、日経平均株価は前営業日に比べて−950円(約−1.9%)という大幅下落となりました。
直近では5万2,600円前後という史上高値圏をつけていた日経平均ですが、そこから調整色を強め、取引終盤ではなんとか4万9,000円台をキープするのが精一杯という、非常に厳しい展開となりました。
この大幅下落の背景として市場が意識したのが、日本銀行・植田和男総裁の発言、いわゆる「植田砲」です。
植田総裁は、金融経済懇談会の場で、
「12月18〜19日に開催される金融政策決定会合で、適切に利上げの判断を行う」
と受け取られかねない発言を行い、市場は一気に「日銀がいよいよ利上げに踏み切るのではないか」という見方を強めました。
その結果として、
- 為替は円高方向へ振れ
- 輸出関連株や半導体・ハイテク株、資源関連株が軒並み急落
- 一方で、メガバンクなど銀行株には大きな買いが入る
という、銘柄によって明暗がくっきり分かれる相場となりました。
動画の投稿者である「株主優待ライダー」氏も、
「全体は暴落に近い状況だったが、銀行株がポートフォリオを救ってくれた1日だった」
と振り返っています。
背景:なぜ「利上げ観測」で株価がこれほど動くのか
日銀の利上げと景気・株価の関係
日銀が長年続けてきたのは超低金利政策=金融緩和です。
この流れが転換し、「利上げ」が意識されると、経済全体には次のような影響が出ます。
- 企業にとって:
借入金の金利負担が増える → 設備投資や新規事業が慎重になる - 為替にとって:
金利差が縮まり円高方向に動きやすくなる → 輸出企業の利益減少懸念 - 家計にとって:
ローン金利の上昇 → 住宅ローンやカードローンの負担増
つまり、総合的には株価にマイナスのインパクトを与えやすい要因となります。
なぜ銀行株だけが買われるのか
一方で、利上げはすべての業種にとってマイナスかというと、そうではありません。
銀行にとっては、金利上昇=利ざや拡大のチャンスとなります。
銀行は「お金を安く調達して高く貸す」ことで利益を得ています。
金利水準が上がり、貸出金利と預金金利の差(利ざや)が改善すれば、業績には追い風になります。
そのため、動画収録日のように、
- 市場全体が大きく売られる中
- 銀行セクターだけが大幅上昇
という“逆行高”が起きることがあるのです。
動画内容の詳細:暴落相場の中で光った銀行株と個別銘柄の動き
日本株全体は「31業種が下落、上昇はわずか2業種」
動画では、東証全体の業種別の動きにも触れられています。
- 下落:31業種
- 上昇:2業種(その中心が銀行)
つまり、ほとんどの業種が売られる中で、銀行だけが目立って上昇した、という構図です。
特に大きく売られたのは、
- 半導体・ハイテク関連(ソフトバンクグループ、アドバンテスト、ディスコ、藤倉など)
- 資源・非鉄金属関連(三井金属など)
- かつて人気を集めたテーマ株(ダブルスコープなど)
いわゆる成長株・ハイボラ銘柄が総じて売られ、
これらが日経平均全体を押し下げる要因となりました。
「植田砲」の影響を追い風にしたメガバンク3社
そんな中で、銀行株はまさに“起死回生”ともいえる動きを見せました。
三菱UFJフィナンシャル・グループ
- この日は約1.6%上昇
- 年初来高値を更新する場面もあったとされています
- 株価はジグザグしながらも、中長期では右肩上がりのトレンド
動画投稿者は、
- コロナショック時から継続的に買い増し
- トランプショック時には1,600円台での購入経験もあり
- 現在は含み益が大きく膨らんでいる“主力銘柄の1つ”と位置づけています。
三井住友フィナンシャルグループ
- この日も約1.5%の上昇
- 一時はさらに高い水準まで上昇したものの、引けにかけやや調整
- 株価チャートは長期的に右肩上がり
投稿者は、
- 3分割前に3,000円前後で買い付けていたと述べており
- 分割後の水準を考えると3倍以上の株価になっていると評価
- 配当も含めて、非常に満足度の高い投資になっているとしています。
みずほフィナンシャルグループ
- この日の上昇幅は引け時点で約0.5%
- 一時は1.5%程度まで上昇していたものの、やや伸び悩み
- しかし株価全体はやはり右肩上がりのトレンド
投稿者は、
- 平成の合併前の時期から長期保有
- 200円台で買い込んだ経験もあると明かし
- 現在の株価は2,000円前後となっており、
長期保有による値上がり益+高配当の恩恵を大きく受けていると述べています。
ゆうちょ銀行・地方銀行株も堅調——「利上げ相場の主役」に
メガバンクだけでなく、
- ゆうちょ銀行
- 地方銀行(広島銀行グループ、 大分銀行、宮崎銀行 など)
も、利上げ期待を背景に力強い値動きを見せています。
ゆうちょ銀行
- この日は約2.5%のプラス
- 配当利回りは約3.4%前後とされ、メガバンクと比較しても魅力的な水準
- 500株以上保有でカタログギフトがもらえる優待もあり、
配当+優待を狙う投資家からの人気も高まっています。
広島銀行ホールディングス(ヒロギンHD)
- チャートは**真っ赤(上昇続き)**と表現されるほどの右肩上がり
- コロナショック時に1,500円前後で仕込んだ投資家であれば、
現在は株価3倍+利回り10%超相当という水準も視野に入るとコメントしています。
