株仙人・片山晃が語るPERの本質とは?株価はEPSではなくマルチプルで動く時代の投資思考【初心者向け】

本記事は、YouTube動画『【株仙人の道】資産250億円の片山晃が教えるPER活用の極意』の内容を基に構成しています。

目次

導入:PERは基本指標だが、使い方を間違えると遠回りになる

株式投資を始めると、多くの人が最初に出会う指標がPERです。

株価が利益に対して割安か割高かを見極めるための「基本中の基本」とされ、SNSや解説動画でも「PERが低い株を買えばいい」「PERが高い株は危険」といった説明が頻繁に出てきます。

しかし今回の動画は、そうした単純な理解に強い修正をかけてきます。

結論から言うと、動画で一貫して語られているのは次の考え方です。

株価はEPSの伸びだけでは上がり切らない。株価上昇の最大のエンジンはPER(マルチプル)の拡大であり、EPSだけ伸びる銘柄は株というリスク資産としては物足りなくなりやすい。

この主張は、初心者が「EPSが伸びる会社を買えばいい」と考えがちな点に対して、かなり刺さる内容です。さらに、PERが動く背景には「市場の認識が変わること」がある、という点も重要な柱として語られていました。

背景説明:PERはなぜここまで注目されるのか

PERの基本:株価はEPS×PERで説明できる

株価は大雑把に言えば「1株当たり利益(EPS)」と「何倍まで買われるか(PER)」の掛け算です。動画内でもこの整理は繰り返し出てきます。

・EPSが上がる
・PERが上がる(マルチプル拡大)


この2つが同時に起きると、株価は大きく上がりやすい、という話です。

例えば、初心者でも直感的にわかるように数字で置き換えます。

EPSが100円、PERが10倍なら株価は1000円です。
EPSが150円に伸びたがPERが10倍のままなら株価は1500円で、上昇率は50%です。
一方、EPSが150円に伸び、さらにPERが20倍に上がると株価は3000円になり、上昇率は200%になります。

この「EPSの伸び」と「PERの上昇」が重なる部分こそが、動画で言うところの一番おいしいゾーンです。

なぜ市場はPERを見ているのか:盛り上がる局面では指標が単純化する

動画では、片山氏が「マーケットが盛り上がっている時、結局みんなが見ているのはPERだ」と語っています。セルサイド(証券会社側)のレポートも、細かいバリュエーション論よりPER中心で語られることが多い、という趣旨です。

ここは初心者にとって大事な視点です。理論としては「企業価値は将来キャッシュフローの現在価値」と正しい話がある一方で、実際の市場では、短期的にはより単純な共通言語で回りやすい、という現実があります。

つまり、PERは「企業の本質価値の完全な答え」ではないものの、「市場参加者が共通で見ている温度計」として機能しやすい、という位置づけになります。

動画内容の詳細解説:片山晃が語るPERの極意

1) PERが高い銘柄への警戒ライン:50倍や3桁は触らないという考え方

田端氏は「知らない銘柄をパッと言われた時、最初に見るのはPER」と述べ、PERが3桁のような銘柄は強く警戒すると話しています。例として米国の銘柄名も挙げられていました。

日本株の場合はそこまで極端な高PERは少ないものの、それでも田端氏の感覚では「50倍以上は黄色信号、赤信号」とのことです。ここは初心者が「グロース株なら高PERでも正義」と思いがちな点に対して、いったん冷静になる材料になります。

ただし動画では、高PERを機械的に否定しているわけではありません。重要なのは「高いPERには理由が必要で、その理由が崩れた時の下落が大きい」という含みです。

2) PERの適正値を当てにいくより、市場の認識変化を読む

動画の中心テーマはここです。片山氏は「PERはいくらが適正かを緻密に推計しているわけではない」としつつ、株価が上がる局面で最大の推進力になるのは「マルチプルの拡大」だと述べます。

そして、マルチプルが拡大する条件として語られるのが「市場がその会社に対して新しい発見をすること」「ラベルが貼られて認識が変わること」です。

たとえば、次のような構図です。

・もともと地味な業種だと思われていたが、実は成長性が高いと再評価される
・単発型だと思われていた利益が、ストック型に近いと理解される
・テーマ性(防衛、AI、資源など)が付与され、資金が集まる
・海外投資家も買える流動性になり、買い手が増える

この「認識の変化」が起きると、EPSが急に変わらなくてもPERだけが先に上がることがあります。動画では、これを相場の現実として捉えています。

3) 持続可能性の時間軸は3年:それより先は割り切る

初心者は「5年後、10年後の成長」を想像して銘柄を語りがちですが、片山氏は現実的な見方を示します。

アナリストのレポートでも通常、予想が並ぶのは今期、来期、再来期までで、まず3年程度が見える範囲だという話でした。

ここは、投資判断を過度にファンタジーにしないための大事な基準になります。

・3年程度はある程度見通せるか
・それより先は「いい会社なら伸びるだろう」程度の割り切りになる

この「時間軸の区切り」があると、PERが高すぎる銘柄に飛び乗ってしまうリスクを減らせます。

4) EPSが伸びるだけでは負けになり得る:株を買う理由を考える

動画の中で強い印象を残す言葉が出てきます。

EPS分しか伸びない時点で負け。

わざわざ株を買うのに、マルチプルが変わらないなら債券や不動産に近くなる。

ここは誤解されやすいので、初心者向けに整理します。これは「EPS成長が無意味」という意味ではありません。ポイントは「株というリスク資産を選ぶなら、それに見合う上振れ(認識変化によるマルチプル拡大)を狙う思想も必要」ということです。

