人気株FPGがストップ安配当利回り7.39%でも売られた「税制改正リスク」とは何か

本記事は、YouTube動画『人気株が衝撃のS安 利回り7.3%』の内容を基に構成しています。

目次

高配当でも止まらない急落が起きた

高配当銘柄として個人投資家の人気も高いFPGが、ある日突然、寄り付かずのストップ安となりました。

動画では、当日の下落率が22.75%に達し、株価は文字通り「値段が付かない」状態で売りが殺到したと説明されています。

驚かされるのは、数字の見栄えが非常に強い点です。

PERは6.8倍、PBRは2.49倍、配当利回りは7.39%とされ、一般的には「割安」「高利回り」と言われやすい指標が並びます。

それにもかかわらず、株価は急落しました。ここには、業績や配当といった通常の材料とは別の、制度変更リスクが意識された構図があると動画は整理しています。

FPGは何をしている会社なのか

FPGの事業は一言で言えば「ファンド系ビジネス」です。

動画では、FPGが複数の柱を持つことが整理されています。

具体的には、リースファンド事業、国内不動産ファンド事業、海外不動産ファンド事業の3つが大きな区分として示されています。特に今回の急落で注目されているのが、国内不動産ファンド事業、つまり不動産小口化商品の販売です。

不動産小口化とは、例えば数億円規模の不動産を、会社側がまとめて取得し、その権利を小口に分けて投資家に販売する仕組みです。

投資家側は「私は1000万円分を出します」という形で参加でき、1人で不動産を丸ごと買うよりハードルが下がるという特徴があります。

そして、この仕組みが相続の局面で注目されてきた背景として、税務上の評価のされ方があります。

動画では、現状では相続税評価額が「実際の不動産価値より低く評価されやすい」構造があり、それが節税メリットとして使われてきた可能性があると説明されています。

例えば、本当は1億円相当の不動産であっても、税金計算上の評価が7000万円になるようなイメージです。ここに節税効果があると認識されていたことが、需要の一部を支えていたのではないか、という見方が提示されています。

急落の引き金になった「税制改正」の話

きっかけは12月19日の税制改正関連ニュース

株価を揺らしたのは、12月19日に出回ったニュースだと動画は述べています。内容は、与党の税制改正大綱の中に、不動産小口化に関する相続税評価の見直しが含まれていた、というものです。

ポイントは「実際の取引価格をベースとする相続税評価額に改正する」という方向性です。言い換えると、これまで税務上の評価が実勢より低めになっていた部分を、実勢に近づけようという話になります。

ここが投資家心理に刺さった理由はシンプルです。

もし相続税評価が実勢に寄るなら、節税メリットが薄れるかもしれません。

節税メリットが薄れるなら、節税目的で買っていた需要が減るかもしれません。需要が減るなら、FPGの販売額や収益にも影響が出るかもしれません。こうした連想が一気に進んだ結果、ストップ安のような極端な値動きにつながった、というのが動画の説明です。

会社の発表が逆に不安を増幅した可能性

さらに動画では、12月19日17時に会社側から発表が出た点にも触れています。

会社としては、「こうした改正案が出ている状況は認識している」「対応していく」といった趣旨を示し、不安を抑える意図もあったのではないか、という読みが語られています。

しかし市場の受け止め方は逆方向だった可能性があります。

個人投資家の側は、その発表を見て「やはり影響が出るのではないか」と不安を強め、売りが売りを呼んだのではないか、というニュアンスです。結果として寄り付かずのストップ安になった、という流れが説明されています。

国内不動産事業が成長ドライバーだった点が重い

今回の材料が重く見られた理由として、国内不動産ファンド事業が「会社の成長ドライバーだった」点が挙げられています。

動画では、売上総利益ベースで、リースファンド事業が239億、国内不動産が160億、海外が17億という数字が示され、国内不動産が無視できない規模であることが語られます。

さらに国内不動産ファンド事業は、前年から60%増という伸びが説明されており、まさに伸びている部門だったという見立てです。

伸びている部門に制度変更の影が差すとなれば、投資家は将来の成長シナリオ自体を見直さざるを得ません。たとえ現時点の業績が良くても、将来の前提が変われば株価は先に反応します。今回の急落は、その典型のように語られています。

配当利回り7%台でも安心できない理由

配当は「固定」ではなく業績連動の色合いが強い

動画では、FPGの配当についても整理されています。

会社は配当方針として連結配当性向50%を目安に実施とされていますが、一定額を必ず出すような、いわゆる下限を保証する配当政策があるわけではない、という趣旨です。

ここが重要です。表面上は配当利回りが7.39%に見えても、それは「今の見通し配当が維持される」という前提で成立する数字です。もし制度変更で業績にマイナスインパクトが出れば、配当も減る可能性があります。