(※元値に対する利回り換算)
大分銀行・宮崎銀行など
- これらの地方銀行も同様に右肩上がりが続く銘柄として紹介
- ただし、一時的にズドンと大きく下落する局面もあるため、
ボラティリティには注意が必要と警鐘も鳴らしています。
投稿者自身も、
- コロナショック期
- トランプショック期
の荒れ相場で金融株を積極的に買い増ししてきたと述べており、
その“仕込み”が現在、大きく報われている構図がうかがえます。
ナンピン報告:東京海上への「押し目買い」
動画のタイトルにもある「ナンピン報告」として紹介されたのが、東京海上ホールディングスです。
東京海上のこの日の値動きとナンピン内容
- 前日の動画で「下がれば買う」と宣言していた銘柄
- 実際にこの日、株価が下落したため、
5,485円付近で10株だけナンピン買いを実行したと報告しています。
(投稿者曰く「少なくて申し訳ないくらいの枚数」とのこと)
なぜ東京海上を「断然推し」とするのか
投稿者は、少し前まで
- NTT
- ソニーフィナンシャルグループ
なども推奨候補として挙げていたとしながらも、
現在は**「断然、東京海上推し」**と評価を更新しています。
その理由として、
- 配当利回りが約3.85〜3.9%前後と高水準
- 利上げ環境下では、預かった保険料等の運用利回り改善が見込める
- 今後も長期的に安定した利益成長が期待できるビジネスモデル
といった点を挙げ、
「単元未満株からコツコツ買い増していくのも有力な戦略」
とコメントしています。
追加解説:今後の注目イベントと個人投資家へのメッセージ
12月18〜19日の日銀金融政策決定会合が「山場」
動画の終盤では、
12月18〜19日に予定されている日銀の金融政策決定会合が、
「一段と注目を集めるイベントになった」と指摘されています。
- 植田総裁は「適切な措置を取る」と述べたに過ぎず、
“必ず利上げする”とは明言していない - 実際に利上げが行われるかどうかは、
蓋を開けてみなければ分からない
ただし、
- 長引く円安
- アメリカの利下げの思惑が出ても、なかなか是正されない金利差
- 物価上昇と実質購買力の低下
といった現状を踏まえると、
投稿者は「利上げはある程度避けがたいのではないか」と個人的見解を述べています。
その一方で、
- 利上げは株式市場全体には逆風となり得る
- 特に輸出・ハイテク・半導体は要注意
- 銀行・保険・一部金融株には追い風
という構図がより鮮明になりつつあります。
年末相場と体調管理への呼びかけ
動画の最後では、相場解説から一歩踏み込み、
年末特有の生活リズム・体調面への注意喚起も行われています。
- インフルエンザや風邪が流行しやすい季節
- 忘年会・クリスマス・年末年始と、イベントが多く体調を崩しやすい時期
だからこそ、
「健康にも気を配りつつ、楽しく投資を続けていきましょう」
というメッセージで締めくくられています。
投稿者自身も、
- 11月末〜12月にかけては配当金が次々と入金されるタイミング
- その資金を活用しながら、慎重に買い増しを検討している
- ただしブラックフライデーで散財してしまい、多少資金は限られている
といった“投資家あるある”なエピソードも交え、
視聴者との距離感の近い締め方をしているのも印象的です。
まとめ:暴落相場でも「どのセクターが買われているか」を見る
本記事では、動画『日本株暴落も植田砲で起死回生!ナンピン報告も』の内容を基に、
12月1日の大幅下落相場と、「植田砲」による銀行株高騰の構図を整理してきました。
ポイントを改めて整理すると、次のようになります。
- 日経平均は**−950円(約−1.9%)**と急落し、5万2,600円付近から4万9,000円台へ後退
- 背景には、日銀・植田総裁の発言をきっかけとした利上げ観測の強まりがある
- 円高進行懸念から、輸出株・半導体・ハイテク・資源関連が大きく売られた
- 一方で、利ざや拡大期待からメガバンク・地方銀行・ゆうちょ銀行など金融株が上昇
- 動画投稿者のポートフォリオでは金融株の比重が高く、
銀行株の上昇が全体のダメージを相殺する形となった - 東京海上については株価下落を受けて5,485円付近で10株ナンピン買いを実行
- 12月18〜19日の日銀会合が今後の相場の大きな転換点になる可能性がある
暴落局面ほど、
「すべてが一斉に下がっている」のか、
「一部セクターだけが買われている」のか、
“資金の流れ”を見極めることが重要です。
今回のように、
- 利上げ観測 → 銀行・保険・一部金融が上昇
- 成長株・輸出株が売られる
といった動きが出ているとき、
どこに資金が集まっているかを冷静に追うことで、
自分のポートフォリオ構成や今後の投資戦略のヒントを得ることができます。
相場は不安定で、
日銀の決定次第でまた大きく動く可能性がありますが、
こうした動きを「恐れるだけ」で終わらせるのか、
「構造を理解して次のチャンスに備える」のかは、
最終的には投資家一人ひとりの姿勢に委ねられています。
健康に気を配りつつ、
年末相場と来年以降の金利・為替・株式市場の変化を見据え、
自分なりの投資スタイルを磨いていくことが、
長期的な資産形成につながっていくと言えるでしょう。


コメント