もちろん、EPSが着実に伸びれば損はしにくい面があります。ただ動画では、それだけだと投資の妙味が薄くなり、結果としてインデックスでよくないか、という議論につながります。

5) 売り方の考え方:上がっている株を売るな、ただし資金配分は相対で決まる

片山氏は基本姿勢として「始まったら上がっている株を売るな」という考え方を示します。一方で、大口投資家には流動性の制約があり、ウェイトが大きい場合は分割して利確する必要がある、という現実も語られます。

また、売るかどうかは銘柄単体だけでは決まらず、他にもっと魅力的な投資アイデアが出てきたら資金を移す、という「相対評価」で考える点も重要です。

この話は初心者にも応用できます。つまり、

・この銘柄の上値余地が残り20%になってきた
・別の銘柄に50%以上の上値余地が見える
なら、乗り換えは合理的になり得る、という整理です。

6) PERが低いのには理由がある:バリュートラップの例と市場の声

動画後半では、過去の事例として、かつてのゲーム企業(ガラケー時代からスマホへの転換期)を挙げながら、「PERが低いのは市場が持続不可能だと思っているサインになり得る」という趣旨が語られます。

初心者は「PERが低い=割安」と短絡しがちです。しかし市場が「その利益は続かない」と見ているなら、PERが上がらないどころか下がる可能性もあります。さらに、経営側が株価を上げようとして無理な施策(短期利益を追う、強引なM&Aなど)に走る危険性にも触れています。

ここは、PERを「割安発見ツール」として使う時に最も重要な注意点です。

PERが低いときは、なぜ低いのかを説明できなければならない。説明ができないなら、割安ではなく危険の可能性がある。

追加解説:初心者がPERを実戦で使うための整理

PERを見るときのチェック項目:実績EPSか予想EPSか

動画内でも触れられていた通り、PERはEPSが何を前提にしているかで意味が変わります。

・過去の実績EPS(過去1年の利益)
・会社予想EPS(会社が出している今期見通し)
・市場コンセンサスEPS(アナリスト予想の平均)
・自分の想定EPS(モデルを組んだ独自予想)

現実には、多くの投資家は会社予想やコンセンサスを基準にしてざっくり見ている、という話でした。差が2割も外れることは通常は少ない、というニュアンスもありました。

初心者向けには、まず次のように理解すると混乱が減ります。

PERは株価の割安割高を単独で決める魔法ではなく、市場がどの利益水準を前提にしているかを確認するための道具。

PER拡大が起きやすい場面を言語化する

動画の中心テーマを、初心者用に実務っぽく整理すると次のようになります。箇条書きは補助として最小限にまとめます。

  • 事業モデルの理解が変わる(フロー型だと思われていたがストック型に見えるなど)
  • 新しい需要やテーマが乗る(防衛、AI、資源、半導体サプライチェーンなど)
  • 企業の実力が認められる(地味だが高付加価値、参入障壁が高いと気づかれる)
  • 売買代金が増え、買える投資家層が変わる(海外勢や機関投資家の参加)
  • 市場全体の環境が追い風(低金利、金融緩和など)

このうち、特に動画では「新しい発見」「認識の変化」という言い方が繰り返されます。

10倍から20倍を狙うという現実的な発想

動画の終盤に、倍率の感覚値として「10倍から20倍」が出てきます。7倍は何か問題がある感じがする、25倍から50倍は難易度が高い場合がある、という空気感です。

初心者がここから学べるのは、いきなりテンバガーを1発で狙うのではなく、

10倍が20倍になる局面を3回拾えれば、2×2×2で8倍になる

というような「現実的な積み上げ」発想です。さらに実際には、その間にEPSも伸びる可能性があるため、株価は2倍以上になり得ます。

フリーキャッシュフローの重要性:利益が増えても現金が残らない会社は危ない

動画ラストでは、田端氏がフリーキャッシュフロー(営業キャッシュフローから投資キャッシュフローを引いた残り)に触れています。

ここも初心者がつまずきやすいので補足します。

・利益は会計上の数字
・キャッシュフローは現金の出入り
・設備投資が大きすぎると、利益が出ていても現金が残らない

「売上と利益が増えているように見えるのに、キャッシュフローがとんでもなく弱い会社」は避けるべき、という趣旨でした。ここはPERだけでなく、投資の安全度を上げるチェックとして覚えておく価値があります。

まとめ:PERは数字ではなく、市場の認識変化を読むための道具になる

今回の動画を初心者向けにまとめると、結論は次の通りです。

株価上昇はEPS成長だけでは足りず、PERの拡大(マルチプル拡大)が重なる局面が最も大きな利益になりやすい。PERの適正値を当てるよりも、市場がその会社をどう見ているか、そして認識が変わる材料があるかを考えることが重要になる。

そして実務的には、PERが低いなら「なぜ低いのか」を説明できるかが出発点になります。説明できない低PERは割安ではなく、持続可能性への疑い(バリュートラップ)かもしれません。逆にPERが上がる局面は、新しい発見やテーマ、事業理解の更新、投資家層の変化など「買いたい人が増える理由」が生まれた時に起きやすい、というのが動画の中核でした。

最後に、動画全体に通底している前提として「インデックス投資という強い選択肢がある時代に、なぜ個別株をやるのか」を自分の中で言語化することが求められていました。個別株を選ぶ以上、ただEPSが伸びるだけではなく、認識変化による上振れを狙う視点を持つ。この視点が、PERを単なる割安割高指標から、相場の本質を読むツールへ変えるのだと言えます。

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