動画内でも、配当が130円から125円に5円減っているという言及があり、配当が不変ではないことが示唆されています。

もちろん、会社として配当を出したい意向はあるだろう、という見方も語られていますが、現時点では影響の大きさが読めず、2027年からの話である点も含めて、まだ不確定要素が大きいとされています。市場は「分からないこと」に対して、特に急落局面では厳しく反応しがちです。

PTSでさらに下落し、利回りが8%に見える可能性も

動画では夜間取引のPTSにも触れられ、1611円まで下落しているという状況が語られます。

株価が下がれば、配当が維持される前提では利回りはさらに上がり、8%近くに見えてくる可能性もあります。

ただしここで注意すべきは、利回りが上がるのは「株価が下がった結果」であり、「安全性が増した結果」ではない点です。

制度変更懸念がある以上、利回りの高さは魅力であると同時に、市場が織り込み始めたリスクの裏返しにもなり得ます。動画はこの点を踏まえつつ、短期的には下げ過ぎによるリバウンド狙いの資金が入り得る、という見方も示しています。

同業・関連銘柄にも波及する可能性

動画では、似た領域として青山財産ネットワークスにも言及があります。相続や税務コンサル、不動産に関わる企業であり、こちらも早い段階から株価が下がっている印象が語られています。

またリース系としてJIAの下落にも触れられ、FPGだけが単独で売られたというより、関連領域全体が神経質になっている空気が示されています。

制度変更は特定企業だけでなく、ビジネスモデルが近い企業群に連想で広がりやすいという点で、市場の反応としては理解しやすい部分があります。

年末特有の需給要因として「損出し」も意識される

動画後半は市場全体の雑感にも触れており、年末のこの時期に起きやすい需給要因として、税金対策の売り、いわゆる損出しの可能性が説明されています。

例えば、今年すでに500万円の利益が確定している人が、別の銘柄で200万円の含み損を抱えている場合、その含み損を確定させれば、課税対象の利益を500万円から300万円に圧縮できる、という考え方です。

12月はこうした動きが出やすく、チャートが崩れた銘柄に追加の売りが重なりやすいという見方が語られています。

この文脈で任天堂の下落や、東京メトロの弱さなどにも触れられていますが、ここは個別材料というより、年末の需給の癖として理解しておくとよい、という位置づけに近い内容です。

新NISAの「回転売買ができる」勘違いへの注意喚起

動画の終盤では、別テーマとして新NISAに関する誤解が説明されています。2026年から成長投資枠で回転売買ができる、つまり当年の枠が売却と同時に即復活して、同じ年に何度も買って売ってを繰り返せる、というイメージが一部で広がっている点に対して、それは勘違いではないか、という話です。

動画が指摘しているのは、「当年中の復活」という話は、年間240万円の枠が増殖するような話ではなく、非課税保有限度額、つまり生涯枠1800万円の復活の話だという点です。

例えば、すでに1800万円を使い切った状態で、400万円分を売却した場合、本来ならその枠の復活は翌年になるところを、当年中に復活させて入れ替えしやすくする、という趣旨の可能性がある、という説明です。

つまり、年間240万円の枠の中で、100万円買って100万円売ってまた100万円買ってを無限に繰り返せる、といったデイトレ的な運用が可能になるという話ではない、という注意喚起になっています。

この点は、制度の文言だけが独り歩きしやすい領域であり、投資判断にも直結しやすいので、誤解があるなら早めに正しておいたほうがよい、という意図が読み取れます。

まとめ:今回のS安は「高配当」より「制度変更リスク」が勝った局面

FPGのストップ安は、単に業績が悪いから売られたというより、不動産小口化の相続税評価に関する見直しが材料視され、ビジネスモデルの前提が揺らぐリスクが意識された結果だと動画は整理しています。

PER6.8倍、配当利回り7.39%という数字があっても、将来の需要や収益が変わり得るなら、株価は先に織り込みに動きます。

特に国内不動産ファンド事業が売上総利益ベースで160億規模、しかも前年から60%増と成長ドライバーだった点は、市場が敏感に反応しやすい部分です。

配当も連結配当性向50%目安という方針はあっても、固定配当が保証されているわけではなく、業績が揺れれば減配の可能性も現実味を帯びます。利回りの高さは魅力である一方、リスクの裏返しにもなり得るという視点が欠かせません。

また年末は需給が荒れやすく、損出しなどの売りが重なりやすい時期でもあります。こうした環境では、材料の大小にかかわらず株価が極端に振れやすくなるため、短期の値動きだけで結論を急がず、制度変更の内容と影響範囲、会社の収益構造、配当方針の柔軟性を丁寧に確認する姿勢が求められます。

最後に、新NISAの枠復活の話もそうですが、制度や税制の話は誤解が広がりやすい領域です。今回のFPGの件は、税制変更が企業価値の見え方を一瞬で変えることがある、という現実を突きつけた出来事として受け止めておくと、今後の投資判断にも役立つはずです。

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